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大迷宮時代7

聖歴2026年7月27日(月)


 七月も終わりにさしかかった。今日も暑い。毎日暑い日が続き、辺りではセミの鳴き声が響き渡ってより暑さをアピールしている。雨もあまり降らないので、作物への水やりは欠かせない。


「よし、ちょっと休もうかな」

 長袖のジャージ姿に麦わら帽、首にタオルを掛けた碧が畑の傍ら立つ木の根元に敷いたシートの上に腰掛ける。地下迷宮でウサギの〈守護聖獣〉に力をもらったあとでも欠かさず畑に出て作物の世話を続けている。


 新しく拓いた畑でのニンジンの生産は順調だ。三日ごとにたくさんのニンジンが実り、生徒達とウサギたちに恵みをもたらしてくれる。

 碧は畑の隣に目を向けた。そこではプール開きの前にプールがプレオープンされており、プールのオープンに貢献した生徒達が一足早くプールを楽しんでいる。


「ふふ、楽しそう」

 思わず笑みがこぼれる。


 と、そこにウサギが一羽やってきた。ウサギは碧の前までやってきて、くんくんと鼻を動かした。碧の頭上にはウサギの耳が現れて、その言葉を聞き取る。

「あ、おわった? お疲れさま。え? 全然疲れてないって? ふふ、きみたちにとってはご飯だもんね。わかった、じゃあ次はあっちの……」

 碧の指示に従ってウサギたちが一斉に移動していく。


 碧がウサギたちの親代わりとなり、碧の指示を聞くようになってから、ウサギたちは園芸部が管理する畑の草取り担当として活躍することになった。

 最初は何も知らずにニンジンを盗んでいたウサギだったが、食べてはいけない作物を教えてやるとかれらは優秀な草取り要員になった。

 部員たちは草取りに取られる時間がなくなり、その時間を新しい畑の管理に回すことで園芸部の収穫量は更に増えることになった。


 ウサギたちはよく働く。整然と指示したとおりの畑に向かうウサギたちを見て碧はウサギの耳を揺らした。

「さて、わたしももう少しがんばろうかな」

 畑の横にあるプールからは楽しげな声が聞こえてくる。北高は今日も平和だ。

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