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騙されて異世界へ

また、書き始めました。


生暖かい目で見守ってください。

(……い、……おい、起きてくれ。)

(……あと5分)

(……いや、そんなお約束はいいから。)

(……ん?)


ぼーっとした僕の頭の中に直接語りかけてくる声が聞こえたような気がした。その声を聞いたからかなのか急速に意識が覚醒しいていく。


何となく変な感じがする。ふわふわと浮かび上がるような……そんな不思議な感覚を味わいながら僕はゆっくりと目を開いた。


目に入ってきた光景は僕の部屋だった。寝る前と同じ六畳一間の普通の部屋だ。僕は寝る前に何をしてたっけ?

普通にお風呂に入って普通にゲームを少し……いやたくさんやって親に怒られた。

それから宿題して、それからベットに入った。だからこの部屋にいるのは当たり前といえば当たり前なのだけど何か……。


違う!


目線の位置と光の色が違うんだ!僕は今紫色の光に照らされた部屋を上から見下ろしている!


(……浮いている?……えっ‼)


眼下に見えるベッドに寝ている僕の姿が見え、僕は思わず声をあげてしまった。


あそこに僕が……僕が寝ている……じゃあ……


思わず自分の両手を顔の前に持ってきてみると……向こう側が透けて見えている!


(え?え?……僕死んじゃった?幽霊になっちゃった?……そ、そんな!)

(キミ、違うよ。だから落ち着きたまえ。)

(!!)


先ほどの声が聞こえた。振り返って見るとすぐそばに少年がいた。西洋系の顔立ちで15歳の僕より少し身体が大きい。けど、西洋人なら同じくらいの年齢なんだろうと思う。そして驚くことに彼も半透明な身体をしていた。幽霊というか、霊体というかそんな感じだ。


あっ!少年の後ろに魔方陣がある!


紫色の怪しい光を放つ50cmくらいある円形の魔法陣が宙に浮かんでいた。いや僕は本物の魔法陣なんて見たことないけどね、だけどたぶん本物だ!


(君は?)

(私はダイン、キミとは違う世界の者さ。今、キミの魂をあの身体から引き出したのは私さ。)


この人、とんでもないことを言ったよ!


(なぜ!死にたくない!戻して!)


僕は下に降りて自分の身体に近づこうとした。けれど、ダインに回り込まれてしまった。ダインは僕を押しとどめるように両腕を大きく開いている。僕は構わず進もうとしたけど出来なかった。


(慌てないで、大丈夫、死んでないから。幽体離脱の状態になっただけだから。この状態でないと話が出来ないんだ、”言葉”が違うんだからさ!キミ、まずは話を聞いてよ!ホント!ホントに大丈夫!元に戻れるからさ!)


ダインがそんなこと言って必死に説得してきたから、僕は渋々動きを止めた。


(じゃあいいよ!いいから早く説明して!)

(ありがとう!本当に大切な話なんだ。実はね……)


このとき、正直にいうと僕はドキドキしていた!もしかしたら、これ、よくお話にある異世界召喚なのでは?勇者に来て来てーーとか?


(……そこにある擬似戦闘体験魔道具を使わせて欲しいんだ!)

(……はい?)


ダインが指で指し示したものは机の上の……携帯ゲーム機?


(何の危険もなく魔法戦闘を体験出来るその素晴らしい魔道具をぜひやらせて欲しいんだ!)


……なんか、テンションだだ下がり……ゲームかよ。ていうか、こんな不思議体験させといてゲーム貸すだけってどうよ!


(あー、まー、いいけどね、別に……。)

(ありがとう!でね、この魔方陣のゲートはさ、”魂”しか通ることができないんだ。このままでは僕はそれに触れることもできないんだ。だからどうしても君の身体を貸して欲しいんだ。少しだけ……1時間くらいでだけでいいからさ。)

(僕は?このまま?)

(いや、アレをやらせてもらっている間はキミにかけた”幽体離脱の術”を解除することになる。私が術を解除するとキミは本当に死ぬ、というか浮遊霊になるからマズイでしょ?だから私がキミの体に入っている間、キミは私の身体に入っているといい。さあ、こっちに着いて来て。)

(ちょ、ちょっと!)


