表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と由香の学園生活と三姉妹が初恋するまでのお話し~由香(妹)と三姉妹の仲が思うように良くならないのが俺の悩み~  作者: 光影


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/70

新一年生と新二年生の対決【ジリ貧】


「上空……激しい光と爆炎、後はたまに飛んでくる魔術しか見えないけど」


「私の目にはハッキリと魔術が見えていますので」


「え? 視力幾つ?」


「10.0です」


 何処のアマゾネスだよと思わずにはいられない驚異的な視力の良さに照麻はある事を願いつつ愛莉をチラッと見る。


「ん? 本当だけど?」


 愛莉はそれが当然のように照麻に対して視線を逸らしたまま面倒くさそうに答えた。

 単純に照麻の五倍以上。

 香莉は下級魔術師でもサポートをメインとする魔術師と言う事になる。

 きっと今も照麻には遠すぎて見えない光景が香莉にはしっかりと見えているのだろう。

 そして優莉は中級魔術師。

 そう簡単に負ける事はないのかもしれない。


 正面の突撃部隊とは別に精鋭による奇襲部隊が迂回する形で突撃してきた。それにいち早く気付いた愛莉はこのままでは敵の標的となると判断し照麻を蹴り飛ばし香莉を両手でホールドして大きくジャンプした。


「なにしてるの! ぼっーとしてたらやられるわよ!」


 もし愛莉に蹴り飛ばされていなかったら今頃魔術によって発生した砂嵐に肉片を切り刻まれていたとようやく頭が認識した照麻。


「すまん……助かった」


 お礼を言って照麻はすぐに態勢を立て直す。

 後衛ポジションで待機していた全員がすぐに反撃に移る。


 照麻はすぐに敵の数を確認する。

 視認して確認できるだけでも十三人。こちらは全部で九人。正直部が悪い。だがここで逃げたら先輩の威厳がなくなる。そう思い照麻が覚悟を決める。


「来い『炎帝』!」


 fase三程度となった照麻の魔術が発動する。赤い炎が出現し照麻の身体を覆いつくす。敵と認識したものを燃やす炎系統の魔術で近接戦闘、遠距離戦闘両方が可能な魔術である。ではあるが、得意の近接戦闘で今回は行くことにした。


 細身の男子生徒がこちらの陣形の隙を縫い愛莉に向かって突撃してくる。


 照麻はすぐに愛莉と香莉の盾になるようにして立ち、男子生徒を迎え撃つための準備をする。


「照麻さん、気を付けてください。彼の魔力反応からして恐らく中級魔術師です!」


 聞きなれた声に照麻は一度振り返り頷く。

 香莉の心配そうな表情を見て、照麻は深呼吸をする。


 照麻は走って来た男子生徒とすれ違う瞬間にカウンターを入れて動きを止める。大きくジャンプし後方に転がる男子生徒に向かってかかと落としを決める。がこれは簡単に躱されてしまった。


「舞え、『炎舞』」


 ボソッと男子生徒が呟くと炎で出来た剣が出現した。

 照麻は態勢を低くして突撃する。


 両者の距離が縮まる。


 腰を屈め初撃を躱し、そのまま右足を軸にして身体を回転させて、男子生徒の足を払い態勢を崩し、起き上がると同時に左足に力を入れて踏ん張り運動エネルギーを右拳に全て伝えながら、背中が地面に着いた男子生徒に渾身の一撃を入れる。


「……しまった」


 照麻は一撃を入れると同時に後方にジャンプして距離を取る。


「浅いか……。それと今の感触は防御魔術」


 照麻は硬い鉄板を殴ったような感覚に右手がジンジンと痛むのを我慢する。

 だけど全てのダメージを緩和できなかったらしく、お腹を抑え剣を杖にして立ち上がってくる男子生徒。


「いてて。お見事です」


「それはどうも」


「先輩は俺達の大将のお兄さんですか?」


 照麻は警戒心を高める。

 大抵由香と比べられた時は今までの経験上物事が良い方向に進んだ記憶がないのだ。


「だとしたら?」


「赤井さんからもし先輩に会ったら数で攻めろと言われました。悪く思わないでください」


 男子生徒が照麻に向かって投げつけてきた。

 剣はそのまま一直線に照麻の身体に向かってくる。

 そして男子生徒が「舞え! 『炎剣』!」と叫んだ瞬間、剣が分裂し大きさが十分の一程度に小さくなり、小さい剣の数が十本になった。

 このまま後退すれば背後にいる愛莉はともかく香莉が危ないと判断し照麻は臆することなく男子生徒に向かって足を動かす。距離にして十メートル程度。飛んでくる剣さえ避ける事ができれば相手は武器を持っていないことから無防備と言っても過言ではない。


 一本、一本、一本とギリギリまで引き付けて躱していく。どうしても避けられない剣は素手を使い剣の側面を叩くようにして弾いていく。炎帝の防御を使っても良かったが発動だけでも身体能力向上効果がありその分魔力を使う。そこに防御までとなると照麻の魔力量では長く戦えなくなってしまう為、あてにはしない。


 全てを避け、捌ききった照麻は丸裸となった男子生徒との距離を一気に詰める。

 そして足の裏を爆発させるようにして大きく踏み込む。


「悪いが、俺の勝ちだ!」


 その瞬間、男子生徒がニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「照麻さん!」


 香莉の声が聞こえた瞬間、その意味もすぐにわかった。

 攻撃に使おうと思っていた魔力を全て『炎帝』に回し、自動防御を発動する。

 そのまま左足を軸に強引にブレーキをかけて男子生徒の右斜め前方方向に飛び、でんぐり返しをして一気に後方まで駆け抜ける。


「あぶねぇ、あのまま突っ込んでたら……」


 照麻は額の汗を学ランの袖で拭きながら、男子生徒がズボンのベルトそれも背中に挟むようにして隠していた短刀を見て危機一髪だったと思った。

 これも由香の指示なのだろう。

 照麻はそう思わずにはいられなかった。今の攻防で魔力も大分減ったが何より一番の問題は体力だった。全力で動いていた為に早くも息が乱れ始めているのに相手はまだまだ余裕そうに見える。これが下級魔術師と中級魔術師の純粋な力の差だと嫌でも実感してしまった。


 このままではマズイと思い照麻が周囲を見渡すが、愛莉も香莉を護りながら戦っていてこれでは助けを呼べない。どうやらインカムから聞こえてくる声を聞く限りどこも人員がカツカツのようだ。最初の一撃で大きくな損害を受けた。これが二年生と一年生の大きなハンデを限りなくゼロにしていた事にようやく気が付いた。


「ったく、由香の奴……涼しい顔して本気の本気じゃねぇか」


 苦笑いをして出来のいい妹を褒める照麻。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