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黒猫のアラシと二度の嵐6

聖歴2026年8月14日(金)


 目覚ましアプリに頼らず、朝日で目が覚めるなんていつぶりだろう?とてもよく寝た気がする。


「あ、あれ……?」

 昨夜からの記憶がない。確か、台風が来るから雨戸を閉めて……。


「思い出した。百物語やったんだ……」

 嫌なことを思い出した。怪談が怖すぎて失神してしまうなんて、巫女失格だ。


 身体の節々が痛い。応接間の朝まで寝ていたからだ。昨夜、シャワーを浴びていないから身体がベトベトだ。シャワーを浴びないと……。 

 雨戸の間から朝日が差し込んでいる。雨音は全く聞こえない。それどころかセミがしゃんしゃん元気よく鳴いている。きっと今日も暑くなるだろう。


「……っとシャワーシャワー」

 そう思って起き上がろうとしたときだった。


 ――ふに。


「……?」

 起き上がろうと手をついたところ、奇妙な感触。

 応接間の畳の感触ではない。もっと柔らかくて、手のひらサイズの丸い物体で、そして毛がみっしり生えている。


「き――――きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 慌てて手をどけようとしたが、辺りには結希奈を取り囲むようにたくさんのネズミが置いてあり、どこに手をついてもネズミに触れるのを避けられない。


「あ、もう……だめ……」

 だんだん意識が遠のいていく。

 薄れゆく意識の中、アラシが新しい“お見舞いの品”であるネズミを咥えて部屋に入ってくるのが見えた。


 うちにそんなにたくさんネズミいたのね……。

 そんなことを考えながら結希奈の意識は再び途絶えた。


 結局、その日は結希奈の意識は回復することはなく、〈竜王部〉は期せずして二日連続のお休みとなったのであった。


 余談ではあるが、その後、高橋家のネズミの数は激減した。黒いハンターはなかなか優秀であった。

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