学園武闘会終盤戦
主人公の務める学園の武闘会?もそろそろクライマックス、このままチートでバンバン勝ち進むのか?それとも生徒側が逆転優勝するのか?勝負の行方は如何に!
次の日、私は朝早くから商品の追加作成を行い、それが終わったら2人分の朝食を作って、モニカさんを起こして2人で朝食を食べた。
寝起きでパジャマを着たままのモニカさんも可愛いなぁと思っていたら、口に出していたらしく、顔を赤らめて、洗い物をしている私の背を、無意識なのかよく分からないが拳骨で時折叩いてきた。「さてと、頼まれてた商品は今朝倉庫に補充しておきましたので、それじゃあ学園に行ってきます。」と言ったら「そうか、んじゃ気をつけてけよ」と返されて、私は学園に転移門で移動した。
今日の大会が最終日なのもあり、私が早めに学園に来た時でも、かなりの人が街を歩き、賑わいは最高だったが、人が多くて、かなり歩きずらそうだったので、私は学園の建物から街の建物の屋根に移り、そして屋根から屋根へまるで物語に出てくる超人的な主人公の様に飛び移りながら闘技場に移動した。
そして余裕を持って到着すると、Sクラスの子達が何人か集まって作戦会議をしていたので私は「皆さんおはようございます。ところで何をしているんですか?」と話かけると「それはですね、私とザッカス王子、ジルト君、クリスティアさん、ゴルム君のパーティーでどうやったら先生相手に善戦できるかの相談をしてるんですよ」とアイリース君が答えてくれた。
私が「成る程、ところでトウカ君は?」と聞くと「先生に試合で負けた後、もっと鍛錬しますと言っていましたので試合には参加しないそうです。」とジルト君が答えてきた。「分かりました。皆さん今日は最終日ですので頑張って下さい。」と最後に一言かけて、私は待機室に行って今日使う武器の手入れを始めた。
そして、試合が開始される時間になったので、闘技台に向かうと観客の中にアマリアさんやバルサークさん、勇者アメル、ヨルムさん、ラロカン将軍の右腕と名高いラシャン副将といった各国を代表する強者が居て、試合を観戦していた。
私は皆さん暇なんでしょうか?絶対この場所にいるのは不味いと思うんですけどと心の中でツッコミを入れたが取り敢えずそれは無視する事に決めて、Sクラスの子達と対峙する準備を整えて闘技台に上がった。
「レイ先生、少し前に邪教徒が襲撃してきた事を覚えていますでしょうか。」と対峙してすぐにザッカス君が聞いてきたので「まあ覚えてますけど…それが何か?」と返すと「あの時はこの私もいながら多少苦戦してしまい、大事な」(この時に横目でクリスティア君を見ていた)「クラスの仲間たちも傷つきました。そして今私達はその時の弱さを乗り越えて、貴方を軽く超えて見せましょう!」と高らかに宣言したので「分かりました。生徒達の成長の為、私達教師は日々頑張っています。その生徒達が私達教師を超えていくのなら、これ程嬉しい事はないと思っていますので是非、私達を超えるという非常に興味深いその力、それをぶつけて下さい。」と言って私は懐に手を伸ばし、武器を取り出して生徒達と向かい合った。
「ジルト、先生の武器は頭の火と…あの変な戦棍 メイスか?」とゴルム君がジルト君に質問したら「いや、あの頭の火は単なる飾りらしいから、あのデカいメイスが今回の武器なんだろう。」と答えていた「でもあの頭燃えてるし…」「レイ先生が作った光源用の魔道具だから攻撃は出来ないらしい。それよりもなんでメイス?しかもフランジ(メイスに付いている金属片のこと)や棘 スパイクもないし、あの大きさはなんでだろう?」とゴルム君と会話していた。
彼らが武器に関して疑問に思ったのは、あまり対人には向いてなさそうな形状のメイスを私が選んだ理由だろう。
