転生そして追放
素人ながらこのような立派なサイトで発表させていただく機会に心より感謝申し上げます。何卒温かい目で見守ってくだされば嬉しいです。何処か改善点がある場合には30文字以内で言って下されば幸いです。
いきなり自己紹介で申し訳ない、私の名前は、レイ・アルゼ
イ、年齢22歳で彼女いない歴=年齢、職業は冒険者でランクC 糸目だけどオッドアイ、顔は三枚目ぐらいで簡単に説明するとしたら少し大人びた青年と言ったとこかな
あと前世の記憶がある。またこのパターンかと思ってくれて構わないが、私はごく普通のサラリーマンとして働いていた。名前は 安田 心太郎 といって子供の頃の渾名が安心だった。理由は小学校の時に先生の言ったつまらないダジャレのせいで、周りが勝手に盛り上がっていたから。
私個人としては悪い気分になったりしなかったので放置していたけど、何故か色々なことで頼られる様になっていった。そのおかげで精神的に鍛えられて何か起きても動じない事が増えて、また頼りにされて・・・の繰り返しで、中々忙しい青春時代だった。
社会人になってからも後輩や上司からのお願いを聞いて協力できる範囲で叶えてあげたり、困った人の手伝いをしたりと忙しいがやり甲斐のある生活を送っていたが、軽自動車が交差点に突っ込んできた時に近くにいた子供を庇って呆気なく死亡、享年38歳誕生日の3ヶ月前の出来事だった。
死んでしまってから何が起きるかと思っていたらなんか神様が出てきて、「本当なら子供の手前で車の向きが変わって奇跡的に軽傷で済むところを君が庇って死んでしまうという予想外の事が起きてね、どうしようかな相談しようと思って呼んだんだ。」と言われた。神様に提案された選択肢は、転生するか天国に行って生まれ変わりを待つかだったので、「転生したいです。」と言ったら、「それじゃスキルをあげよう」と言われて物語の勇者みたいに強いのがいいと言ったら神様に「無理です。」と言われた。理由を聞いたら最近転生する人間がそういう系ばっかり欲しがって、その他のスキルのリソースが大量に余っているのでそっちにしてくれとのこと、なので戦闘以外で良いのを見繕ってくださいとお願いしたら、これらのスキルをくれた
〜鍛冶神の手〜、〜無限の錬金術師〜、〜全能の手〜、
〜全魔の智〜、〜至高なる付与士〜、〜完璧な創造者〜、
〜経験値増加〜、〜経験値消費超減〜、武芸絶対指南役〜
〜魔力無限成長〜、〜体力無限回復〜、〜神の眼〜など
どれもこれもチートの匂いがプンプンするスキルだらけでこんなに貰っていいのかと思っていたら、「別に普通ならスキルは一個ぐらいだけど、君は悪人の素質が無いから君の良心を信じてこんなにプレゼントするだけだよ」と言われて少し嬉しくなった。
まぁそんなこんなで転生した私は、中々にハードな家に産まれてしまった。父親は王都の衛士をしていて勤務が終わるとすぐ、酒に走り家ではのんだくれていた。母親は家事や育児で疲れているのに手伝いもせず酒を飲んでいる父親とよく口喧嘩をしていて夫婦の仲が良いとはお世辞にも言えない有り様だった。私は神様から貰ったスキルの確認や実験をこっそりおこなっていたので両親の不仲には興味が湧かなかった。そして、私が12歳になったある年の夕方に押入り強盗が侵入して両親が殺害されてしまった。幸いにも私は道草を食っていたので無事、強盗はすぐに捕まり、盗まれた金品は戻ってきたが流石の私でも、12歳で自立した生活は難しく、孤児院に入って色々なことを体験して自立する事にした。私はそれまで王都の一部分でしかなかった自分の世界がこの世界の様々な事柄について学ぶうちに、広がっていくのを感じた。
モンスターのこと、ダンジョンのこと、他種族のこと、別の国のこと、魔法のこと、そして『冒険者』のこと、私は学ぶうちに自分の目で見てみたいと思う様になり私は冒険者になろうと決めたのだ。
冒険者とは、凶暴なモンスターの討伐や未知のダンジョンの踏破などを行うこの世界では一般的な職業のひとつで、
ランクが高いほど危険や名声が高いものになる、前世では考えられないほど危険な職業でもある。
この世界の貨幣制度は、説明すると一番下から銅貨、銅貨5枚分の価値の大銅貨、大銅貨10枚分の価値の銀貨、銀貨5枚分の価値の大銀貨、大銀貨5枚分の価値の金貨、金貨5枚分の価値の大金貨、大金貨10枚分の価値の白金貨である。ちなみに、平均的な平民の年収は、金貨15枚程でありSランクのソロ冒険者の年収は最高で白金貨100枚近く稼ぐこともある。ちなみ1銅貨約150円ぐらいだ。
