ダインの実力
ではどうぞ。
何でこうなった?
今、僕とロンザは城壁を抜けたモンスターによって包囲されていた。数は大体2、30ってところか、二重三重に囲まれている……詰んだ。やはりモンスターの襲撃を見物しようなんてしたからバチが当たったんだ!
どうしようか悩んでるうちに、威嚇の唸り声をあげていたモンスター……体長2m程の鷲の頭と犬の体を持った凶暴そうな奴……が一斉に襲いかかってきた。ああ、ヤバイ!
(避けよう!そしてなんとか逃げようよ!)
(今からじゃあ無理さ、そんな空間も時間もない。迎え打つべきだ。)
(やだ怖い!逃げようよ!)
(怖いさ!でも逃げようと背を向けたらたら確実に死ぬよ。)
(やだ!それはやだ!)
(なら、決まりだね!)
一瞬頭の中に浮かんだ会話……まるで僕とダインが会話しているかのようだった。そして僕が僕でなくなるような、精神のスイッチが切り替わるような感覚。
身体を巡る熱い力を感じ、何故か回し蹴りができる気がした。
「やあああ!」
ドゴォ!目の前に躍り出てきていた1匹を蹴りつけたら横にいた数匹ごとまとめて吹っ飛んで行った。間髪いれずに反対方向から迫り来るモンスターとの距離を調整し次の回し蹴りを放つ!その後も続けて連続で5回の回し蹴りを放った。
ってあれ?いつの間にかモンスターが全部吹っ飛んでる。
「ふう、ちょっと危ないって思っちゃったじゃないですかご主人様。さっさと諦めて本気出して下さい!いくら弱いものいじめがきらいだからって時と場合を選んでくださいね。」
しゃがんでいたロンザは立ち上がると、全くぅと言いながら懐から袋を取り出した。近くに転がっている輝く石のようなものを拾い集め始める。モンスターは死ぬと光の粒子となって消え去り、後にはこの石が残される。これは魔石と呼ばれいろいろな用途に使える。当然売ればそれなりの金になる。文無しに近いダイン達にとって貴重な臨時収入である。
これが目当てだったんだなロンザ……
ロンザが魔石を拾い集める間、僕は今の戦闘を振り返ってみる。あれは、ダインが習っていた魔闘術だ。ダインは元々小さい頃から魔法だけでなく戦闘術も習っていた。特にサイコ家に出されてからは、魔法よりも魔力を使った戦闘術である魔闘術を極めんとしていた。サイコ家の”霊術”魔法使いの護衛になるためだ。ダインの主観ではあるが同じ年頃では相手になる奴がいないほどの実力があったみたい。なのに、サイコ家に出て行くよう言われた。理由が全く思い付かない。だから、余計にショックっだったみたい。
「ダイン様、あちらの方で、そのぅ、もう少し見物しましょう♪」
「言葉をつくろわなくていいよ、この際、少し稼ごう。」
「新しいダイン様は話がわかる方で良かったですわ。」
それから、2、3回モンスターの集団と戦闘になったが、全く問題がないくらいダインは強かった。自分で戦っていてなんだが、本当に弱いものいじめに近い。
そうこうしているうちに街の防衛に参加する者が増えてきてモンスターの姿も減ってきた。
「ロンザ、そろそろ戻ろうか。」
「はい、あらっ?あちらはちょっとやばいんじゃ……。」
ロンザの視線の先に戦っている者達が見える。
大きなモンスター……オーガ……だ。3mを超える巨体の人型モンスターオーガ1匹と鎧兜の戦士とが戦っている。そこから少し離れたところに1人仲間がいる。魔法使いのようで体型からみて女性のようだ。
「精霊と契約した魔法使いですね。戦士が時間を稼いで魔法使いが大きな魔法をしかけるパターンですね。」
「ああ、カードに魔力をチャージしてる。精霊の力で一気に方をつけるつもりみたいだけど……時間がかかりすぎ。」
ダインは精霊の力を借りた魔法は使ったことはないが、フレイム家にいるときに大人が使うのを何度も見ている。あの魔法使いはまだ未熟なようで、魔力の扱いが拙いのが見ていてわかるほどだ。それに……
オーガは高まった魔力に気がついたのか、いきなり魔法使いに向かって突撃をかけた。戦士はそれをさせないように立ちふさがるが、戦士も半人前だったようだ。すくい上げるようなこん棒の一撃で吹っ飛ばされ、突破された。
「ヤバイ!」
「あっ、ダイン様!」
走りながら、自分とモンスターと、魔法使いの位置を確認し自分が出来ることを模索する。
戦士は直ぐに起き上がり、魔法使いを庇うように前に立つ。根性ある。彼が、攻撃を数撃だけでも持ちこたえれば……
ばこん!
あらら、また一撃で吹っ飛ばされたか!
でも貴重な時間を稼いできくたよ。この距離なら・・・
まさかの次回回しm(_ _)m
見てくれて感謝です(*^^*)