1話「僕はチェイサーだ」
夢を見ることが許されない、学歴だけで身分の差が生まれ傷つけあった無望の世代。しかし、その最悪な世代には数人だったが政府に抗い、夢をあきらめなかった人達がいた。その人々をチェイサーと呼んだ。その世代が終わろうとしていた頃、僕は生まれ、大切な人の夢を叶えるという夢を持つようになる。そして夢を叶えることに特化した高校、命結高校。そこに通い、一人の低ランクで馬鹿にされてきたある少年が夢を見て、それを叶える話である。
身分をテーマにしたこの話は、漫画としても活動していく。こうご期待。
2070年。その当時を生きたものは夢を見ることが許されなかった。少子高齢化が進み、職を持つ人に片寄りが生まれ、経済環境が不安定となったことで、政府側がその年に生まれるすべての子供たちに「強制的な夢」を与えた。その夢を確実なものにするための教育プランも制作し、実行に移した。与えられる職は、その人自身の学歴から、AからGランクに分けられ、高い順から収入等が決められる。そのため、この時代では、個人的な夢を口にしたものは罰せられた。このように政府の指示を無視して小さな希望である夢を叶えようとした人々はチェイサーと呼ばれていた。しかしチェイサーは政府によってすランクを最低ランクに落とされる。この夢を一切見ることができなかった世代は、
「無望の世代」
と呼ばれていた。そして僕の実の父もその世代を生きていた人の一人だった。プロのボクシング選手になる夢を政府が潰した。そのためか父は夢を見ることに距離を置いている。
時は過ぎ、2077年、日本の経済は次第に安定してきており、無望の世代が終わろうとしていた年に、僕は生まれた。無望の世代が終わると同時に、夢を見る権利が次々に与えれていき、同時に企業や学校等もそれに合わせて活気が生まれた。僕も夢を見れることに嬉しさがあふれたが、僕はしっかりとニュースを見ていなかったことで気づかなかったが、夢を見られる権利が与えられるのはAからCランクの人々のみだった。僕の父はFランクの職に就いていた。そう、僕はまだ政府の鎖から解放されていなかったのだ。でも僕はあきらめたくなかった。自分にしかない夢を持って堂々と生きていく。そう父に伝えると彼はこう言った。
「夢は捨てろ。自分が傷つくだけだ。叶わない夢なんて、使えない切符のようなものだ。空をつかむようなこと言ってないで、さっさと仕事手伝え。俺たちは上には立てないんだ。」
なぜ父がそんなこと言ったのか、理由ははっきりわかっているだからこそ、反論できなかった。
でも僕にはあきらめられない夢があった。
「大切な人の夢を叶える」
母は僕が4歳のころに病で死んだ。そんな母は政府に与えられた職に就きながらも自分の夢を胸のなかで隠していた。優しさでできていたような母は僕に、「夢がないなら、夢を見させなさい。」という子供だった僕には少し難しい言葉を残して静かに眠った。
それから僕は夢を叶える手伝いをすることが夢になった。だが、そんな小さな夢も見ることができないこの世界に失望と怒りが沸いた。ランクで差が作られた世界なんか知ったこっちゃない。自分の夢は、永遠に自分のものだ。
意思を固めた頃、父の仕事の手伝いの合間の休憩中にあるメールが携帯に届く。
「君も夢のチェイサーに。」
そう、このメールは普段AからCランクの人々のみに送られる特別なメール。しかし、僕はFランクでこのメールを受け取れるはずがなかった。誤送信であったが、僕はこれをチャンスと見た。メールを開きリンクに飛ぶと、そこには聞き覚えのある島と学校の名前が記載されていた。
「唯津栄光島。国立命結高校。夢を叶えることに特化した学校に当選しました!おめでとうございます。それでは手続きの方を。。。」
見間違いではないか何回も見直したが、間違いない。これは誤送信が生んだ奇跡であった。すぐさま父に相談した。当然大反対。しかし父の顔には悲しそうな雰囲気があり、片目から流す涙が見えた。そう、父は自分がFランクの子供としてしまったことへの自分への怒りと、新しい時代の始まりに嬉しさを感じていたのだ。父は僕に何度もくじけないか確認し、悲しげな笑顔で僕の背中を一発殴ってこう言った。
「何があっても上を越えろ。自分を白い目で見る奴らなんか放っていけ。そいつら追い抜いててっぺん行ってこい。んで夢を叶えろ。それがお前の母さんへの親孝行だ。」
「僕は前に進む。これからたくさんの人にバカにされるだろう。沢山笑われるだろう。身分の差なんて関係ない。夢を叶えるのに身分を気にするな。僕は今を生きるチェイサーだ。」
この物語は未知の世界に飛び込んで夢を掴むある少年の話である。
一話「僕はチェイサーだ」完
主人公、羽山 硯はこれから沢山の試練に立ち向かい、たくさんの仲間と出会い、仲間の夢に協力しながら、自分の夢を叶えていきます。
青春熱血学園ストーリーにご期待ください。