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夏の終わりに5

 クライマックスの花火の大洪水ともいえる連続打ち上げも終わり、花火大会の幕は下ろされた。

 ぞろぞろと校舎や部室棟に戻る生徒もいれば、その場に残って余韻に浸る生徒もいる。

 二人が持っていた抱えきれないほどの食べ物も主にメリュジーヌによりすっかり平らげられていた。


「あたしたちも部室に戻ろっか」

 と結希奈が言うので慎一郎は部室に戻ろうと立ち上がった。結希奈の手を引いて彼女を立ち上がらせたところで後ろから声をかけられた。


「よう、お前ら一緒だったのか」

「斉彬さん」

 振り返ると、そこには斉彬とこよりがいた。


 斉彬達と連れだって昇降口で上履きに履き替え、〈竜王部〉部室のある旧校舎へと歩いて行く。


「どうだ? 花火楽しめたか?」

 帰り道の途中で慎一郎の隣を歩く斉彬が聞いてきた。


『いやー、なかなかの美味であった。日本の祭りも捨てたものではないの』

「はは、そりゃ何よりだ」

 メリュジーヌの的外れの答えに斉彬は肩をすくめる。


「すごかったですよ。あれ全部、生徒会で用意したんですよね?」

「ま、生徒会うちには優等生が多いからな。楽しめたみたいでよかったよ」

「それよりも斉彬さんはどうだったんですか? こよりさんと花火見たんでしょ?」

「いや、それがな……いろいろあって……」




「それでどうだったの、こよりちゃん?」

「え、どうって、何が?」


 慎一郎と斉彬の後ろから少し離れるように結希奈とこよりも部室に向かって本校舎から旧校舎へと繋がる廊下を歩いていた。

 結希奈としてはこよりと斉彬がどうなったのかを一刻も早く知りたい。こう見えても女子高生だ。そういう話に興味がないわけがない。


「もう、はぐらかさないでよ! “隠し事”の話だよ! まあ、こうやって一緒にいるところからすると、こよりちゃんの考えすぎだったんだろうけど」

「うん、そのことなんだけど……」

「うんうん!」

 前のめりになるのを止められない結希奈。


「いろいろあって、聞いてもらえなくて……」

「ええっ、どういうことですか!?」「はぁ? なによそれ!?」

 慎一郎と結希奈が同時に同じようなことを叫んだ。思わずお互いの顔を見るが、どちらも訳がわからないといった表情だ。


「詳しく聞かせてくださいよ、斉彬さん」

「そうよ、きかせてよ、こよりちゃん」

「実は……」「えっとね……」


 斉彬とこよりはつい先ほどまで起こっていた“騒動”の顛末について語り出す。

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