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不意強襲⑤

 宣戦布告をしたところで俺達は互いにすれ違った。

 次に会うとすればそれはフィールド上でだ。

 クラブの歴代最強にして現ユースチーム最強の東京ヴァリアブル。

 俺は常に俺が一番のプレーヤーだと思ってはいるが、現時点で涼介一人にすら俺は到底敵わないだろう。

 それほどまでに、1年間のブランクというのは大きい。

 練習嫌いだった光ですら雑だったはずのクロスを正確に上げることができていたように、紗凪が空中戦のスペシャリストになったように、それぞれの成長率は著しいんだ。


 同世代のアイツらをまとめて相手するのに俺だけじゃ足りない。

 涼介、優夜、賢治、光、流星、龍二、郡司。

 少なくともこいつらに対抗できるレベルのチームメイトを見つける必要がある。


「高坂っち」


「なんだよ」


 少し離れてから桜川が声を掛けてきた。


「サッカー復帰するってマジ?」


「…………聞いての通りよ」


「一大ニュースじゃん! 私があれだけ誘ってもダメだったのに! てか梨音っちと前橋っちはなんでそんなローテンションでいられるの!?」


「なんでって…………」


「結構前から知ってたもん」


「あれ!? 知らなかったの私だけ!?」


 生徒会の面々には配慮してもらう関係で一番最初に伝えてあったからな。

 いまさら宣言繰り返したところでリアクション薄めなのは当たり前だわな。


「じゃあ部活入る!? サッカー部入る!?」


「いや生徒会入ってるし今は部活やらないよ。つーか桜川、お前また勧誘に力入れるなよな」


「血が騒ぐね……!」


「何者なんだよ」


 またトイレまで付いて来られるのは勘弁して欲しい。


「にしても驚いたのはきいだよ。あんなに声を荒げてたの初めて見た。凄く格好良かったよね」


 弥守に噛みついたやつな。

 確かにあれは熱い場面だった。


「私も! いつもはもっとクールで落ち着いてるイメージあったのに、あんな一面があったんだねぇ。高坂っちのためだよね」


「ち、ちがっ……! 別に高坂のためとかじゃなく…………あれは、そう、尊敬してるプレーヤーを馬鹿にされたら誰だって怒るじゃん。同じ選手として、怒ったの」


「うんうん、その気持ち分かるよ。私も梨音っちもよく代弁してくれた! って思ったしね。それに対して高坂っちの反応は?」


「女神がいると思いました」


「〜〜〜ッッ!!」


 前橋の顔が照れからか赤くなっていくのが分かる。

 その時々の感情を改めて思い返したりした時や指摘された時に恥ずかしくなること、あるよな。


「いよっ! 瑞都高校の女神っち!」


「女神っちってなんだよたまごっちかよ」


 優夜に終わっている選手と言われた時、否定してくれたのは弥守だった。

 そして今回、その弥守から終わっている選手と言われ、今度は前橋が否定してくれた。

 ここで俺が結果を出せなければ前橋にも恥をかかせることになる。


「期待には応えたいよなぁ…………」


「ん? なに?」


「いや、飯食いに行こうぜ」


「おー! 行こう行こうー!」


 ともあれ正式にサッカーができるようになるのはしばらく先の話だ。

 今はまだ、一つ一つを大事にしていこう。

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