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ぼくとお父さん  作者: 青野 乃蒼
第二章
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第十六話 再び幕を開ける

 お父さんのおかげで、二日後にはスポ少にいけることになった。


 去年参加していたときと同じくスタートは十六時。

 そこから逆算して、集合時刻に間に合うよう自転車を走らせる。


 学校に着いたのは十五時五十分。よし、ちょうどいい時間だ。


 校門を潜り、校庭を見渡す。荷物を置く場所も去年と変わっていないようだ。

 ほとんどの団員が来ているようで、各々談笑したり遊んだり、キャッチボールをして開始を待っている。


 荷物置き場へと向かいみんなに近付いてきたところで、大きな声で挨拶をした。


「こんにちはー!」


 みんなが一斉に僕を見る。


 上級生達は一様に「誰だあいつ」と言わんばかりの懐疑的な目を向けている。

 それとは対照的に、去年一緒に加入した同級生と烈は目を輝かせていた。


「しょーーー!」


 烈が僕の名前を叫びながら駆け寄ってきて、そのまま僕に飛びつく。

 あまりの勢いに、後ろに倒れそうだった。


 烈はとても嬉しそうだ。


「入ったんやな。これから一緒に野球できるんやな」


「そうだよ、烈やみんなと野球ができる。楽しみだ」


「俺も楽しみや。ほんま嬉しいわ。きっとみんなも喜んでるわ」


 烈は僕の肩をバシバシ叩きながら笑顔で歓迎してくれた。

 肩は痛いが、おかげで緊張がほどけた。烈、ありがとう。


 二人で荷物置き場に行って荷物を降ろしていると、同級生たちが僕の周りに集まってきた。

 口々に歓迎の言葉を述べてくれる。烈はなぜか得意気だ。


 みんなが僕を受け入れてくれた。またみんなと野球ができる。

 ここに戻ってくることができて本当に良かったと、心からそう思った。


「しゅうごーーーう!」


 六年生が最前列でその後ろが五年生という形で、学年ごとに横一列で整列する。

 これも去年と同じだ。


 監督が前に出てきて話し始める。監督は去年と違い新しい人になっていた。


「今日から四年生が一人加入する。自己紹介をしてもらおう。翔君、前へ」


 僕はひとつ息を吐き、颯爽と前に出る。

 堂々と胸を張り、大きな声で言った。


「立花翔です! よろしくお願いします!」



 こうして僕の野球人生は、再び幕を開けた。

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