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真剣勝負②

「それでは佐久間選手、準備をお願いします」


 案内と共に佐久間が位置についた。

 先ほどよりも遠い距離。

 的の大きさも変わっていることから、トップバッターの佐久間としても緊張しているように見える。


「1番」


 三角形の形をしている1番を指示し、笛の音と共に蹴り出した。

 ボールはわずかに外へズレ、ガシャンという音を立て枠のパイプに弾かれた。

 やはり距離の関係か、蹴り方に納得のいっていないように首を捻る佐久間。

 1stステージでは予告した番号よりボールがズレたとしても、隣り合わせている番号に当たるなどして球数を無駄にするようなことがなかったが、2ndステージでは的同士が少し離れているためラッキーヒットが少なくなっている仕様だ。


 それでも後半佐久間は取り返し、5枚抜きとトップバッターにしてはまずまずの成績を残した。


 続く2番、熊埜御堂。


『1stステージではオールパーフェクトの活躍を見せた熊埜御堂選手! 難易度がさらに上がった2ndステージでは結果を残すことができるのでしょうか!』


「7番」


 ボールをセットすると同時に的を予告した。

 俺が1stステージで狙った順番と同じく後ろから。

 あいつも十分負けず嫌いじゃねえか。


『ボールをセットし……狙った! ───抜いたぁ! 熊埜御堂選手、予告通りに7番を打ち抜きました! 彼には距離が変わろうが形が変わろうが関係ないのかぁ!?』


 なんとなくそうだろうなとは思ったが。

 あそこまで完璧なフォームなら、妨害が入らない限り外すことはないだろう。

 元々ペナルティエリアの外からゴールを決める奴だ。

 下手をすればこの距離の方が得意な距離まであるかもしれない。


『続く星型の6番も宣言通り抜いた! 何連続パーフェクトを続けるつもりなんでしょうか!』


 その場にいた誰もが目を離すことができなかっただろう。

 ボールをセットし、宣言した番号を打ち抜く。

 これをただひたすらに繰り返しているだけだ。

 ここまでくるとどうやら人は競争心よりも尊敬の念を抱くらしい。

 他の挑戦者達が苦笑いしていた。


「1番」


 ラスト1枚。

 もはや外すかもしれないなんて考えている人はこの場にいないはずだ。

 当てて当然。

 そんな空気が流れているのが分かる。


 今までのリプレイかのように同じ蹴り方。

 同じ軌道で飛ぶボール。

 最後の一枚が音を立てて枠から外れた瞬間、会場から歓声が上がった。


『最後の一枚も抜いたーーーー!!! なんと熊埜御堂選手、1stステージに続いて2ndステージもノーミスパーフェクトでクリアだーーー!!』


『ちょっと……これは驚きましたね。プロの選手でもこれと同じことができる選手がどれだけいるのか』


『文句無し! 他の選手を待つまでもなく、FINALステージ進出確定です!』


 驚嘆の声が上がる中、それでも熊埜御堂の表情が変わることはなく、喜ぶ素ぶりもなく戻ってきた。

 金のためだと言っていたが、俺に張り合って番号を逆から狙ってきたのは奴なりのプライドがありそうだ。



 後続の選手達が挑戦するが、パーフェクトを取った選手は誰もおらず、2位は六枚抜いた福島ふくしままもるだった。

 そして最後は俺の番。

 熊埜御堂が逆番から狙ってきたというのであれば、俺もそれに応えるべきなんだろう。


『最後は熊埜御堂選手と同じく、1stステージをオールパーフェクトで突破した高坂選手! 全枚抜き、もしくは6枚抜きかつ5つ以上予告通りでFINALステージ進出決定です!』


 いいや、それだけじゃ俺の負けだね。

 オールパーフェクトかつ予告通りでなければ、俺は熊埜御堂に負けたことになる。

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