兄妹でも恥ずかしい
「あっ!」
照麻が一体何事かと思い、由香の視線の先を見る。
そこにあるのは照麻の手に上から包み込むようして置かれた香莉の小さい手である。
一難去ってまた一難。
周囲の温度が下がり始める。
慌てて逃げようとする照麻だったが「相変わらずですね」と香莉が照麻の後ろに逃げるようにしてやって来ては大きな胸を押し当てるようにしてしっかりと身体を密着させてきた。
「いいんですか? このまま私を攻撃したら照麻さんが巻き沿いになりますよ?」
「うっ!?」
その一言に由香が戸惑う。
さりげなく由香の後ろに忍び寄った優莉が両手で背中を強く押した。
「は~い、喧嘩はダメだよ~。由香ちゃん暴れたら家が崩壊するからね~」
「きゃっ!?」
突然の事に由香が態勢を崩して照麻の方に態勢を崩す。
慌てて両手を使い由香の両肩を掴んでキャッチしようとするが、反応が遅れた為に間に合わなかった。
「いてて……ん? なんだこれは」
左手が何かを掴んでいる。
目の前には由香の後頭部がある。香莉は照麻と由香が衝突する前にどうやら逃げたらしく、照麻の視界の先にいる。
それにしてもこの柔らかくて何とも感触がいい物は一体。
そう思い、視線を下に写すが由香の身体が邪魔で見えない。
「まぁ、大胆ですね」
「わぉ~」
よく見れば香莉が頬を赤く染めて、口元を隠している。
優莉は優莉で何かを除くように香莉の隣からこちらを見ている。
二人に言える事はどちらも目を大きく見開いて、何か見てはいけない物を見ているが目が離せないとそんな感じだった。
愛莉は香莉と由香の隣でブルブルと身体を震わせている。
疑問に思い、もう一度左手に意識して動かして見る。
すると。
「ぅうッ……ぁ……」
すると今度はいやらしい喘ぎ声が聞こえてきた。
あれ? 確認のため、もう少しだけ左手でモミモミしてみる。
「そ、そんなに…強くされると……わぁた…し……おかひぃく……なっちゃっいます……」
由香の身体が異常に熱くなる。
そのまま頑張って身体を上げる由香。
「その……お兄様……皆様の前で……何処を触られているのですか……」
恥じらう由香。
その言葉にようやく照麻の脳が理解する。
左手が何を触り、何を揉んでいたのか。
それはメロンのように大きくもマシュマロのように柔らかい由香の胸だったことにようやく気付いた。
慌てて手を離して弁解する照麻。
「す、すまん。これは事故だ」
「い、いえ。私もバランスを崩して醜い物を触らせてしまい申し訳ございませんでした」
真っ赤になった由香は目の焦点が合っていない中、周りをキョロキョロして隠れる場所を探し始めた。数秒後、勢いよく立ち上がった由香が走り始めた。突然の事にまだ開いた口がふさがらない香莉と優莉の背中の後ろに慌てて隠れる。
直後。
「アンタねぇ……人の家で生々しい物を見せるんじゃないわよ!」
愛莉の怒りが爆発し、高電圧と化した電流が照麻を襲った。
そのまま意識が朦朧とし始めた照麻は眠りにつくこととなった。
この時。
手加減したとは言え、愛莉は少しやり過ぎたと後から思った。
だってあれは不可抗力で元はと言えば優莉が由香の背中を押したのが原因なわけで、なんで自分でもこんなにもイライラしてしまったんだろうと疑問に思った。
ただ照麻が他の女の子と仲良くする行動に最近イラっとしたり、仲良くしたいのに気持ちと裏腹な行動ばかりをしてしまうこれは一体なんだと言うのだろうか。
そんな疑問であり戸惑いでもある感情が愛莉の心の中で生まれた。