確かに握りや石突、柄などに繊細な装飾が見られるが、先端のメイスヘッド(槌頭と呼ばれる金属の塊の部分)は算盤の珠が若干細長くなったようなデザインで、金属光沢で鏡の様にツルツルに輝き、大きさが1メートル以上無ければ、あまり強そうには見えなくて当然である。
ジルト君が「取り敢えず様子見だ【石礫】!」と唱えると、大人の握り拳位の先端が僅かに尖った形状の石礫が、8つも飛んで来たので、私はその場に残像を残して2メートルほど横移動して、全部避けた。
「やっぱダメか〜。」とジルト君が言い、ゴルム君は「今先生、横移動したよな?姿がほぼ消えなかったか?」と聞いたら「レイ先生は邪神と互角以上に戦えますから、あの少し数が一般よりも多く飛ばせる程度の有利は無効なのでしょう。本当に強いですね。」とアイリース君が答えた。
クリスティア君が「それなら【聖光槍】!」と唱えて光の槍が私に飛んできたので避けたが、追尾してきて当たった。
「どうですか!追尾できる魔法の槍ですよ。対人に弱いとされる神聖属性魔法でも、立派な攻撃ができるんですよ!」とクリスティア君は誇らしげに言って、ゴルム君が「クリスティア、でかした!後は距離を詰めて攻撃すれば…ん?」とクリスティア君が私に魔法を当てたので自分も攻撃しようとした時に違和感に気づいた。
なんとクリスティアの魔法が直撃したはずなのに、目の前の私が特に怯みも、ダメージを負った様子も無かったからだ。
クリスティア君は嘘でしょ。ヒロインのコレはかなり効くはず…と思ったが、声には出さず「先生、流石に効いたでしょう。」と言ったが、私は「いえ、あまり効いてませんよ。なにしろ裏技を使いましたから」と返したので「嘘は良くないですよ先生、クリスティアの神聖魔法はその辺の教師ではダメージにならないはずが…」とザッカス君が言ってきたので「いえ少し気合いを入れて我慢すればイケましたよ。そもそもの話ですが神聖属性などの攻撃は闇属性のモンスターやアンデットなどの一般的には邪悪な存在、後は邪教徒などの邪悪な存在と繋がっている人間が1番ダメージを受けるのであって、私みたいな基本的に善行を心掛けている人には木のハンマーで殴られたぐらいのダメージしか受けませんよ。」と言ったら「木のハンマーで殴られたら普通もっと痛いと思いますが?」とゴルム君が言ってきたので「良い質問です。だからこそ気合いを入れて我慢したんです。コレを使いこなせれば刃物を特別な技なしである程度は防げますから、とても便利だとは思いませんか?」と返したので「多分私達には無理ですね。」とアイリース君に言われて、全員が頷いていた。私は別に頑張れば少しは出来るようになるのでは?と思ったが口には出さなかった。
「やっぱり先生には遠距離で勝つのは難しいですね。クリスティアさん、皆さんに支援魔法をかけて下さい。接近戦を行います。」とアイリース君が言って「分かった取り敢えず【攻撃力強化】、【防御力強化】【俊敏性強化】…」とクリスティア君がクラスメイト達に支援魔法をかけていき全員が接近戦を行う準備をした。
私は特にその行動を邪魔する事もせずに準備が終わるのを待っていた。
観客は「あの教師、本当に勝つ気があるのか?普通あの時間に攻撃するだろ。」「いや、前の試合でもあの教師は強者の余裕を持って試合に勝っていた。恐らく支援魔法程度では、特に勝利は揺るぎないのだろう。」と私が何もしていなかった事について話をしていたり、アマリアさんやバルサークさんなどの猛者達は、私が次に何をするのかと気になっていた。
全員が支援魔法をかけ終わり、各自自分に合った武器を構えて(アイリース君の武器はレイピア、ジルト君は前にも使った変形する魔法の杖、ザッカス君はなんか金と小さめの宝石で豪華な彫刻の施された特に戦術的優位性は無さそうな魔法付与がされたロングソード、ゴルム君は頑丈そうな分厚めの刀身を持つバスターソード、クリスティア君は白銀で、こしらえたような{本物の銀だったら錆びて使い物にはならないから、恐らくミスリル製}透明な宝玉のついた杖)私と相対した。
