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香莉との再会2


「ってなわけで、今日から転校生の一人が私達のクラスに来ましたが、皆さん仲良くしてあげてくださいね」


 それからしばらく先生の話しは続いた。

 照麻はその間に今日使う教科書をカバンから取り出し自分の机の上に順番に重ねて置いていく。全部あることを確認してから隣の席にいる香莉にルーズリーフに書いたメッセージと一緒に渡す。


『ご自由にお使いください。私は寝ます』


 それはとても短いメッセージだったが、照麻の意図は伝わる内容だった。

 そのまま照麻が深い眠りに入ろうとすると、バチッと頭を叩かれた。


「照麻さん! 授業中に寝るのはよくありません! 一緒に勉強しますよ!」


 その声は担任の先生の声を掻き消し教室中に響き渡った。

 

「え?」「うそ?」「なになに?」「アイツバカやった?」とひそひそ声が聞こえてくる。

 これには担任の先生も驚いている様子。

 その証拠に話す事を止めて照麻と香莉のやり取りを静かに見守っている。

 対してクラスの連中は何か面白いこと起こるのかなと言った感じで目をキラキラさせている。本当にバカが多いクラスならではと言った所か。


「別に聞かなくても……」


「ダメです。もし私の言う事を聞かないって言うならこちらにも考えがあります」


「……いや、そんなにムキにならなくても」


「なんですか! 昨日はあんなに優しくしてくれたのに、今日は意地悪な日なんですか!?」


「優しく?」「昨日?」「つまり二人は恋人?」「優しくってことはあれだろ? 男と女だし」「なる程」「ならアイツ裏では彼女持ちだったから今まで他の女とはあまり仲良くしなかったのか」「だな」ついつい耳を澄ませばあちらこちらから聞こえてくる声に照麻は即否定する。


「じゃねぇ! お前らさっきから聞いていれば、それは誤解だ! てか変な方向に話しを持っていくな! 香莉もほら、なんか言ってやれ……ってあれ……」


 照麻が香莉の顔を見ると、真っ赤になった顔を両手隠して顔を下に向け、恥ずかしそうに手を両膝の上でモジモジさせながら照麻の顔を見つめている。


「て、照麻さん?」


「な、なんだ?」


「私の事をそんな目で……ずっと見ていたのですか? なら昨日の紳士的な行動は演技だったのですか?」


「紳士?」「演技?」「二人はやっぱりそうゆう関係?」

 ついつい耳を塞いでしまいたくなる言葉に照麻の頭が痛くなってくる。


「ち、違う!」


「昨日家にお誘いしたのに断られた理由は……つまりはそうゆう意味だったんですね?」


「いや……待て、待ってくれ……俺は無実だ。てかそうゆう意味ってどうゆう意味だ?」


 火に油を注ぐ香莉に照麻は固唾を飲む。


「ヒューヒュー!」「アイツ意外にやるときはやるんだな!」「積極的だな、男として少し見直したぜ!」「照れた藤原さんも可愛いー」


 グサッ、グサッ、グサッ、ち、違うんだ……。


 勘違いが勘違いを呼び、照麻にとっても香莉にとっても良くない方向へと話しが進もうとしている。

 …………魔術学園では、頭の良い奴らは本当に頭がいい。だが大半はバカな奴らが集まってできている。

 その為、クラスはある意味大盛り上がりとなってしまった。

 それに可愛い妹が入学してきたと言う事で照麻はある意味この学園では『あの可愛い妹のバカ兄貴』と言うイメージが学園では定着しつつあった為に話題性としては抜群だった。


「あら、若いっていいわね。なら先生はお二人の『お幸せ』を願って一回職員室に戻るわね。続きは帰りのホームルームで伝えるわ」


 そう言って担任の先生が出ていき、照麻を護る者がいなくなり朝のホームルームは終わった。




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