ガワラスの街へ
新しい街に来た主人公、さてさてこれからどうなるか非常に楽しみですね
バルサークさんと一緒にガワラスの街へ向かうことにした私だったが、その道中は安全とは言い難いものだった。
何故かというと、盗賊団が現れて、戦闘に巻き込まれてしまったからだ。「ケッケッケ、金目のモノを寄越しやがれそうすれば命は助けてやるよ。」となんともテンプレなことを言う盗賊団に対し、バルサークさんが剣を抜き戦闘に移行して、絶賛戦闘中である。
「にしてもバルサークさん滅茶苦茶に強いな」バルサークさんの戦い方は、自分の大剣で相手を叩き潰すというスタイルだ。バルサークさんの持っている大剣は、オリハルコン製でインパクトの瞬間に重量が50倍近く増大する魔法付与がかけられている。簡単に説明すると、ブルドーザーが頭の上に落ちてくるのに近い一撃が盗賊に放たれているのである。バルサークさんが倒した盗賊だったモノは、剣が当たった場所がミンチより酷い状態だった。
一方の私は、愛用のアダマンタイトの棒で盗賊の武器を弾き続けていた。「テメェ、なんであたんねぇんだよ、クソが!」大人しく当たってやる筈も無いのに、散々な言われようである。そんな感じで弾き続けていたら、バルサークさんが他の盗賊を倒して、こっちに加勢に来てくれた。「ヤベェ逃げ‥」言い終わるか言い終わらないうちに、バルサークさんの大剣で頭をぺちゃんこにされて盗賊は絶命した。
バルサークさんが「大丈夫だったか?怪我は無いか?」と心配してくれた。「大した怪我はしていませんよ。ありがとうございました。この盗賊はどうしましょう?」私が質問すると、「うむ街に持っていけば金になるが死体なんか持ちたく無いし、装備を剥いで残りは…埋めるか?」と言ったので私も「埋めましょう」とバルサークさんに同意した。そんな会話をした後、私は自作の地面をプリンみたいに掘れる魔法のシャベルで穴を掘り始めた。そして充分な広さの穴を掘り終わると死体を埋めて、また街へ向けて歩き始めた。
バルサークさんが「さっき君の戦い方を見ていて気づいたんだが、君はあの盗賊の動きに対してずっと防御をとっていたが、あの立ち回りを見るとなんか師匠と弟子みたいな感じで、命の奪い合いって感じじゃあ無い気がしたんだ。あれは君のスキルかい?」となかなか勘が鋭い質問をしてきたので「えぇ、スキル〜武芸絶対指南役〜の力です」と回答した。「やはりか、失礼かも知れんが君の様な細くて弱そうな見た目の人物があの動きは無理だからな。」と納得がいったという反応だった。
私が「そういえばガワラスの街はどういう特色が?」と質問をしたら「ガワラスは歴史的にはまだまだ浅い街でな、最初は炭鉱労働者の街だったんだがダンジョンの発見があってからは冒険者が増えてかなり発展しているそうだ。確かこの国で1番ダンジョンが多い街で4箇所もあるんだ。」と回答してくれた。
「成る程、つまりは冒険者相手の仕事が多い街ですね。」「ああ、君みたいな器用になんでもこなす便利屋みたいな人材は歓迎されるよ。私も欲しいからね。」とバルサークさんは、冗談なのか本気なのか分かりづらいことを言った。そんなこんなで、歩いていくとガワラスの街が見えてきた。
ガワラスの街は(この世界ではモンスターの侵入を防ぐために街も村も石壁や分厚い木の壁で囲まれている。)石壁が王都程ではないがかなり大きく建っていて、所々に大きな削られた痕のような場所があった。バルサークさん曰くこの街のダンジョンが数年前に大氾濫を起こしてその時の戦いの跡らしい、そして私達は、街の門番に少しチェックを受けた後街に入った。