第一章 第四話
「のぶながへ 本日の作戦を伝える」
「イエス ボス」
「いや、ボスは(主導者)お前だろ!」と軽く突っ込みを入れた。
作戦内容を伝達する
本日 11:00 収穫号令と共に、列の真中へ紛れてB棟へ向かう
A棟とB棟の連絡通路でダクトAの場所から脱走する
Bゲート付近のダクトC付近で唐辛子、コショウ、小麦粉を入れた紙袋 粉塵爆弾陽動作戦を実行し、
Bゲートから脱走をする
あとは真っ直ぐ300m進んだ場所に地下通路があることをアースマップで確認済のため、
ここを目掛けて全力疾走 その先が安心かどうかは神のみぞ知る。
「フンジンバクハツ? なんだそれ」
「まあ即興で作った爆弾だ上手くいけばいいけどな」
「そんな材料で作れるのか?」
「うまく引火さえすれば多分行ける…はず! コショウと唐辛子は保険だ」
「なんとも詰めが雑だが…」
「まあ失敗しても俺たちは初犯だし軽く済む そして何としてものぶながは行かせる」
そう言っていざ決行の放送が流れる
「Aブロック 収穫を開始せよ」
俺とのぶながは息をのんで連絡通路へ向かった。
以前と同じ手順でダクトのねじを外し中に入りBゲート付近へ向かった。
これまでに感じたことがない緊張感、不安感、だがそれにも増す高揚感。
ダクトを進んでいき目的のポイントまでついた。
「のぶながはここでまて あれを仕掛けてくる」
「本当に大丈夫か?」
「まあ見てろって」
そうして787はCダクトへ向かった。
「電池と針金で作った引火装置 上手くいってくれよ」
紙袋を膨らませてかき混ぜて外に置き、のぶながの元へ戻った。
「おお戻ったか っで爆弾は?」
「銅線が熱くなれば何かしらに引火する…はず」
「俺たちの捜索が始まる前に何とか動きがあればいいが」
「大丈夫だ、何かあれば俺が陽動に出るから」
そう答えた787 すると数秒後に 焦げ臭い臭いが漂ってきた。
ん? 何かあそこに煙が見えないか? と声がしてきた。
あ!本当だ そうしてゲート前に立っていた二人はダクトCのほうに向かっていった。
「爆発は起きなかったようだ だがしかし絶好の好機!」
「よし行くぞ787!」
俺は走ってしまった。 身体が勝手に動いて無我夢中で走ってしまった。
今まで適度な運動しかしたことがなかった。
全力疾走をしたのは年一の精密検査以来だ。
収穫直前ということもあり、生きていた中でおそらく一番ブサイクな姿をしているだろう。
そうして二人は
ゲートを突破し外の世界へ飛び出した。
「外だぁぁぁぁ うおーーーー」
「のぶなが 左を見ろ! あれが地下への入り口だ あそこから元都庁の方面につながっている」
「わかった!入ろう」
入り口まで残り50mを切ったところで破裂音が聞こえた。
その瞬間の身体のバランスが崩れて転んでしまった。
「へたくそ~ 肩じゃねえ首だよ首!」
「すいやせん ヘンな
走り方だったので狙いづらくて」
「787!大丈夫か!!」
「大丈夫 肩だけだ」
首から下はほとんど痛覚はない 時間はかかるが再生するのでそこまで対したことはない。
「はやく走って!」
その声とともにまた破裂音が聞こえた。
「うおぉぉぉ」という声を上げながら走った。
見事二人は階段を転げ落ちたが幸い頭部へのダメージはなかった。
「ふふっ外の世界へようこそ しょくにんさん達」
そうして差し出された手を握って、初めて地下の大地を踏みしめた。
温度をほとんど感じることができないはずのこの手だが、
握りしめた手はとても暖かく感じた。
この日は日常が変わった日だ。




