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大城国紗凪③

 残りの5分、意外にも乱打戦となった。

 高坂のクロスに俺がヘッドで合わせ1点を追加。

 さらに高坂、俺、山田弟と繋ぎ、最後は再び俺にボールが渡りゴールを決め1点追加。

 桐谷が山田との1対1を制し、シュートを一度橋本が止めるもこぼれ球を別の人に押し込まれ1点返される。

 その後お互いに1点づつ奪い合ったところで試合が終了した。


 最終スコアは5ー3。

 結果的に桐谷に何度もやられはしたが、それ以上に俺達の攻撃力がまさった結果となった。

 総合的な実力からすれば当然と言えば当然なんだがな。


「よっしゃー二連勝!! 向こうのユース生に何回もやられたのは悔しいけど、俺達にはそれ以上の攻撃手アタッカーがいるからな、押し勝ったぜ!」


「高坂お前、全然やれるじゃないか。サッカーに復帰する予定はあるのか? もし行くアテがないならウチに来ないか? 俺がセレクション受けさせてもらえるように口利きしてやるぞ」


 冗談混じりに一応声を掛けてみた。

 怪我が治ったとするなら当然ヴァリアブルに出戻りすることになるだろう。

 もし今後、高坂がヴァリアブルに戻ることがあるなら、一層ヴァリアブルの天下は揺るがないものになりやがる。

 既に今の東京V(ヴァリアブル)にすら俺達横浜レグノスはこの前の試合で大差で敗北を喫している。

 俺個人としては負けてるなんぞ微塵も思っちゃいないが、城ヶ崎、神上、荒井、狭間。こいつらを止める手立てがウチには無かった。

 だから個人的に高坂がサッカー界に復帰するというのは複雑な心境ではある。


「…………そうだな。それもいいかもな」


「おおん?」


 こりゃ予想外。

 まさかの好感触な返答かいな。


「ヴァリアブルに戻るんじゃないのか?」


 俺の質問に、高坂の目がギラリと光ったように見えた。


「サッカーができるようになっても俺はヴァリアブルには戻らないよ。見返さなきゃ…………いけない奴がいるんだ」


 力強く、意志の固い目。

 クラブを抜ける時に確執でも生まれたか?

 ともあれ怪我が治ってもヴァリアブルに戻らないというのは上々だ。

 ウチに来るようなことがあればなお上々。


「その復讐、いつでも手助けするぞ」


「まずは怪我を治してからだけどな」


 続くC、Bとの対戦も俺達は勝利した。

 結局高坂がパスを供給する形が一番正しかった。

 ボールキープ、ドリブル、パスのどれをとっても一級品。

 パスを受ける位置に移動できれば、ほぼ確実にボールが来る。こんな奴がいて負ける方がおかしい。


 最後の相手はこの個サルの企画者Aチーム。

 俺達と同じ全勝での対戦となる。


 大会を取り仕切っているAチームの人が声を掛けてきた。


「君達も全勝か。高校生チームなのに凄いな、君なんて身長何センチあるんだい? やっぱり若さって言うのは武器だよなぁ」


「先輩もうジジ臭いっす」


「馬鹿ヤロウ30歳越えたらもう充分ジジイだよ。お前らもいつかそうなるんだ」


「酷いっす」


 Aチームの人達は全員社会人のようだ。 

 キャプテンぽい人は30を越えているらしい。サッカー選手でも30を越えてくると実力が落ちてくるといわれる年齢だ。


「それでも負けないけどね。お手柔らかに頼むよ」


「こちらこそお願いします」


 相手のユニフォームは赤黒で統一されている。

 結局俺達は最後までビブスチームだ。

 でもそれで全勝してきているわけだし、寄せ集めの傭兵チームのようでカッコいいだろ?


「それじゃあ……キックオフ!」


 中央から相手がボールを蹴り出し、試合が始まった。

 試合が始まってすぐに俺達は気付いた。


 〝この人達が一番強い〟


 ボールを持った時のタッチ数、オフザボールの動き出し、パスのスピード。

 明らかに連携の取れている動きだ。

 ボールを持っていない人が左右に、縦へと動き出しをする。

 これだけ動き回るということはそれだけ疲れが出る。が、同時にパスの受け手が多くなる。

 ワンタッチ、ツータッチでボールを回され、こちらの守備の連携が取れていないうちに裏抜けのスルーパスを出された。


「こりゃどえらいな……! 橋本ぉ!」


 キーパーとの1対1、シュートを撃たれるも橋本が足を広げて防いだ。ボールはゴールラインを割っていく。


「ナイスキーパー!」


 このスピード感。これが本来のフットサルなんだろう。

 要は俺達がサッカーの試合中に作る三角形のポジショニングをいかに早く構築できるかがフットサルでは肝になっている。

 連携の勝負となると、俺達にとってはかなり分が悪いかもしれんな。

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