第一章 第五話
なんとなく地下と聞くとじめっとしていて空気が悪くて不潔そうなイメージがあったが、
施設内と大して変わらない所だった。素直に言うととても綺麗。
手助けしてくれたカレは、ついてきてと言って歩きだした。
「助かったよ ありがとう 俺はのぶなが ところでさっき撃ってきたのは誰だ?」
あ、やっぱりここでもこいつは のぶなが と名乗るのか。
「私はサラ 外しょくに所属している。 そして料理人もやっている
あいつらは自称しょくにんハンター ただの盗賊よ」
「がいしょく?」と聞こうとしたがのぶながの声でかき消された。
「盗賊はどこにでもいるのか?」
「ハンターは施設周辺以外で見かけることはかなり少ないかなぁ」
「そうまでして俺たちを食べたいのか?」
「彼らの狙いは頭部だけよ 闇市で物凄い高く売れるのよ だからあなたたちのように
家出するしょくにんを狙っているのよ」
すかさずのぶながはこう言った。
「俺たちは家出じゃねえ 脱走だ」
サラははいはいと聞き流した。
「ところでそっちのお仲間さん あなたは?」
「俺は ナナ… いや デルタ」
「デルタ…変わった名前ね
外しょくってのは言いやすいから略しているだけなんだけど、正式名称はエリア外しょくにん保護財団というの
あなた達のように施設から家出したしょくにんや難民を保護している団体よ」
「へぇ」/「へぇ」 二人は同じリアクションをしてしまった。
「トウキョーにいる財団はほとんど地下にしかいないわ ハンターやらなんやら
しょくにん保護連や外しょくに恨みを買っている人もいっぱいいるから外で活動してたら殺されちゃうもの」
「そこまでの事は全く持って知らなかった。ということは家出をするしょくにんは一定層いるんだな」
「ちっ リスク犯して脱走しても結局監視の目があんのかよ」のぶながは険しい顔をした。
「そうは言うけど、あなたたちは人質としても商品としても価値が高すぎるのよ」
ため息をつきながらサラは答えた
「とりあえず憧れの外の世界には出れた でも疲れた どっか宿を知らないか?」
のぶながはもうその手の話には興味が無いようだ。
「あなたたちお金持ってるわけ?」
「官兵衛は抜かりない」 そう言って手持ちの財布を広げた。かんべえかひでよし そろそろ統一してくれ
「かんべえ? それだけあればしばらくは大丈夫ね まあ案内するわ」 そう言ってサラは歩き始めた。
「それにしてもこのお金が使えてよかったぜ…」ほっと安心したデルタ。
「は?どういうことだ?」不思議そうにいうのぶなが。
「いや、俺たちが持っているお金、外の世界でも使えるかどうかわからなかった
しょくにんや、下手したら施設内だけしか通用しない通貨かもしれないだろ?」
「たしかに」
「そこは安心してもらっていいわ 保護法も適応されるし、
あななたちは宿代も食事代も必要ない 私たち財団も保障するもの」さらっとサラは答えた。
「よかったなのぶなが 俺たちはとても守られているようだ」
「金は払うさ ちっなんか納得いかねぇな」 のぶながは再びムッとした顔になった。
歩いているとすすり泣く声が聞こえた気がした。
「なにか声が聞こえなかったか?」のぶながが言ったので間違いないだろう。
「あ、あそこだ あの子供だ」とデルタが指さしたほうには
服も破れ、髪は長く、顔も体も汚れていた子供が立っていた。
「ひっく ひっく おなかすいた…」子供はこちらを向いて立っている。
デルタは初めての状況をだったが、なぜか体が勝手に動いた。
「サラ ナイフはあるか?」
「ええ、あるけど 」といってデルタに貸した。
「そんなにお腹が空いているのか…これ、食べられるかい?」
デルタは打たれていないほうの腕でナイフを握り、お腹の肉を削ぎ取った。
「おいしくないけどこれでもお食べ」子供に収穫した肉を小さくちぎって渡した。
「はむ … ん…ちょっと辛くて苦い…」といいつつ全部子供は平らげた。
「え…?辛い?苦い?」
「デルタ! あなたの事収穫していいかしら?」と聞きつつナイフを奪った。
「あ、ああ ちょうど今日は収穫日だ あ、首から上は止めてくれ」といいを残った肉を差し出した。
「ここではやらないわ 三人とも、私についてきて」 といいサラについていった。
「デルタの首を撥ねるのかと思ったぜ…」
「外しょくとしても料理人としてもそんなことするわけないでしょ!
他人にナイフ持たせてたのが落ち着かないだけよ」サラを怒らせてしまったのだろうか
5分ほど歩くと、通路の先には通路にドアがあった どうやらそこに入るようだ。
「ここは財団の部屋 ちょっとそこらへんに座って待ってて 10分 いや 7分ちょうだい」
そう言ってさらに奥の扉にサラは消えていった




