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竜と名のつく地で5

 講堂から出るとすっかり夕暮れ時だった。校舎から、校庭から、体育館から、次々に生徒達が出てくる。その中に男子生徒二人。もちろん慎一郎と徹だ。


「じゃあ、俺はここで……」

 慎一郎は足早にその場を立ち去ろうとするが、

「おい、驕る話はどうなった? 俺は明日でもいいが、昼飯三日分になるぞ」

「悪徳高利貸しもびっくりの利率だな!」

 そう言って二人で笑い合う。もうすっかりいつもの徹だ。剣術部にいたときの徹はもういない。


「で、どこへ行く? やっぱりいつもの所か?」


 北高の正門の前にはハンバーガーショップがあるが、この系列店は高級志向で、高校生の身には少々つらい。正門前の市道を少し行ったところにファミレスがあり、ドリンクバーだけで長居できるここは放課後の北高生の憩いの場となっていた。


 そこは通学路としては少々遠回りになるが、最短距離のあの交差点――夢の中でドラゴンを見た交差点だ――あそこは通りたくないというのが正直なところだった。


「どうする? 俺としては普段行かないような高級店でもいいぞ。ほら、駅前にあったろ? なんとかっていう……」


「お前、おれの奢りだからって言いたい放題だな。よし、いつものファミレスに行くぞ。決定!」

「よーし、じゃんじゃん飲むぞ! 今日は慎一郎の奢りだ!」

「奢りって言ってもドリンクバーだけだけどな」


 周囲の生徒達の例に漏れず、慎一郎たちも大声で笑いながら校門を通り過ぎていく。日は落ちて周囲は暗くなっていくが、夜にはまだ早い。


「栗山くーん、また明日ー!」

 クラスの女子たちが目ざとく徹を見つけて挨拶してくる。


「ちょっと待ってよ~。そんな冷たいこと言うなよ。これからどっか行くんだろ?」

 三人で歩いている女子達はキャッキャ笑いながら何事か相談している。そして少ししてから、


「これからカラオケに行くんだけど、一緒にどう?」

「お! 行く行く! 俺の美声でみんなを酔わせてやるぜ!」

「きゃーっ!」

 即答である。慎一郎は「それじゃ、ドリンクバーはなしって事で」と言いながら足早に立ち去ろうとした。が――


「うぉーっ、そうだった! ドリンクバーのこと、すっかり忘れてたぜ!」

「今話してたのに、忘れるの早過ぎるだろ……」

「どうすればいいんだ……。あちらを立てばこちらが立たず……。うぅ、人気者はつらい……!」


 どうやら、本気で悩んでいあるようだ。気がつけば、くだんの女子達は徹を置いて楽しそうに校門をくぐっていった。


「先に行ってるぞー」

 と、やる気なく言い残して慎一郎もその場をあとにするが、その言葉は果たして徹に届いていただろうか?

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