光を運ぶヴァンパイア
リッドは死んでしまった。私を助けて。そして、たった一言の…小さな一言を残して、砂になってしまった。砂を拾い上げて泣きじゃくる私を今でも覚えている。
リッドの『砂』を、持って帰り瓶につめた。父上と国王、殿下は式を逃げ出した私に何も言わず、再び挙げることにしようとしていた。私は、『自分の意志で生きたい。』そう思い、皆に何も告げず、青白い月の光の中を一人で歩き去って行った。
最後にリッドが言い残した言葉。
『俺は闇に生きるけど、クラリスは光の中で生きていく。けど、忘れんなよ…お互い、光と闇、対象な場に立っていても、俺はずっとクラリスの事を想っているから』
この言葉が、私の塞ぎ込んだ心を開いてくれたのかもしれない。初めて、自分の意志で生きたいって思ったのかもしれない。リッドがいなければ、今の私はいなかったとそう感じる。
月日が流れて…
私は今、元グーベルスタ王国付近の小さな村にひっそり暮らしていた。いつか父上たちが探しに来るかもしれないと、怯えながら。でも、あれから8年たっても来ない。と、言う事は、私は自由になれたんだと思う。村の人は、外の私を温かく迎えてくれて、何も不自由なことなく暮らしている。
私は、自分の家の隣に小さなお墓を作った。それは『1番愛おしい人』の…。そして思う。リッドは、私に自分の足で生きる希望と夢を教えてくれた『光を運ぶヴァンパイア』だと…。
ヴァンパイア。それは、憎いものではない。
ヴァンパイア。それは、大切な人の事だった。
最後まで、『ヴァンパイアは光を運ぶ』を、読んでくださり、ありがとうございます。
初めから、そんなに長く書くつもりはなかったので、うまくまとまらず、変な終わり方に…。すみません((汗))
次回作は、また恋愛ものを書こうと思いますが、それは長く書こうかと…。精霊師セリスもあるので、順序よく書けないかもしれませんが、そこは許してください…。
次回作&精霊師セリスと作者夏樹周十をこれからもよろしくお願いします。