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蹴球標的②

 30分後、俺を含め全員でおおよそ17名ほど集まったところでスタッフの人から召集がかかった。


「じゃあ行ってくる」


「頑張ってね」


「応援してるっすよ!」


 梨音ともっちーさんに手を振り、俺も集合位置に集まった。


「今回は学生キックターゲットに参加して頂きありがとうございます。簡単に今回の流れについて説明させて頂きます。ゲーム性と致しましては皆さんもテレビの企画などで見たことあると思いますが、決められた球数で的を打ち抜いていただくものとなっています」


 俺も事前にネットの動画で調べてきたが、ルールとしては非常に簡単なものだ。

 ゴールを塞ぐように9枚のパネルが並び、それをボールで蹴り抜くだけ。

 ただ気になるのは、わざわざクラブチーム所属や大会優勝経験者のみと特定したにしては、いささか簡単すぎやしないだろうかということだ。


「そして今回は全部で3つのステージに分かれています。まずは1stステージですが、ご覧頂いている通りゴールの大きさに合わせ、上から4・4・1枚の順に均一の大きさの長方形パネルが並べられ、番号が振られています。これを1人15球以内に撃ち抜いていただき、打ち抜いた枚数、もしくは全て打ち抜いた場合は球の残数で成績が決まります。打ち抜いた成績の良かった順に上から7名を2ndステージ進出とします」


 参加者達が少しザワついた。

 なるほどステージを分けるときたか。

 絶対評価じゃなくて相対評価による勝負。

 元より優勝者1名のみが賞金3万円と新作サッカーゲームの試作品を貰えるという話だ、成績優秀者を勝ち残る方式にするのは当然のことか。


「そして2ndステージの上位2名のみが3rdステージへと勝ち上がり、勝者を決める形となります。ここまでで何か質問はありますか?」


 名古屋クラウディアの武藤むとうはじめが手を挙げた。


「もしも最後の一枠で成績が同率になった場合はどちらが上に上がれますか?」


「それについては蹴る前に狙う番号を指定して頂くのですが、その狙った番号を打ち抜いた数の多い方が上になります。それでも同率となった場合、その場合は両名とも次のステージに上がることができることとします」


「分かりました。ありがとうございます」


「他に質問はありますか?」


 今度は大学生らしき人が手を挙げた。


「蹴る位置はどのぐらい離れているのでしょうか」


「そうですね、ゴールから約11m。これはいわゆるペナルティキックと同じ位置になります。2ndステージからはまた距離も変わりますが、現在はまだ非公開ですので、1stステージ終了後にまたお話しします。他にはありますか?」


 今度は手を挙げる者はいなかった。


「それでは番号1番の方から準備をお願いします。他の方々は指定の場所で待機をお願いします」


 1番の札を胸につけた人がパネルの並ぶゴールの前へと進んだ。

 俺達はキッカーの少し後ろの方にコーンで囲まれたエリアがあり、そこで前の選手のプレーを見ながら待機することとなる。


 気付けば、俺達の待機場所から少し離れた左側に机と椅子が準備されており、『実況』『解説』と紙が貼られていた。

 You◯ubeで動画にするとも言っていたので、それこそテレビの企画っぽくしているのだろう。

 しばらくして二人の男性が席に着いた。


 1番の人が準備を終えたところでブザーが鳴り響く。


『さあ始まりました! 【集え! 学生キックターゲット大会!!】ということでね、実況はわたくしおか 広丸ひろまると解説が元Jリーガーの───』


上尾あげお陽介ようすけです』


『上尾さんでお送りさせて頂きます!』


 まるでラジオが始まったかのような軽快なトークが展開され、俺でもギリギリ聞き取れるくらいの声で簡単にキッカーの選手の紹介がなされていた。

 たぶん動画用の実況と解説なんだろうな。


紅葉こうよう大学2年生、藤崎ふじさきすすむ選手。右利きでジェボーダン木更津・千葉ユースに所属していた経歴があります』


『トップバッターですからね。多少の緊張はあるかもしれませんが、落ち着いて良い成績を残して頂きたいですね』


 そして一人目の選手藤崎が番号を指定し、的に目掛けてボールを蹴り出した。

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