第十七話 一年のブランク
約一年ぶりに同級生のプレーを見たが、みんなとても上手い。
練習とは言えない練習をしていたあの頃の姿は微塵もなかった。
一つ一つの動きが軽快で、凛々しくカッコいい。
一年というブランクの大きさを見せつけられたようで、僕は引け目を感じずにはいられなかった。
だけど、僕だってただ遊んでいたわけではない。
お父さんと練習はしていたし、烈ともキャッチボールをしていた。
この差はすぐに取り返せるはずだと自分に言い聞かせ、自らを奮い立たせた。
みんなに少しでも早く追いつけるように必死で練習した。
毎日泥だらけで、家に帰るとお母さんが「またこんなに汚して」と言うけれど、その顔はいつも笑っている。
野球中継がある日は途中からだろうと必ず観て、アナウンサーや解説者の話を聞きながら野球を勉強した。
努力の甲斐あって、夏頃にはみんなに追いつけたという実感があった。
できるだけ早く追いつきたいと思っていたので、上々だ。
烈も持ち前の豪快ぶりを発揮し、メキメキと上達している。
しかし、ここで満足してはいけないと自分に言い聞かせた。
みんなに並んだだけであって試合に出られるわけではないのだ。
現に、四年生は誰もメンバーに選ばれていない。
スポーツは実力の世界、上手くなければ試合には出られない。
みんなより突出した実力が必要だ。つまり、ここからが勝負なのだ。
来年必ずメンバーに選ばれるために、気合を入れ直し一層練習に励んだ。