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俺と由香の学園生活と三姉妹が初恋するまでのお話し~由香(妹)と三姉妹の仲が思うように良くならないのが俺の悩み~  作者: 光影


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告白、実は結婚……


「あ~幸せです~」


 いつの間にか膝枕をされて人の家にも関わらず甘える由香。

 よく見れば頭を撫でられているではないか。

 確かに三人が色々と話していたとは言え、照麻はともかく由香に限ってはくつろぎ過ぎではないか。

 そう思って急いで二人の元へと行く三人。


 そして声に出して今すぐ止めさせようとした時、頬を緩めて子猫となっていた由香が起き上がって微笑みながら先に言った。


「今まで気が付いていない振りをしていましたが、私が気が付かないわけないじゃないですか?」


 動こうとしていた三人の口が一斉に止まる。

 急にそんな事を言われても正直困るとしか言いようがないのだ。

 初めて見る由香の真剣な表情につい息を飲み込む三人。


「隙あればお兄様の近くにいようとするそれが何よりの証拠です。香莉さんはお勉強の時の私服、愛莉さんは今日お兄様が来ると知った時少し微笑んでいました。いつも嫌そうな顔しかしない愛莉さんがです。そして優莉さん。私に心の悩みを聞いてくれる優しいお兄さんと言いましたね。心の悩みを愛莉さん香莉さんではなくお兄様に言うと言う事はそうゆう気持ちがあるかかなり心を開いている証拠です。後、お兄様とお話しする時は皆さんいつも以上にどこか微笑んでいますよね。嬉しそうにして。だけど私の嫉妬した気持ちには気が付いていながら、何一つ配慮してくれ――いたッ」


 小悪魔として今までありとあらゆる女性を排除してきた攻撃的な由香に対して照麻が軽く拳を握りポンッと頭を叩いた。


「おい、仲良くしろって先日言った側から俺と三人の仲を悪くしようとするなよな。そんなことばっかりしてると俺も本気で怒るぞ? 友達と仲良くなるこれはいい事なんだ」


「……はい。すみませんでした」


 三姉妹は「あれ? 二人の話しが噛み合ってない?」と思ったがここは兄妹の会話を見届ける。

 そして由香は心の中で安心する。

 照麻にはまだ、優莉、愛莉、香莉に対して恋愛感情がないのだと。

 

「って事で由香の言葉は全部無視していいからこれからもよろしくな!」


 照麻の言葉に三人が返事をする。


「わかった! こっちこそよろしくね照麻」


「それが私達の約束でしょ、照麻」


「はい。これからもっと仲良くなりましょう照麻さん」


 三姉妹は笑顔でそう答えた。

 すると由香が頭を下げて言う。


「さっきはすみませんでした。私とも仲良くお願いします」


「それはつまり友達として、それとも女として?」


「優莉さん……意地悪しないでください」


「先輩後輩で構いません。女としては負けたくないので」


「そう? なら由香ちゃんとも仲良くするけど負けないから」


「はい、ありがとうございます」


「アンタも私達と同じってことなのね。まぁこれからはライバルって事で認めてよ。そしたら私も照麻だけじゃなくて由香の事も認めてあげるわ」


「愛莉さん……ありがとうございます。私一人ぼっちになるのが恐くてお兄様が――」


「いいわよ。私も由香の過去を知っているからそこはお互い様でいきましょ」


「はい!」


「なら私ともこれから仲良くしましょうか、由香さん?」


「よろしくお願いします」


「ところで一つ確認の為に聞いてもいいですか?」


「別に構いませんが一体何をですか?」


「優莉と愛莉は勝手にライバルやら負けないと言っていますが、それ以前に照麻さんと由香さんはご兄妹ですからどんなに由香さんが照麻さんを大好きでも結婚できませんよね?」


「お兄様……やっぱりダメですよね?」


「まぁ香莉達ならいいんじゃねぇか? 由香がちゃんとこれから仲良く出来るって言うんならな」


 照麻は何となく由香の言いたい事を理解したので、少し考えてから了承する。

 照麻は照麻で目の前にいる可愛い三姉妹には心を開いているし信頼もしている。

 だから別にそれでいじめられたり、世間に言いふらされて悪評が広まる心配もないと思っていた。なのでそこまでこの三人に照麻と由香の本当の関係がバレる事を恐れていなかったりする。なにより優莉、愛莉、香莉、由香には仲良くなってもらいたいとも思っているからだ。


「わかりました。ありがとうございます」


「でも三人共これは他言しないで欲しいんだけどいい?」


「わかった」


「うん、約束する」


「わかりました」


 三人の返事を聞いた由香はゆっくりと口を開く。


「実は私達本当の兄妹ではありませんので、結婚しようと思えば出来ますよ」


 勝ち誇ったように宣言する。

 これぞ正にジョーカーであり最強の手札であり切り札と言わんばかりの満面の笑みを見せる由香。

 そんな由香の言葉に三姉妹の驚きの声が部屋中に響き渡った。


「「「えぇぇぇぇぇええええええええぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」


「ですから皆さんのライバルには私が適任だと思います」

(例え一対三でも負ける気はしませんので)


 一体由香は何を言っているんだ?

