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I will meet you.

作者: 水桜


 ___会いたい。


 一年前の春、君は他界した。

交通事故だった。居眠り運転のトラックが君に衝突したらしい。


 僕にとっての最愛の人…それが君だった。

いつも、僕の隣でニコニコ笑ってくれて、落ち込んでるときは励ましてくれて、いろいろ助けてもらった。

僕の唯一の支えだった。


 でも、僕の支えはもうない。

君に会うことはもうできないのだ。


 君が交通事故にあったその日、君のお母さんから電話があったんだ。


「娘が、交通事故にあった。」


ってね。

僕は、走って君がいる病院へと向かった。

でも、僕が病院に着いた頃にはもう君は……帰らぬ人になっていた。


 その事実を突きつけられたとき、僕は久しぶりに大声で泣いた。

子供みたいに。

そしてこれは夢だとか叫んだっけなぁ。

 それぐらい、君の死を受け止められなかったんだ。


 だってさ、昨日までは普通に会ってたんだよ?

メールだって、今日の朝やりとりをしていたばっかなのに。

君の温もりだってまだ鮮明に覚えてる。

なのに、なのにさぁ?

もう、君と話せない、温もりを感じることができないだとか言われても、実感が湧くはずがない。


嘘だ、ウソだ、うそだ。


『きっと、これは悪い夢なんだ。』

僕はそう思い、必死で自分の頰を殴った。

『はやく……はやく目覚めろ!』

ってね。


 でも、そんな願いは儚く消えていった。

これが【現実】と、逆に証明されてしまったんだ。




___会いたい。




 君に会いたいよ。

もう、死んでから、一年の時が流れたんだよ。

君がいなくなって……一年経ったんだよ?


 もう、君の笑顔、仕草、香りも思い出せないよ…

ねぇ、また君の温もりに触れたいよ。

まだ、君の温もりを忘れたくない。

また、思い出したい。なのに、思い出せない。

なんてもどかしいんだろう。



どうにかして、君に会いたい。

 ……そうだ、うん、そうだよ。

僕が、君のところに逝けばいいんだ。

ははっ、なんでこんな簡単なことが思いつかなかったんだろうか?

自分で自分が情けない。


 僕は、キッチンにある包丁を取り出す。

光に反射され、綺麗に輝いていた。

これで、僕は君に会える。

きっと今、僕は君と一緒にいた頃みたいな笑顔をしているであろう。


 



 待っててね、今から君に会いに逝くから……____




THE END,



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― 新着の感想 ―
[一言] ハッピーエンドは“生きていること”だという印象が定着しつつありますが、私はそうだとは思いません。 主人公がハッピーであれば良いのです。 幸せならば良いのです。 きっと主人公はとても幸せな気分…
[良い点] ストーリーはありがちですが、プロの作家さんに負けない読んでいて引き込まれる文章表現が素晴らしかったです。 [一言] これからも新作期待しています!
[良い点] うっひゃ主人公こえぇ……!となるところ。 最後、「。」ではなくて「,」となっているのも個人的に大好物。 詠んだ後、題名に隠されたあつすぎる想いも言葉も、何だか怖いくらい愛おしい、なんて錯覚…
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