表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/220

新聞作成②

 時間も時間のため今日は解散となり、俺は家に帰ってからレイアウトと内容を考えることにした。


 過去のものを参考にさせてもらうと、似たようなレイアウトが多かったため俺も真似させてもらう。

 まず項目は4つに分け、一番注意するところとしては新聞の見やすさだろう。

 あくまで俺個人の意見だが、校内に掲示されている新聞なんてわざわざ立ち止まって見る人なんかいるか? ということだ。

 あまり事細かく書かれていても長時間止まって内容を読む人が少ないことを想定すると、書き方としては大きな見出しに要点を分かりやすくまとめた箇条書きの文章。

 伝えたいことを簡潔明瞭にして、チラ見しただけでも内容が目に入ってくるような書き方を意識し、目を引く色合いとイラストで新聞全体を彩る。


 全体のレイアウトはそんな感じでなんとかなるだろう。


 次に内容についてだが、やはり1番の見出しは神奈月先輩を持ってくるのが正解だろう。

 3年連続生徒会長というトピックを使わない手はない。

 一番上に『3年連続生徒会長 神奈月未来』と見出しをつけて、その下に神奈月先輩が過去に取り組んできた内容を書き連ねればいい。

 そしてこれから取り組んでいく内容、要望を書けば項目は一つ埋まるだろう。


 二つ目は真ん中左側に役員紹介でも書くか。

 簡単な自己紹介と経歴とクラスを載せれば、それを見た人が相談に来るかもしれないしな。

 いわゆるキャッチコピーみたいなものもつけてもいいかもしれないが、あまり変なのを付けると身内から顰蹙を買いかねないから要相談か。


 三つ目は真ん中右側に現在生徒会が取り組んでいる行事を書こう。

 会長が話していた委員会会議というものと、6月頭に行われる体育祭について書くのが良いかもしれない。

 委員会会議については会長達に聞かないと分からないが、体育祭についてはちらほら話が上がっているし、中には応援団の人員も募集していたはずだ。

 応援団もやりたい人はいるだろうし、ここで話に触れておくのも生徒会としての勤めだろうな。


 四つめは下段を全て使って、これからの行事予定を書き連ねていくか。

 どんな行事があるのかまだ分からないが、少なくとも文化祭で俺達が忙しくなるのは間違いないはずだから、太く大文字ででも書いておくか?



 とまあザックリと大まかにレイアウトは考えてみたわけだが、慣れない考え事ばかりで頭がパンクしそうなので梨音の進捗状況を確認しつつ賑やかしに行ってみるか。

 俺は部屋から出て梨音の部屋をノックすると、中からどうぞと一言聞こえてきたのでお邪魔することにした。


 中に入ると、青いパジャマに着替えた梨音が勉強机に座りながらペンの頭部分を咥えながら考えるように唸っていた。


「イラストの方はどうよ」


「ん〜方向性は一応固まったけど……」


「イラストって言っても生徒会だとコレ! ってものがないから表現しづらいよな。サッカーだったらユニフォームとかボールを描いときゃいいけど」


「そうなのよね〜。だから私が描くのはそういう物とかじゃなくて、人にしたの」


「人?」


「うん。私達、生徒会のメンバーをキャラクターみたいな二頭身のイラストに落とし込んで描こうかなって」


「へぇ、そんなことできるのか」


「とりあえず神奈月先輩だけだけど」


 ペラリと渡された紙には確かに神奈月先輩の特徴を上手くデフォルメちっくにまとめられたキャラクターが描かれていた。

 腕を組んで自信満々にキラリと目元を光らせている表現はまんま神奈月先輩だ。


「普通に凄ぇ……! 梨音ってマジで絵上手いんだな」


「なーに? 急に褒めたりなんかして。私が美術部なのは前から知ってたじゃない」


 もちろんそれは知っていたが……実際に梨音のこういう絵を見るのは初めてかもしれない。

 前に書いていた漫画も絵っちゃ絵だけどマジマジとは見せてくれなかったし。

 梨音は俺のことをよく知って見てくれていたのに、もしかしたら俺はあまり梨音のことを見れていなかったのかもしれない。

 幼馴染としてお互いになんでも知っているつもりでいたが、俺と梨音の認識のレベルには差があるみたいで申し訳なくなる。


「俺とか前橋も描けるのか? ちょっと描いてくれよ」


「しょうがないなぁ。下手でも文句言わないでね」


「棒人間しか描けない俺が文句言うかよ」


「あはは」


 スラスラと慣れた手つきで描いていく梨音を見て、新聞で問題なのはむしろ俺の内容の部分だな、と少し心の中で苦笑した俺だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