ダインは僕の手を引っ張って魔方陣に向かって行く。彼の強引な行動に僕は不安を覚えた。でも僕は、僕はそれに抵抗が出来なかった。いや、しなかったんだ。なぜなら他人の身体に入るという経験なんて普通できることじゃないから。つまり、好奇心がまさってしまったのだ。


ダインに連れられて僕は魔方陣をくぐり抜け彼が言った世界……異世界に入った。


魔方陣をくぐり抜けたそこは、意外なことに普通の部屋だった。レトロチックだが普通の部屋……正直ちょっとがっかり。僕の部屋より質素だと思う。目を引くものといえば、魔法陣の近くにある丸い水晶球くらいだ。その水晶級は魔方陣と同じ紫色の怪しい光を放ちながら宙に浮かんでいる。恐らくアレがあの魔方陣を作っているのではないだろうか。

部屋にはベッドがあり、ダインの体が横たわっている。そしてベッドの横には椅子があって、メイド服を着た少女が目をつぶって座っていた。


(さあ、私の体に入るといい。何かわからないことがあれば、メイド・ドールのロンザに聞くがいい。)


ダインに導かれるままにダインの身体に近づく。胸がかすかに上下しているので死んでいないのはわかる。ただ眠っているだけのようにも見えた。僕は少し緊張しながらも恐々と手を伸ばしてダインの身体に触れた。


(!!)


次の瞬間、僕は全身に痺れるような刺激を受け、全身から汗がぶわっとふきだした。汗が首筋から流れしたたり落ちるのを感じ、ドクンドクンと心臓が激しく動いていることを感じ、空気の匂いがいつもと違うことを感じ、喉がカラカラ。僕はコレがダインの身体の五感であることをハッキリと認識しながら、大きく目を開いた。上半身を起こしてあたりを見回す。そしてやはり、そばに少女がいた。先ほどダインがロンザと言った少女だ。その娘はすぐそばで、僕をジッと見つめて言いた。


「お目覚めになられたようですね、ご主人様。ご気分はいかがですか?」

「あ〜、……うん。」

「ああ、良かった。ご主人様。」


その少女は、心底ホッとしたような顔をして僕を優しく見つめている。


(主人思いなんだな。まあ、僕がいなければこの人形は動けなくなるわけだ……し?)


ここで、大きな違和感を感じた。この人形が動けなくなることをなぜ、僕が知っている?


この少女はメイド・ドールという人間そっくりの動く人形で、唯一無二、たった1人しか主人にすることはできない。そして主人が死ねば、この人形の少女は動きを止め二度と動くことはない。それをなぜ知っている?僕が?そういえば先ほどのロンザとの会話もこちらの国の言葉だった、日本語じゃない。


もしかして僕はダインの記憶を、ああやっぱり持っている……


って!しまったぁ!!!


振り返るとそこには思ったとおり魔方陣から生身の身体をこちらの世界に突っ込んだ僕が、今まさに水晶球を手に取ったばかりの僕がいた。


……僕の身体に入ったダインが。


さっきの”魂”でないと、魔方陣をくぐり抜けられないっていったのは嘘だったのだ。


「キミ、ゴメンよ。」


そう言って水晶球を持ったまま身体を引っ込める僕の身体のダイン。するとすぐに魔方陣が放つ光が弱くなる。アレがないとゲートの魔法陣が!


「ま、待って!」


起き上がって手を伸ばすが、触れる前に魔方陣は……消えていた。


僕は手を伸ばしたまましばーらく呆然としていた。そんな僕に声がかけられた。


「やはり。ご主人様は”新しいご主人様”になったご様子ですね。」


ロンザの声を聞いて僕はギギギと首を彼女の方へと向けた……こんな動きを取るなんて、まるで僕が人形になったような気分だ。


そんな僕の肩をポンポンと叩いて、ロンザはこう言った。


「騙されちゃったね。ドンマイ!新しいご主人様。」



うわーーーーーーー!!

騙されたーーーーー!!

読んで頂き感謝・感謝・感謝です。


そういえば、主人公の名前出てこなかった。

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