プロローグ
プロローグ
その昔、一人の腕のたつ男がいた。
男は王様の命により、勇者を名乗ることを許され、魔王の討伐の旅に出ることになった。
勇者となった男は仲間を連れて、魔王を討伐に向かった。
勇者一行は幾多の試練を乗り切り、ついに魔王の元に行き着いた。
勇者は魔王と初めて対面して息を飲んだ。
勇者は瞬く間に並外れた魔王の美しさに魅了された。
勇者は魔王に恋をしてしまった。勇者は魔王を説得したが、魔王は聞き入れなかった。
勇者にも戦う理由があり、魔王にも戦う理由があった。戦闘は避けられなかった。
勇者一行は魔王をあと一歩まで追い詰めたが、トドメをさすことはできなかった。
勇者がすっかり魔王に魅了されていたからだ。
それと引換に魔王と取引をした。
魔王から命、力の半分をもらった。
勇者一行は魔王を倒さずに、王様に討伐したと嘘の報告をした。
魔王は勇者に匿われ、山奥に暮らすことになった。
頑なだった魔王も勇者と暮らして行くうちに勇者に惹かれて行った。
二人は、愛しあい、やがて二人に子どもができた。
二人はしばらく幸せに暮らしていたが、それも長くは続かなかった。
勇者を妬むものにより、王様の耳に勇者と魔王のことが耳に届いた。
王様は激怒し、かつての勇者の仲間に二人を捕らえるように命じた。
二人は捕らえられ、魔王は処刑された。
勇者は王様の慈悲により、監視の元で生活することになった。
子供とは離れ離れになった。
何年も何百年も月日が経ち、勇者が人々の記憶から忘れ去ろうとしている頃、勇者と呼ばれていた男は政府の命により自分の子供の子孫を監視する役目を担うことになった……。