私が「どうぞ皆さん一斉にかかってきて下さい。」と言うと「行くぞ!ゴルム、私に続け!」「はい王子!」とザッカス君がゴルム君に言って、2人だけ突撃した。
「ザッカス王子!それは悪手です!」とアイリース君が言ったが、その警告は遅すぎた。
何しろ私がメイスを持ってその場で横回転すると、メイスヘッドが少しずつ小さくなるのと同時に、柄の部分の上に装飾もない、まるで金属の鞭みたいに柔らかくしなる部分が伸びてきて、その長さが2メートル以上になったタイミングで回転軸が縦に変わり、回転による遠心力が加わった強烈な打撃がザッカス君の頭に直撃して、漫画みたいに頭から闘技台にめり込んだ。
「王子!」とザッカス君がめり込んだのを見て私を攻撃するのをやめて、ゴルム君は慌ててザッカス君に駆け寄った。「やっぱり、こうなるか…そうだよなぁ。」と私がメイスでザッカス君をめり込ませたのを見て、ジルト君は予想していたのか、特に驚く様子もなく言って「先生がああ言ったのはどう考えても罠なのに、王子はもう少し疑った方がよかったですね。」とアイリース君はやや呆れた声で言った。
「うぐぅ…油断した。」とザッカス君が思いっきりめり込んだはずなのに、呻き声と共に起き上がったのを見て、観客はおぉとざわめき、ゴルム君が「王子大丈夫ですか。」と聞いたので「あぁ、高い金で手に入れた「身代わりの護符」が無ければダメージを無力化できずに気絶していただろう。」と答えたので私は「やっぱりなんか手答え無かったのは一定の攻撃(身体を真っ二つにされるレベルは無理)を無効化にできる「身代わりの護符」のお陰ですか。」と言ったら「そうです。流石に先生の使っていた訳の分からない赤いスライムみたいなのには敵わないですけど、これで気絶は防げます。」と言ったので「でも一回きりですよねそのアイテム、ならもう一度当てれば良いだけです。」と私が再び構え回転させ始めたら、真横からレイピアの剣先が向かってきたので、メイスの伸びてきた部分で防いだ。
「おやアイリース君、君のレイピアは少し変わった力が込められていますね」と私が呑気に言うと「えぇ、なんでも切りつけた生物の切り口が腐るのか黒く変色して溶けるんです。コレなら当てれば貴方にもダメージを大量に与えて、判定勝ちできます。」と言われたので、もしかしたらと思いよく見たら、自分が錬金ギルドで適当に作ったやつだった。
「怖いですねぇ、それを作ったのはかなり危ない考えの人間なんじゃないでしょうか?」と言ってから私はアイリース君から距離を取ってメイスを元の形状に戻した。
「【罠魔法】•【闇雷槍】!」とジルト君が私が着地したと同時に私の足元に、触れると魔法陣を展開する罠魔法で魔法が発射されたが「縮地」で素早く避けたので引っ掛かる事は無かった。
観客は「スゲーぞあの教師!今の回避どうやってんだ。まるで消えたみたいだ!」「いや、簡単にやってるけど生徒たちも中々の強さだ。それを相手にあの立ち回り、彼は若くして引退した凄腕の冒険者に違いない。」など私と生徒達の戦いのレベルが高いので大盛り上がりしていて「彼は本当に何者だ?」「レイさん、絶対商人の強さじゃないよね。」や「あの力、我が国にも欲しいな」など各国の強者達も、私の余裕ある立ち回りに興味が尽きていない様子だった。
「やっぱりコレでもダメか…というか、なんで避けれるんだよ。俺の主人公補正も効かねえのかよコイツ。」とジルト君が小声で言って「しょうがない、こっちも接近戦だ!」と言うと杖を剣に変形させて接近してきたので私はメイスを少しだけ伸ばして剣を受け止めた。
