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真剣勝負③

「1番」


 熊埜御堂と同じように、俺は1stステージで狙った順番とは逆番を予告した。

 後方でザワつくのを感じた。


『これは……そういうことでしょうね上尾あげおさん!』


『彼もまた熊埜御堂選手への対抗でしょうね。この二人だけ戦ってるステージが違うというか……パーフェクト取る前提の狙い方をしていて末恐ろしいです』


 キック位置につくと先ほどよりも距離が離れていることが実感できる。

 的の形も変わり、大小様々。

 しかし、全ての的はゴールの枠の中に納められており、要はゴールに向かってコントロールシュートを撃つだけという、先程と変わらず難しいことは求められていない。


『ピッ』


 笛が鳴り、軽く助走をつけ、少し巻くようにして三角形の1番に向かってボールを蹴り出した。

 ボールは危なげなく1番を打ち抜いた。


『初球でしっかりと当てていくううう!』


『安心して見ていられますね。このまま2番も狙って行くでしょう』


 この状況で5番とか選択したらみんなはなんて反応するんだろうか、なんて天邪鬼あまのじゃくなことを考えつつ俺は2番を予告した。


 台形の形をしている2番に向けてボールを蹴る。

 これも真ん中を打ち抜いた。

 3、4、5、6番もその勢いのままヒットさせていく。

 会場内の雰囲気が熊埜御堂の時と同じようになっていくのを感じる。

 緊張はない。

 女子と2人っきりになった時の方が緊張するまである。(梨音は除く)


『まさかの二人目オールパーフェクトが生まれてしまうのか!? これはちょっと我々も想像していませんでした!』


『岡さんの興奮も止まりませんね』


『そりゃ実況のしがいがありますからね!』


 ラスト7番は縦長の長方形。

 同じように軽く助走を付けてボールを巻くようにして蹴り抜いた。


(ん?)


 ボールを蹴った瞬間、僅かに右膝に違和感があった。

 ボールはそのまま左回転をしながら7番の的を抜き落とし、ワッと歓声があがり実況や解説の人の興奮した声が聞こえてきたが、俺の意識は右膝に移っていた。


 痛みなどはなく、蹴った瞬間に膝を押されたような不思議な違和感があっただけなので特に問題はないと思うが、距離が遠くなり、蹴る力も上がったせいなのかもしれない。

 3rdステージの内容次第では少し考えないといけないな。


 待機場所に戻ると既に熊埜御堂以外の選手は既にけていた。


「お前……本当に今はサッカーやってないのか?」


 熊埜御堂がいぶかしげに聞いてきた。


「やってないというか、自主練は軽く調整してやってるけどクラブチームに入ったりはしてない」


「ちっ、噂以上にできる奴みたいだな」


 おい舌打ちすなよ。

 聞かれたから答えただけだっていうのに。

 俺のメンタルが豆腐だったらそれだけで会話する気失せちゃうだろ。


「認識は少し改めてやる。止まった的に当てるだけなら俺と同等だと認めてやる」


「しばらくサッカーから離れてた俺と、現役バリバリ(・・・・・・)で活躍してるお前が同等だなんてありがたい話だな」


 熊埜御堂の眉がピクリと動いた。

 ただ言われるだけなのも釈なので、皮肉を効かせて言ってみた。

 舌戦なら負けんぞ。


「まぁいい。次の勝負で全てが決まる」


「そうだな」


「熊埜御堂さん、高坂さん。finalステージ進出おめでとうございます。1stステージで使った場所を既にfinalステージ用に変更しています。お二人の準備が出来次第、始めたいと思いますがいかがでしょうか」


「「構いません」」


 ハモったな。


「それでは移動をお願いします。ルールも説明させていただきます」


 俺と熊埜御堂は反対側のゴールへと向かった。2ndステージと同じようにゴールに大きな布が掛けられている。

 そして、ゴールの前にレールが敷かれていた。

 どういった勝負になるのだろうか。

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