可能性
大変、遅くなりましたがどうぞ。
クレアと別れ、僕はロンザとも別れ借家に戻った。ロンザは冒険者ギルドというところモンスターの魔玉やドロップアイテムを換金に行ったのだ。へさすがに疲れたのでベッドでぱたっとなって休む。
はぁ、今日は本当にいろいろあった。
ダインの身体で生きなければならないことを実感したし。
僕自身は武術なんか習ったことなかったけど、この身体ならモンスターと戦えることが分かったし。
クレアというダインの幼馴染にして初恋の相手ともあったし。
元の名前を捩ってルウィなんて名前を名乗ることにもなったし。
あと金銭的に苦しいこともわかったし……とほほ。
クレアさんかあ。
クレアという存在はダインの中では美少女で包容力があって笑顔が可愛いとなってる。これが10歳未満のときからの変わらない感想だから……ダインは本当にませたガキだったんだな。
僕的には、クレアはちょっとコワイ存在だ、何かのきっかけで正体がばれそう。それにダインの記憶の影響で好きになってしまいそうで。
うつらうつらしていたら扉が開いた音がした。ロンザが帰ってきたのだろう。体を起こしてリビングに向かう。やっぱりロンザだった。
「ただいま戻りましたルウィ様。」
「お帰り。」
「お加減はよろしいようですね。ではルウィ様、お話しがあります。」
「はいはい、なんか今日のロンザはいつもよりおしゃべりだね。」
「有能なメイド・ドールは殺るときには殺るんです。」
「漢字が違う!」
「まあ、それはさておき、今後の計画をお話ししましょう。」
「スルー技能も高!」
「クレア様に雇われるように話しを持って行ったのは、ルウィ様の目的「元の世界に帰る」には絶対に必要と考えたからです。」
ロンザはその考えを披露してくれた。メイド・ドールは主人の願いを叶えるために存在するものだと。だからルウィのため、生活を安定させるだけでなく、元の世界に戻る方法を考えていてくれたらしい。
キチンと帰りたいとは一言も言ってないのにもかかわらず主人の願いを読みとり、そのために自主的に動くロンザ。メイド・ドールという存在と存在意義を僕は初めて認識した気がした。
「ルウィ様、護国七家の筆頭四家の秘宝とは?」
「ええと、フレイム家の焔のロッド、アイス家の氷の鏡、グランド家の金剛石の盾、ウインド家の風の笛……っあ!」
「そうでございます。どれもパルムの万能水晶に勝るとも劣らない古代魔法文明の品物。なら……」
「ならパルムの万能水晶を持っている可能性があるね!王家か護国七家なら!」
「左様にございます。しかし流浪の身であるルウィ様では一生かかってもその者達に会うことは叶いません。ええ、近づくことすらできません。
しかし、傍流とはいえクレア様はフレイム家の者。さらにうまいことに学園に通う身であられました。あそこなら顔が売れます。クレア様より遥か上の身分のものに取り入ることも可能です。」
クレアさんを踏み台にするようなことはしたくないけど、帰れる可能性が……あるんだ。
読んで頂いて感謝感謝です。
なかなか話が進みませんね。
なんとか進行を早めるよう頑張ります。