「オリャ!フン、トァ!」と掛け声と共に剣を振ってきたジルト君の攻撃を左手持ちで軽く弾いていたら、後ろから気配を感じたので空いた右手を「金剛不動氣功鎧 」で硬化してから使って受け止めると、背後から跳躍してその落下による加速も加えた攻撃をしたゴルム君とザッカス君が「何!」「これも効かんのか!」と驚き観客も、真剣で腕を斬られた!と思ったのに私の皮膚どころか服も斬れていないのを見てざわめいていた。
「頑張って王子!」とクリスティア君が声をザッカス君にかけて「嗚呼、もちろんだ!」とクリスティア君にザッカス君は返したが、ゴルム君とザッカス君は焦っていた。
何しろ私を斬ろうとして、それが失敗した上に、剣が1ミリも動かなかったからだ。
「グッ、何故動かん!」と言うゴルム君に「説明しましょうか?」とジルト君を剣ごと正面から蹴り飛ばし、無理矢理距離を空けて右手に剣と2人の生徒をくっつけたまま、私はネタばらしを始めた。
「簡単に言うと私の扱う「金剛不動氣功鎧 」の力です」
と言ったら「嘘だ!氣功術による身体の硬化や強化でこんな事があるはずない!」とゴルム君に言われたので「そう言うと思いました。確かに氣功術とは身体に流れる氣を纏い、肉体を金属の硬さまで変化させたり、普段以上の力を出したりする事ができます。」「ならこんな事はできないだろう」「しかし」とゴルム君の言葉を少し遮る形で私は続けた。
「それは氣功術の基本的な部分です。かの剣聖ヤマト・ジュウゾウは旅の途中まではただの鋼の刀で諸国を巡り強者達と戦っていました。」ザッカス君が剣を動かそうとするのを一回やめて「知っている。そのムシャ修行と呼ばれる旅で「妖刀・神羅斬王と呼ばれる生涯を共にする愛刀を手に入れ、かの「海割伝説」を作り出した龍皇海斬刀術を編み出した」と言ったので「なら疑問に思いませんか?どうやって愛刀と出会うまで旅を続けられたのか?と」私が言うと「買い替えていたんじゃないですか?」とクリスティア君が言ったので「いいえ、彼の主武器である刀はその当時、各国で高値で取引されていて、簡単には買い換えることができない代物でした。」と私が言うと「じゃあ彼はどうしたんですか。」とジルト君が聞いてきたので「それこそ私が剣を受け止めて、何もダメージを受けずにこうしてくっつけている理由である氣功術が関わっています。彼は自分でも気づかぬうちに、氣功術を体得していて、その氣功術を刀身に纏わせるという高度な技で、ただの鋼の刀ではあり得ない程の期間、研いだり刃こぼれを直したりすることがありませんでした。私が剣を腕にくっつけているのはそれに近い現象で、自分の氣で相手の武器を覆って、まるで身体の一部の様に固定したからです。」と答えた。
観客は「なんか、よく分からんがあの剣聖に近い技が使えると言うことか!」「マジかよ!お伽話の英雄の秘密がこんな所で聞けるとは思わなかったぜ。」と何度目か分からない盛り上がりを見せ、各国の強者達は「彼の話を信じるなら是非教わりたいものだな。」「あの人なら出来そうだな。」「本当になんで本業が商人なんだろう?」と私の強さが予想以上だったのか、こちらも盛り上がっていた。
「理由はよく分かりました。じゃあ解説終わったなら、いい加減離せ!これじゃこのバルザード帝国第2王子である私の醜態を晒す事に」とザッカス君が剣を動かそうと、ゴルム君も同じように力を込めていたので私は「分かりました。離せば ・・・良いんですね。」と言ったら「そうだ、だからさっさと…」ザッカス君がそう言い終わるか、終らないかのうちに、私は今までザッカス君とゴルム君の剣を固定していた氣の範囲を2人の両手にまで広げて固定すると、2人が剣にしっかりくっついたまま、全力で闘技台の周りにある柱に叩きつけた。
