2.ツミカサネ
ゲームを始めるまで。次で始まります。
別に誰かが悪い訳でも無かった。
「多分お子さんは相性が悪いのか馴染めないんですよねー」
友達作り、空気読んだり、学校の課題提出や部活。ちゃんとやってきた。つもりだった。
「何か1人だけ新入生みたいな感じで...」
それを言うなら野球部に1人だけサッカー部みたいな感じだろ。
「原因ですか...うーん、まあ本人に友達とか入れば分かるんでしょうけど...」
高校2年で俺は辞めた。
中学は2年の半ば。小学生は5年の序盤で辞めたから、そんなに罪悪感は残ってない。頑張れば、多分完走できた。だが、何も残らなかったたと思う。俺は俺の人生に何も残っていないことを年度末に思い知る。クラス替え、する前とした後。先生や教室が変わった前後。何も変わらない?俺の積み重ねが壊れるという瞬間を知らない。何故なら、積み上がっていたと錯覚していたものは積んだ瞬間に崩れ落ちていたのだから。
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VRMMO。フルダイブ技術を応用し、とんでもなく金と時間を使って出来た第一作は発売価格25万という代物。その名も「VR sports」。完成度は高かったが、価格の高さに驚き、当然買う人は少々。
そこからの技術競争は凄まじく、立体音響を取り入れたり、触覚の再現、更には味覚なども再現可能。
それから8年。フルダイブ技術はもはや身近で当たり前の存在に。スポーツは怪我をしない、用具費用がかからないなどの利点からスポーツのeスポーツ化が始まった。ゲームも現実と際のないくらいになって来る。そんなご時世にとんでもない超大作が出た。
それは、これからのeスポーツ業界をさらに盛り上げようと、世界トップレベルの企業が協力して作ったオンラインファンタジーゲーム。内容は、アクションRPG(FPS)というよく分からんジャンルで、まあ色んな企業の得意な分野やが違うので、色んなジャンルの混合になってしまうのだが。そのゲームの凄いところは、そのゲーム自体を1台コンテンツにしようという気概で。なんとゲーム内で勝つと、リアルマネーの賞金がでるという事だ。しかも額は100万単位。まあそれくらいなら...と思った人もいるだろうが、このゲームはそのイベントをほぼ毎月、賑わえば週一でやるとか。世界規模。流石。そして、全世界対応という事で、自動翻訳機能が着いていて、ゲーム内なら海外の人とも、母国語に変換してくれて、ストレスフリーに話せる。てか、これだけで、リアルでもだいぶ世界が変わるんだが。
まあ、引きこもって時間はあるし、金が稼げるならそれでいい。そう言って俺はVRゴーグルをかぶり、ベットの上で電源を付けた。