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俺と由香の学園生活と三姉妹が初恋するまでのお話し~由香(妹)と三姉妹の仲が思うように良くならないのが俺の悩み~  作者: 光影


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由香のハードル調整


 家に帰り、由香が作ってくれたそうめんとエビと野菜の天ぷらを美味しく頂き、香莉から出された課題までを終わらせた照麻はベッドの上で寝そべって癒しを得ていた。今日はもうお風呂も済ませてあるので後は寝るだけである。そんな照麻の背中の上には昨日と同じく由香が馬乗りになり両手を使いマッサージをしていた。何だかんだ照麻が高校生――学園生になってから半月以上由香と一緒に居た事は初めてだ。その為か由香の機嫌はとても良かった。


「今日のお勉強は何されたんですか?」


「ん~、そうだな~なんだと思う?」


 ここでちょっと意地悪をしてみる。

 素直に答えても良かったがこれも照麻なりの由香とのコミュニケーションである。


「そうですね~」


 由香は手を動かしながら考え始める。

 昨日は理科をしていた事は知っている事から確率は四分の一となっている。

 一見四分の一と聞くと当たりそうと思うが、実際当てるのは運頼みと言った所だろう。


「あっ、わかりました。社会だと思います。暗記教科は先にやった方がお得ですし」


「ざんね~ん」


「えーーー。答えはなんですか?」


「答えは数学。それで明日が社会。それと英単語の暗記」


「なるほど。なら明日は糖分が必要になりそうですね」


 確かにと照麻は思った。

 社会の歴史と英単語はまる暗記して覚えるしかない。

 となるとこれはこれで頭を使う事になる。


「だよな……俺大丈夫かな……」


「なら明日は甘い物も用意しておきますね」


「流石! 由香は気遣いが良く出来るから将来いいお嫁さんになれるかもな」


 照麻が褒めると、由香が両手を止めて顔にあてる。

 そして照麻の上でウネウネと身体を動かし始めた。

 もし照麻の態勢が逆だったら十八禁だなと思いながら、照麻が由香の表情を確認すると、真っ赤になった頬が柔らかくなっていた。


「もぉ~お兄様ったら~。由香を将来理想のお嫁さんにしたいだなんて~照れちゃいますよ。ったくもぉ~しょうがないですね、ここは私が一肌脱いで、今週はお料理以外にも洗濯、掃除も頑張りますので期待してくださいね」


 あれ~? 何か話しが飛躍したような気が……。

 照麻はどうした物かなと思ったがすぐにそのままでいいやと判断して気にしない事にした。

 しばらくすると、何か一人満足したのかマッサージが再開される。


「では次は肩をしていきますね」


 そう言って由香が照麻の肩と腕を掴んで勉強で凝った筋肉をほぐしていく。

 力加減も程よく気持ちいい。


「それにしても肩も凝ってますね」


「うん、ホント参ったよ……」


 照麻は小さくため息をついて。


「なんで勉強しただけで心だけじゃなくて身体もボロボロにならないといけないんだよ……俺何一つ悪い事してないのに……」


「それは日頃の行いが影響しているのでは?」


「グっ……由香……今は現実を突きつけるのは止めてくれ……」


「うふふっ、自覚はあったのですね」


「ないとは言えないかな」


「ならいいです。お兄様は普段しないだけで、一生懸命すれば私より凄い事を私は知っています。確かにすぐには結果が出ないかもしれません。お兄様の場合は怠けている期間が長ったからですから」


 なんだろう、身体は癒されているのに心が擦り減っていくこの感覚は。

 照麻は目に見えない攻撃を受けた気分になった。


「でも一年も頑張ればきっと私など足元に及ばない程度には結果が出ると思いますよ」


 嬉しそうに言ってくる由香。

 だけど照麻はその期待だけには答えられる自信がなかった。

 そもそも頑張って辿りつける次元に由香がいるかと言われればいない。

 生まれた時から頭の出来が違う、そんな感じの話しなのである。

 だからどれだけ努力しても魔術でも勉学でも由香だけには勝てる気がしない。

 その証拠に由香は学園を超えて、魔術都市で見ても一部の人間、それも一部の天才にしか与えられない上級魔術師と言う名を持っている。そんな人間にたった一年頑張っただけで追いつける程現実は甘くない事を照麻は知っている。


「頼む。今だけは……今だけでいいから……今週頑張れば赤点回避できるって言う小さい期待にしてくれないか、由香」


 あまり弱音は吐きたくないが、照麻は本心を伝える。


「はい。お兄様なら赤点程度は余裕でクリアできると信じております」


「ありがとう」


 まだ少し期待という名のハードルが高いが、さっきに比べたら大分下がったので良しとする。

 マッサージが終わり、起き上がる照麻。

 肩を動かして見ると、お風呂上りより軽く、腰を動かして見ればとても軽い。

 これも由香のおかげだなと思い、お礼をする。


「由香、ありがとう」


 手を伸ばしてお風呂上りでサラサラになった由香の頭の上に手を置く。

 そのまま少し力を入れて、頭を撫でてあげる。

 手入れされサラサラになった髪がボサボサになるが、「えへへ~」と言って由香が喜んでいるので気にしない。むしろ由香の場合はこれくらいの方が一番喜んでくれる。

 顔の筋肉が緩み由香のニヤニヤが止まらなくなった所で照麻が手を止める。


「いつも思うんだけど、そんなに気持ちいいのか?」


「はい! なんて言うか、愛情を感じると言うかそんな感じです」


 目を大きく見開いて由香が言う。


「ならいいんだけど。それと俺が言うのは間違ってると思うんだけど髪の毛ボサボサになったんだけど大丈夫だよな?」


「はい。櫛で溶かせばすぐに元通りですから。それにそんな些細な事でお兄様が頭を撫でてくれなく事の方が私にとっては大きな問題ですから」


「そっかぁ……その理屈はよくわからんが、問題なしってことね?」


「はい」


 照麻の頭の中では髪がボサボサになると大抵の女性は怒ったり不機嫌になると言う一般的なイメージがあるのだが、どうやらそれは由香には当てはまらないらしい。


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