ぶつかった衝撃で柱は粉々に砕け散り、2人とも仲良く気絶してしまったので、私は「金剛不動氣功鎧」を解除して2人を場外に落とした。「お望み通りに剣を離しましたよ。ただ、その前の行動については何かコレをしてやってくださいとは言われていませんので、私の好きなようにしました。」と気絶している2人に対して話しかけたが、気絶しているので、もちろん返事は無かった。
「王子!なんでそんな簡単にやられちゃうの!」とクリスティア君が呼びかけたが、返事は無く「先生、流石の私も本気を見せる時が来ました」とクリスティア君が言ったら、彼女の周りに神聖属性の膨大な量の魔力が集まり、彼女を起点に闘技台と空の両方に巨大な魔法陣が作り出され始めた。
「おいおい…これヤベェって!」「何する気だよあの子」「逃げた方が絶対いいだろコレ!」と空に大規模化が進んで、闘技場よりも大きくなっている魔法陣を見て観客達は、試合を観たいよりも自分の生命が危機なのではと慌て始め、強者達も「少し不味いかな。」「防御魔法壁があるとはいえ、この範囲の魔法陣は流石に…。」「学園側に避難指示を出すよう言おうか」「あの娘は私の国出身と聞いていたけど、まさかここまでの力を神より授かっていたのか…。」と一般人とは違う感覚だったが只事ではない事は理解していた。
「ちょ!クリスティアさん⁉︎こんな最強チートぽいヤツなんで邪神に使わなかったの?」と自分を棚に上げてジルト君が、未だに魔力を集めているクリスティア君に聞いたら「あの時はまだまだ力に目覚めていなかったし、何より死ぬかも、て考えたから何も出来なかったの!でも今なら必殺技が使えるわ!」と答えたら「やめなさい!こんな魔法を使ったら周りの人達にも被害が出ます」とアイリース君が説得してやめさせようとしたが「黙って!貴方なんか最後には、ここから退場する運命なのに私に指図しないで!」と訳の分からない事を言って、聞き入れずに魔力を集めて続けた。
「先生!アンタも大概チートなんだからなんとかしろよ!コレは絶対にヤバいヤツだから。」とジルト君に言われたが「いえ、私は最初にあなた達に言いました。"私達教師を超えていくのなら、これ程嬉しい事はないと思っていますので是非、私達を超えるという非常に興味深いその力、それをぶつけて下さい"と、だから…」「だから?」ジルト君が続きを促すと「だから私はこの魔法が完成するまで何もしません。彼女の今出せる全力がこの魔法なら私はその魔法が発動してからなんとかします。」と答えたら「イカれてんのか!下手すりゃ死ぬぞ!」とジルト君に言われた。
「まぁ、なんとかなるでしょう」と私は言って、魔法が完成するのを待った。
「先生、後悔してももう遅いですよ!【神霊降依】•【神の滅光】!」とクリスティア君が言うと魔法陣が完成し、その輝きが増したのと同じ時に、クリスティア君の身体が黄金色の光に包まれて輝き、そして天から私に目掛けて巨大な黄金の光の柱が少し遅いスピードで振ってきた。
「キレイですねぇ〜。」と私が呑気に魔法の感想を言ったので「バカかアンタ!もうダメだ…死ぬ、クラスメイトの魔法で死ぬ」とジルト君が言っていたので「死ぬはずないですよッと。」と返して私は抜刀のような構えをした。ジルト君は私が刀で打ち返すなりなんなりするのかと期待したが、私は手には何も持っていなかったのだ。
「先生、それ素手!素手じゃあ無理だって!」とジルト君は慌てたが、アイリース君が「いえ、先生の事です。何か秘策があるんでしょう。」と落ち着かせた。
私は構えると同時に呼吸を整え、心の中に湖をイメージし、その表面にある波紋をおさめて、俗に言う鏡面止水の域に達した時に「【魔神霊降依】•「奥義・龍皇海斬刀術・霞払い」と言うのと時を同じくして、私の右腕全体に紫色の輝く靄と漆黒の靄がふわりと現れ、それがほんの一瞬、瞬きすらも遅く感じる程の一瞬の間に集まり私の腰辺りで刀の形になり、私はそれを掴むと自分目掛けて、周りに張ってあった魔法防御壁を消し飛ばして落ちてくる巨大な光の柱に向けて振った。
