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集落

集落にいる誰か視点

ここに自分がいる事を誰も知らない。

近くに町があるが、決して近づかないでいた。

あの町は小さいながら、自警団があり、下手に顔を出せば捕まる可能性があったからだ。

この集落での暮らしは楽ではなかった。

自給自足の生活なんて何不自由なく暮らしていたあの頃には想像もしていなかった。

使用人もいないから料理も洗濯も全部自分だ。

何も出来ない自分に最初集落の人達は胡散臭げに私を見ていた。

しかし一年経ち、二年経ち、五年経った今ではすっかり馴染んでしまった。

綿素材の服も板についてきた。

かつて貴族だったなんて最早誰も信じない。

もう、これで安心だ。

ずっとこのままここで暮らしていこう。

さすがに家族は持てないが、ここで、朽ち果てるのも…仕方ない。

自業自得でここにいるのだし、自分のやった事に対して受けた罰としてはかなり軽いといえるだろう。


そう、私は満足していた。


しかし、平穏は唐突に破られる。

自警団がいない事が裏目に出た。

どこから湧いたか山賊が徒党を組んでこの集落を襲ったのだ。

五年のブランクがあるとはいえ私の力を使えば山賊如きに遅れはとらない自信がある。

しかし、使えば一発で私が何者かがバレる。

こんな隔絶した集落でも年に三回は商人がやってきて新聞を置いていくのだ。

これを集落の人間は回し読みする。

それこそ娯楽に飢えた集落だ。

穴が開くほど読み込む。

だから、彼らでも私の事を知っているのだ。

私が何者かバレたら間違いなく追い出される。

それは避けたい。

しかし、集落の人達が、山賊の手にかかり、命を散らしていく。

私の家にも彼らは押し入ってきた。

大丈夫、うまくアレは隠してある。

見つかりはしない。

表だけみれば質素な男一人暮らしだ。

私は山賊に剣を突きつけられて僅かばかりの貯えを差し出す。

本当に僅かなので、彼らは不満顔だ。

こんな集落にお宝なんてあるわけないのに。

怒りに任せてアレヤコレヤと、壊していく。

別に棚でも机でも壊せばいい。

私はこの時までまだ余裕があった。

…しかし。

「…おい、これはなんだ!?」

しまった!

壁と壁の間にある隠し部屋に気づかれてしまったようだ。

私は青ざめる。

「よし!入るぞ!」

まずい!!

山賊どもは容赦なく部屋に入り込み、程なくして悲鳴をあげた。

ああ、せっかく隠していたのに…

「こ、これは…!?」

山賊が青ざめた顔で私の元へと転がるようにやってきた。

「お前はもしかして…」

ああ、気づかれた。

仕方ない、集落は捨てざるを得まい。

探せばまた私を受け入れる下地のある場所くらいあるだろう。


そう、思い力を振るおうとして。

『うわぁぁぁあ!!!』

尋常とは思えない山賊どもの叫びが響く。

「なんだ!?」

家の中にいた山賊の一人がドアをあけた。


開いたドアから私はみた。


無数のアンデットを!!


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