 皆さん?

 ライバル?

 適任?

 と照麻の頭が混乱していると照麻の手を掴んで頭の上に持っていく。

 そのまま「撫でてください」と言われるがまま照麻が手を動かす。

 優莉達の慌てた姿を見ながら、全く持って意味がわからない照麻。

 そこで隣にいる由香に「さっきのはどういう意味?」と聞くと「何の事ですか?」と言ってはぐらかされた。


 落ち着いている照麻に対して三姉妹の心の中は嵐とかした。


 恋の敵は姉妹だけではなく由香もいて、その由香が最大の敵だと知った。


 つまり今の甘えん坊由香は私達に照麻との仲を見せつけている小悪魔による宣戦布告だとようやく気付いた。そして由香の先制攻撃は今思えば照麻の家に三人が行く前より先に行われていたと知ってしまった三人。


 故にもう手段を選んで姉妹に気を遣っていることなど出来ない。


 そこで三人は三姉妹専用のアイコンタクトだけで意思疎通を行い、爆弾を放り込んでおく事にした。


「照麻さんにお話しがあるので聞いてください。GWゴールデンウイーク私達三人で別荘にお泊り行くんですけど、もし良かったらご一緒にどうですか? 室内に温水プールもありますので私達の水着姿も見られますよ? ちなみに私で良ければいつもと同じようにプライベートですし少しならエッチな目で見ても怒りませんよ」


 香莉は照れながらも照麻を誘う。


「ちなみに寝室は三つしかないんだよね~。だからもしかしたら私達の誰かと場合によっては一緒に夜を二人きり同じ部屋で過ごす事になるかもしれない。その時に私とだったらちょっとぐらいならエッチな照麻も受け入れてあげるよ。ほら、私ってお姉ちゃんだからさ、心広くってね。どうかな?」


 冗談にも聞こえるトーンで香莉の言葉を後押しする優莉。


「わ、私はアンタとも一緒がいい。ダメ……かな?」


 口数こそ少ないが、そこが妙に男心にグッとくる愛莉。

 しかも手を正面でモジモジさせながら顔を真っ赤に染めると照麻の心が揺らぐ動機には十分過ぎた。


「マジで! 水着見れるのか! 行きます!」


 男――照麻。女の子のお願いには答える一択。

 ましてやそこにエロスがあるとわかった上で断るなど言語道断!


『なら俺の出番もあるのか!?』


 この通り、照麻の息子も妙にやる気を出している。


『それは諸事情の関係で絶対ない!』


 そう言い聞かせながらも照麻の目は三人の水着姿を見たい一心で跳ね上がっている。


「お兄様! もしかして下心で行くんですか!?」


 鼻の下を伸ばした照麻に怒る由香。


「ならば、私も行きます! もし三人の女性に性的関係を目的として安易な気持ちで手を出すようなことがあればお兄様の手足凍らせますから覚悟してください! それとその時は本気で怒りますからね!」


「……はい」


「不祥事案件は起こったら大変ですので誰かに手を出すなら私に全てしてください! 私なら全部受け入れますし、大事には絶対しませんので。ただその時は婚姻届に判を押して頂ければ全部水に流します。それでいいですね!?」


「わかりました。そうします」


 ついその場の勢いで返事をしてしまう照麻。

 自分が何を言われて、受け入れているのかわかっているのだろうか。

 怒られたと実感し落ち込んでいる照麻に由香の話しがしっかりと届いていないのは一目瞭然だった。

 それでも微笑んで納得する由香と、それでは納得がいかない優莉、愛莉、香莉の三人。


「優莉さんそれで構いませんか? まさか優莉さん達まで下心でお兄様を誘ったとは思えませんし、私とも仲良くしてくださるんですよね?」


 黙る三人。

 優莉は少なくともまた甘えてみようかなと思っていたし、愛莉は二人の目をかいくぐって二人きりで恋のお話しでもと思っていたし、香莉はちょっとぐらいならお触りを許してもと思っていた。

 その為反論がすぐにできなかったのだ。


「も、もちろんよ。ね、愛莉、香莉?」


 こうなった以上二人に後は任せる事にした優莉。

 二人にアイコンタクトのみでサインを送る。


「そ、そうね」


「え、えぇ。お二人が良ければ私は構いません」


 こうして五人の楽しい楽しいGWゴールデンウィークの予定は決まったのだった。



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