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俺と由香の学園生活と三姉妹が初恋するまでのお話し~由香(妹)と三姉妹の仲が思うように良くならないのが俺の悩み~  作者: 光影


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素直になった愛莉


 香莉の言葉にクラスのモテない男子共が反応したと。

 だが何度も何度もやられる照麻ではない。


 急いでカバンを掴み、香莉の手を掴んで廊下にでる。

 それと同時にクラスの男子共が赤井照麻殺人マシーンへと変貌し、目の色を変えて一斉に動き出す。


「チッ、反応が早いな。アイツら」


 照麻は香莉の手を強く握りしめて離れないようにする。

 香莉は「えっ?」と言って驚いている。

 そう、モテル女子には生涯理解できない事がこの世にはあるのだ。

 それはモテない男子による蹴落とし合いと言う名のじゃれ合いだ。

 それはモテない世界を一人脱出し、リア充と言う楽園に行こうとするものを良しとせず悪とする勝手に所属させられるサークルである。


「頼む、いてくれよ」


 照麻は二組の教室の扉を勢いよく開ける。

 そのまま視線をクラス中に飛ばす。


「いた!」


 そう言って照麻は香莉を連れてある女子生徒の元へかけて行く。

 それに気が付いた愛莉は友達との会話を止めて驚いている。

 だけど今はそんな事はどうだっていい。

 持っていたカバンと香莉の手を離して、愛莉の両肩を力強く掴む。


「愛莉!」


 照麻は愛莉だけを見て名前を呼ぶ。


「は、はい」


 突然の事に愛理が驚いているのか焦点が合ってない。

 それどころか何故か顔が赤くなった。

 おっ! 初めて見たな、愛莉の照れ顔。等と言っている時間は照麻には残されていない。

 照麻が二組の教室に入った扉から一組の殺人マシーンと化したモテない男子共が入って来ているのだ。


「頼む!」


「な、なにが!?」


 話しが全くつかめない愛莉は顔を真っ赤にして答える。

 これは突然の告白!?

 そう思うと愛莉の身体が変に緊張してしまった。

 このまま「俺と付き合ってくれ!」とか言われたらどうしようと愛莉の脳が考えてしまう。


「助けてくれ!」


「え?」


 期待外れの言葉に愛理の機嫌が悪くなる。


「アイツらを――って、あぁー。ま、待てお前ら!」


 照麻は後から伸びてきた手にビビッて愛莉を盾にして隠れる。

 そして一人の男子生徒の手がちょうど良い高さで愛莉の胸の高さに伸びる。

 男子生徒がこれはラッキーと思い、つい頬を緩ませた瞬間。

 愛莉の表情が一変する。


「はっ? キモいんだけど」


 胸を触ろうとする男子に対してゴミを見るような視線を向けて、更に機嫌が悪くなったのかとても低い声でそう言った。


 次の瞬間。


 二組の教室に電流がバチッと音を立てて流れる。

 電流は男子生徒の手が後数センチで愛莉の胸に触れる所で一組の殺人マシーンと化した男子共を一瞬で丸焼きにした。

 電流が身体を走った男子共はそのまま身体をピクピクさせて床に転がっている。

 照麻では勝てない連中も愛莉の手にかかれば一瞬でこんがり肉となる事がこれで証明された。そして照麻の考えも正しかったと。


「まぁ、愛莉ったら」


「だってしょうがないでしょ。正当防衛よ」


「まぁセクハラは良くありませんからそれは認めますけど、それにしても少々やり過ぎではないのですか?」


「別にいいでしょ。私、心を許した人にしか触られたくないし」


「そう言えばそうでしたね」


 香莉は愛莉を見て、「へぇ~」と言っている。

 そして愛理ではなく、その後ろに隠れている照麻に向けられる。

 そのことに気が付いた愛莉の顔が赤くなる。

 自分が何を言い、それが香莉にどう見えているかをようやく正しく理解したからだ。


「ちょっといつまで私の両肩を触ってるのよ!」


 愛莉の言葉に照麻が慌てて手を離す。

 魚が痙攣したように未だに動けないクラスメイトを見て、やっぱり愛莉は凄いなーと思っていた為につい愛莉を怒らせてしまった。

 と思ったが、あれ? なんで顔が赤いんだ? と今までの愛莉と反応が違う気がしなくもないなと照麻が変化に気が付く。

 だが余計な事を言えば今度は自分が黒焦げになると思うとここは大人しく謝るのが最善と判断する。


「すまん」


「別にいいわよ。てかこれは?」


「香莉から家に来ないか? と言われたから俺がそれに返事をしたらコイツ等がいきなり追いかけてきました」


「それだけ?」


「はい」


「本当に?」


「はい」


「ふ~ん」


 愛莉は床に転がっている男子共に目を向けて何かを納得したように一人頷く。

 そのまま視線を床に転がった男子生徒から照麻に移してから愛莉が言う。

 照麻の視線は愛莉の顔から腕組みをしたせいで強調された胸に誘導された。

 が、香莉の突き刺さる視線を横から感じたので、すぐに上に上げて愛莉の顔を見る。


「それよりアンタ今日私の家に来るの?」


「うん。やっぱり俺が行くの嫌だったりします?」


 恐る恐る聞いてみる。

 いつものパターンではあるが嫌と言われるのは覚悟している。

 だが聞かずに行って後で雷撃なんて言うのも嫌なのでここで断られたらそれを理由に香莉には申し訳ないが今日は諦めてもらう事にした。


「はぁ~」

(急に来るって言われたら緊張するんだけど……でもまぁ香莉もいるなら二人きりじゃないし……)


 愛莉がため息をついて、香莉と照麻を交互に見る。


「まぁ今日ぐらいなら来てもいいんじゃない」


 予期せぬ言葉に照麻の思考が停止した。

 これは一体どうゆう風の吹き回しかと思い、香莉に助けを求めるが首を横に振られた。


「なら私とも一緒に帰ろっか、照麻」


 更に一言。

 今日の愛莉は一体どうしたんだと言うのだろうか。

 そんな事を照麻が思っていると、それは香莉だけでなく、教室の扉から入って来た優莉と由香まで口をポカーンとしていた。


「えっ? 皆急に黙ってどうしたの?」


 照麻の返事がないだけでなく辺りを見渡した愛莉が一番戸惑い始める。

 いやいや戸惑っているのはこっちだから、と教室にいて意識がある者達が各々心の中で突っ込む。


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