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プロローグ

 卒業式が終わり、我らが生徒会長である神奈月未来先輩が瑞都高校を旅立っていってしまった。

 大鳥先輩は在校生代表として卒業生に対してはなむけの言葉を贈っていたが、スピーチの途中で涙声になってしまっていたのは意外だった。

 それは卒業生全体に向けたものというよりも、まるで特定の個人に向けていたようなものであり、きっと多くの人はそれが誰のことか理解していただろう。

 あれだけ振り回されていたというのに、結局大鳥先輩は神奈月先輩のことを深く慕っていたのだろう。


 対する神奈月先輩といえば卒業生代表の答辞を務められていたが、それはもう凛とした、最後まで会長らしい素晴らしい立ち振る舞いだった。

 最後は笑顔でこの校舎を出て行ったのがみんなの心に刻まれた。

 いずれ俺も卒業する立場になると思うが、神奈月先輩のように笑顔で旅立つことができるのだろうか。



 そして新学年。

 学年が上がると同時に俺にとっての新たな一歩の始まり。

 グラウンドに立った俺は周りを見渡した。

 一つ上の先輩達や同学年のサッカー部員、それに部員達をサポートするマネージャー達。

 そして見知った顔が並ぶ新入生。


 俺が声を掛けた選手、俺に声を掛けてきた選手、俺に対抗心を燃やしてきた選手。

 一癖も二癖もあるが同時に実力のある選手がこの瑞都高校に集まってきた。

 FW、右SH、右SB、DMF、CB。

 俺が把握している限りでも、恐らくこのポジションは新一年生達がレギュラーを取ることになるだろう。


「高坂っち、今日から正式にサッカー部だね!」


「ああ。ここまで来るのに、なんだか凄い時間がかかった気がするよ」


 全国ベスト16、関東一部リーグ昇格という華々しい結果を残し、サッカー部を牽引していた3年生達がいなくなり、大きく空いたレギュラーポジションを埋めるのはこの俺だ。


「じゃあ今日から1年生に混ざってサッカー部員に正式入部することになった高坂からまずは挨拶」


「はい。2年3組高坂修斗です」


 俺は一息置いてから改めて口を開いた。


「今年の目標は全国優勝と関東一部リーグ優勝です」


 この言葉に一体何人の奴が頷いたのだろうか。

 引くなよみんな。

 勝者のメンタリティで行こうぜ。

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