そして天に紫の閃光が光の柱を消し飛ばして伸び、その閃光の真下の闘技台には私が手を上げたままで、闘技台にはめり込んだ私の足跡がくっきりと残っていた。
観客達は、不味いあの光の柱が落ちてくる!と思い逃げようとしたりしていたが、もう駄目だ間に合わない、落ちてくる!と思った瞬間、闘技台から出た紫の閃光が光の柱を貫いて消し飛ばし、それでも止まらず天に一直線に到達したので「何が起きた…?」「あの神々しい光よりも強い力で…まさか消し飛ばしたというのか!」と目の前で起こった一瞬の出来事を信じられない様子で、強者達は「アレを相殺させる…いや、完全に屈服させる程の力…凄いな。」や「あの力はまさか…いや、あの娘もかの力を使ったんだ。彼もまた同じか…。」「まぁ予想はしてたけど、コレ程とはね。やっぱり本業間違ってるでしょ。」と落ち着いてるようで、レイの攻撃をその目でなんとか捉えて、そのあまりに常識外れな強さに興奮していた。
「え?えぇと、確かに私の最強の切り札的技が炸裂したはず。でも何も起きてない?あれ?」と目の前に私が無傷で立っていて、周りに張られていた魔法防御壁が自分の魔法で破壊されたはずなのに、何事もなかったかのように元通りになっているのを見て、困惑しているクリスティア君に「どうしました?そんな"私は今、疑問がいっぱいあります"みたいな顔をして」と声をかけるとクリスティア君は私を指差し「貴方!一体何者なの!どうやったら私の魔法を無力化できるのよ!正体ラスボスなの?」と言われたので「先生はただの代理教師で善良な人間です。あと魔法の無力化に関しては刀術を使いました。」と返したら「それだけじゃないわ。私の使った特殊な力は、力天使様のお許しで神様の力の一部を人の身で扱える技。それをなんで特に凄そうな力がある訳でも無い、聖職者でもない先生がなんで!」と興奮気味に言われたので「まぁまぁ少し落ち着いて下さい。血圧が高くなると危ないですよ」と言ったら「真面目に答えて下さい!」と少し怒った声で言われたので「分かりました。簡潔に言えば私も同じような事をしました。ですが力の提供元が逆ですね。」と答えた。
「それって…私の知ってる天使様とは別?」とクリスティア君は言ったので、「ええ、私の使った特殊な力は、この世とは別の世界、冥界や地獄などと人の呼ぶ世界の奥底にいる存在。名を堕天使ルシファー(ルシフェル)、冥界では神を除いて1番位の高い存在で、役職名をそのまま名前として悪魔王の名で呼ばれる事もある凄い力のある存在なんですが、その存在が許可を与える事で扱える、もし、なんと呼ぶのかといったら、冥界神の力とでも言う力ですかね。」と言ったら私の話を聞き終わった観客やジルト君やアイリース君、各国の強者達も含めた全員が「ええええ!?」と驚いた。
中でも勇者は「な、なんという事だ…。かつて神々の中で人族を滅ぼして、全てを魔と混沌の世界にしようと企んだのちの邪神達の大元たる"昏い終焉"。それを単騎で破壊したが、神を殺した反逆の罪で深淵へと堕とされた最高位の天使ルシファー。その力を扱う【魔神霊降依】はこの世を守護する神々の御力を扱う秘術【神霊降依】の比較にもならないほどの難易度で、【神霊降依】を扱えた時の聖人達ですら、自らに更なる苦行を課して尚、指で数える程しか成功できなかったと言われている。そんな降依術の中でも危険で強力な術を彼は使える?いや、現に使えてしまったというのか…。」と自分の知ってる知識と目の前で起こった出来事を重ね合わせ、それでも目の前の出来事が信じられない様子だった。




