第二章 第三話
午前6:30 けたたましい音楽が鳴った。
サラの所でお世話になっている1日のスケジュールはこうだ。
6;30
俺とのぶながは起床、炊事係と洗濯係に分かれる。なぜだか知らないが女性陣は自ら服を洗うので、
俺たちの衣服と、タオル類などの洗濯を行う。ちなみに服は自分たちが持ち出したお金で買った。
地下にあるデパートと呼ばれるお店、地下デパでのぶながと買いに行った。
当然しょくにん用の伸縮性の高い服など売っているわけがなく、いや売っているがすごく高いので、
LLもしくは3Lサイズの服を買っている。サラからだらしないと言われる言葉で察してくれ。
7:00
サラとユキを起こす。平日のユキはとても寝起きが悪い。
もしかしたら学校という所にいく必要があるからかもしれない。
そういえば俺たちも1つの部屋に大人数を集めて毎日のように勉強をさせられていた。
7:50
ユキを大急ぎでお見送りをした後は、朝食を片付け洗濯を干すか、サラの仕事の手伝いをしている。
当然俺とのぶながは当番制で決めている。
そのあとお留守番係は自由だ。俺は読書をしたり、大学一発合格という本をサラからもらったので、
この内容を勉強したりしている。
のぶながはのんびりテレビでも見てくつろいでいるか、
ユキに負けないためにいろんなゲームをして鍛えている。
サラは帰宅するとすぐ料理をする。
朝の当番は俺たちだが、サラが料理をしているときは絶対にキッチンへの立ち入りは禁止だ。
サラが禁止と言えば絶対に禁止なのだ。
そんなスケジュールで脱走生活をのうのうと続けていた。
さてと、今日は俺が炊事係だ。ベッドから降りると、机にのぶながが座っていた。
「うわ のぶながもう起きていたのか ずいぶん早いな」
「おう、途中で目が覚めてそれから眠れなかった。」
「ってのぶなが どうしたんだお前!」
のぶなが とんでもないことをしていた。
「おまえが勉強しているなんて、、、しかもこんな朝早く」
ペンで分厚い本みたいな物になにかを書き込んでいた。
「ま、まあそんな日もあるだろ?急に何かを書きたくなる日とかさ」
「気持ちはわかるが、それほど珍しい光景を俺は今、目の当たりにしてるんだ。」
「まあいいじゃねえか あ、今日は洗濯当番か俺、さーてとやるか」
そう言って使わせてもらっている机にそそくさと閉まって洗面所に移動した。
驚いている場合じゃない、ご飯準備しなきゃと俺はキッチンへ向かいいつも通りの仕事をした。
今日は「ヤバイ!報告書仕上げなきゃ!」と言ってサラは自室に籠っていた。
「そういえば来月サラが外しょくの本部に行くって言っていたな」
チェスをしながら優勢に立っている余裕な俺は余裕そうな会話をした。
「え、ああ、そんなこと言っていたな」
形勢危ういのぶながは返事にも余裕がなかった。
だが、のぶながはポーンを進めた。この状況でまだ攻めるのか。
「俺達も連れて行ってくれって頼んでみようぜ」
はいチェック。
「なんと ここは…左か」
「残念 ナイトが詰め寄りチェックメイトだ」
「だっはまた負けた。102敗」
「よく覚えてんなそんなこと」
なんど戦ったかはわからないが、あまり負けたることは無い。
それでもチェスや将棋で挑んでくるんだからいい根性している。
「お前はさ、攻めすぎなんだ。ゲームでぐらい守れ」
「いや、俺はただがむしゃらに攻めるだけだ。攻めでお前を打ち負かしてやる」
あ~疲れたと言ってのぶながはソファーにダイブした。
「かんべえ様は戦略ゲームだけは強いからな 戦略だけは」
聞こえとる。のぶながよ。
「なあのぶなが、この間そろそろ夢を叶えるために実行に移したいって言ってたけど
何かプランはあるのか?」
ソファーでくつろいでいたのぶながが身体を起こして答えた。
「デルタから聞いてくるなんて嬉しいな。一番最初に見たいのは決めてるんだ」
「お、どこだ?まさか安土城とか?」
「信長の名を借りるからには一度は行かないとな、安土城 でもそこじゃない 富士山だ」
「富士山か 世界遺産に登録されていたおかげで富士山付近は攻撃されなかったと聞いている
もしかしたら俺達でも安全に行けるかもしれないな」
「俺は…この国の一番高いに登って、この世界を見てみたいんだ 日本を見下ろす。きっと全てが見えるはずだ。」
「のぶなが 実にお前らしい 今度サラに相談してみよう 俺もぜひ行ってみたい」
「いや、さすがにサラには頼めねぇ 俺達だけで金貯めていこうぜ」
「でも行き方わからないだろ?俺からサラに聞いてみるよ 行き方」
「わかった すまないな 非常にありがたい」
そういって再びのぶながはソファーに寝転んだ。
「見たい場所かぁ おれも何か探そうかな」
と地図と睨めっこをしていると、 ピンポーン 部屋に音が鳴り響いた。
ユキが帰ってきたのか?「サラ~今日はユキ学校午前だっけ?」
ちがうけどーと聞こえたので、おそらくお客さんだろう。そして扉を開けてみた。
顔の細さ、体型の太さ、ダボっとした服、これは間違いない。
でも、長い髪が生えているその頭部になぜか真っ赤な花が咲いていた。
施設の菜園には咲いていない花だ。だが見たことあるし、名前も知っているはずだ。
そう、植物図鑑で見たことがある。あの花の名前は、バラだ。
「こんにちは サラはいるかしら あれ?君もしょくにん?」
施設を出てから4カ月 久しぶりにのぶなが以外のしょくにんを見た。
それもまさか、女のしょくにんが存在するなんて。




