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姫と機械仕掛け  作者: 宮弌也
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18番

機鉱国家バインアット。

豊富な金属資源を巡りいくつもの王族が対立し

500年もの間、内戦状態であった。

なかでも優秀な技術者を擁し、その技術者により開発された「半自動人間(オートメタ)」の活躍により

ロイド家が統一したのが約50年前。

王都マキナに於いてはロイド家の技術力の高さもあり、めざましいスピードで復興を遂げ周辺諸国の首都と遜色ないほどに発展を遂げているらしい。

王都自体がドーム型の結界で覆われており、

さらにその周囲を森林にぐるりと囲われている。

周辺地域の人々ですら全く関係のない者は森林に入る事も許されておらず、王都に行ってきた帰ってきたなどの話しは噂ですら誰も聞いた事はないらしい。

長い内戦の疲労からか現在の平和を享受している国民は素直に従い、王都の中は夢のような世界だ!などというお伽話まである。誰も知らないけれどそこにずっとあるいわば象徴のような存在になっている。

王都以外の街などはロイド家の血縁や関係者などによって統治されており、それぞれが自由に交易などを行なっている。


王都マキナより南方に馬で10日程の距離にある

「カステロ炭鉱」だけはバインアット有数の

鉱物資源の産地である為、王家の庇護を受けており

今では首都直通の地下鉄道まで敷かれているそうだ。

炭鉱とはいうものの荒野に大きなシャッターのある

倉庫があるのみである。


少し離れた岩陰に「18番」は隠れている。

そこからカステロの倉庫の様子を窺っている。いきなり忍び込んでも良かったが、

今までの経験から様子を見ることにした。

年は15、6歳だと言われる。

物心ついた頃から一人ぼっちで生きてきた。

生きる為に盗みなど、色んな悪さを重ねてきた。

何度か捕まり、牢屋に入れられたりしたが

まだ子供だったのですぐに放免された。

そんな事を繰り返して生きてきた。

今回、目を付けた「カステロ」は大仕事だ。

「王都御用達の炭鉱だから高値で売れる宝石なんかも

ある筈だ!これが最後のシゴトだ!これで金持ちになって遊んで暮らしてやる!」

だから、失敗する訳にはいかなかった。

成功後をワクワクと想像していると、

荷馬車が前を通り過ぎてカステロの倉庫へと

向かっていった。

積荷は布に覆われている為、何かは判らないが到着すると御者(ぎょしゃ)がシャッターの前でゴニョゴニョと何かを話している。

間も無くガラガラとシャッターが開き、中から剣を携えた2人組が出てきて御者と荷馬車を中へ招き入れる。あの倉庫へ何を運んでいるのか?食糧だろうか?

考え込んでいるとシャッターがガラガラと開いて

中から御者が出てきた。

「また、頼むよ。」

積荷は無くなっていた。

「何を下ろしたんだろうな。炭鉱の奴らの食糧か?

それにしても、剣持ちが2人はダメだ。」

18番に武器は無い。あっても逃げ足くらいのものだ。

「どーしたもんかな。」一気にやる気が無くなった。

武器持ちは勘弁だ。最悪殺される。

「なんとか上手いことできないかな。」

そう思案していると、もう一台の荷馬車が向かって来た。

「一か八かこれしか無い!」

荷馬車が通り過ぎた時に荷台に潜り込んだ。

暗くてよく見えないし、ガチャガチャしている。音を立てるのはまずい。幸い、御者には見つかっていない。荷馬車は何事もなかったかの様に倉庫へと向かっていった。

「このまま中まで入ってやろう。入るだけなら蹴っ飛ばされて放り出されるだけだろう。その前に逃げてやるけどな。」


ガチャガチャと適当に積まれた積荷が崩れない様に

じっとしていると、荷馬車が止まった。

倉庫に着いたようだ。

「ところで何を積んでんだろ?」

後ろの方の布を上げて積荷を手に取って明かりをいれた。

「、、、、、え、、て、、手?て、て、手?

手だああぁぁぁ!!」

手に持っていたのは人間の肘から先だった。

荷台から飛び出して逃げ出そうとしたが、遅かった。

頭を出した時に首元に剣があった。

剣持ちの1人だった。もう1人が腕を組みニヤニヤしながらこちらをみていた。

「小僧。、、、見たな。」

御者が暗い、不気味な声で言った。

「テメェは見ちゃならねぇモンを見ちまった。

もうダメだ。殺すしかねぇ。」

剣持ちもそれに応えた。

「それがここのキマリだからな。」

「、、、、、、殺す。」

あまりの恐怖に18番は動けずにいた。
















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