私は孤児院に居たが、冒険者ギルドに行って冒険者の登録をした。私が16歳になったときだった。私は一番下のEランク冒険者として街の人達からの雑用レベルの仕事を頑張ってこなし、17歳の時にDランクに昇格、孤児院を出てからは安い宿で寝に帰る毎日を繰り返していた。この頃には王都の近くにある最下級ダンジョンに潜ってスライムやゴブリンなどの低ランクの魔物相手に剣で少々苦戦しながら討伐の依頼もこなせるようになっていった。ちなみに安物の剣でも魔法付与をしたり錬金術で硬化する事で、普通に使うより戦いやすくしていたし、安いポーションでも〜無限の錬金術師〜のスキルで薬草を追加して再調合することで効果を飛躍的にアップさせて使っていた。神様が戦闘以外のスキルをくれた事は財布が中々厳しい冒険者生活にかなり役立つものだったんだなと感謝しながらランクを上げるために毎日のように依頼をこなしていった。
そして、19歳の誕生日前にようやくCランクに昇格、この頃にBランク冒険者のパーティーに勧誘されて周りを少し引っ張ってしまいながらも、パーティーのために色々な雑務や作業をこなしてゆき、パーティーがAランクに昇格した頃によくわからないが私とメンバーの間に壁が出来てしまったような気がした気のせいと思っていたが、段々メンバーが私に対してかなり態度が大きくなっていったのでなるべく刺激を与えないようにして、パーティーメンバーが休みの日も余り関わり合いになりたくないので1人で依頼を受けたりご近所さんのお手伝いをしたりして過ごすようになった。
そんな生活を送っている折私が21歳になってしばらく後のことである。所属しているパーティーがSランクに昇格したのだ。私はメンバーに嫌われている自覚はあったが素直にめでたいことなので心の中で喜んでいたら、何故かパーティーメンバーはさも当然といったような様子で、自分達が凄いというのを鼻に掛けたような態度が大きくなっただけであった。パーティーメンバーはSランクに昇格してから周りの冒険者にも偉そうな態度を取るようになり、その迷惑の尻拭いをパーティーメンバーがいない時や休みのときに自分がおこない、ギルドにいる職員や冒険者の人達から同情されるようになった。正直なところ何故尻拭いを自分がやらなきゃいけないと思っていたが、メンバー達と冒険した思い出や、前世からの習慣もあったのかも知れない。だがそんな事は、もうすぐどうでも良くなる出来事が起こったのだ。
「レイ、お前をパーティーから追放する」そんなお決まりのセリフを私に言ってきたのはこの冒険者パーティー『黒鉄の狼』リーダー、ガウィン。筋骨隆々で無精髭の生えた大男で盾と斧を使う重戦士である。私が詳しい理由を尋ねると聖職者のエイリースが「貴方はハッキリ言ってお荷物なのよ」と言ってきた。冒険者達の間ではエイリースは清楚で穏やかと思われているが実際はズボラで酒癖が悪い人なのである。そんなエイリースに便乗するように魔法使いのジェシカが「そうよ、貴方は戦闘の役に立たない雑用係じゃない。」と言うと斥候のトレバーも、「雑用ぐらいしか役に立たないくせに俺らと同じ金額貰えるとか不公平でしかねぇからなぁ!」と私に対する不平不満を次々にぶつけてきた。雑用しか能がないというのは、確かに正解だ。
私はパーティーに所属してからは、メンバーの武器の調整や、公共料金の支払い、備品管理、帳簿の作成、モンスターの特徴やデータの図鑑の作成(神の眼の能力で)、ポーションの効果を向上させたり(無限の錬金術師の能力)、使い捨ての魔道具の作成(全魔の智、至高なる付与士、完璧な創造者、全能の手の合わせ技によって作成)、パーティーホームの掃除、洗濯、料理、依頼人との交渉、野宿の時の持ち運び可能な拠点作成用魔道具の作成と管理、教会へのパーティーの名前での寄進、パーティーの悪い噂の火消し、依頼品の納品、パーティーの宣伝、素材の剥ぎ取り、そして最近は、パーティーメンバーに嫌がらせ行為をされた冒険者への謝罪と粗品のアイテム制作までやっていた。ハッキリ言って雑用係だとしても、追放はあんまりな気がするが、彼らにとっては自分達が良ければいいと完全に思っているので言うだけ無駄だろう。それに、もうこの迷惑極まりないメンバーと縁が切れると考えたら中々良いなと思い、私は、「今までどうもありがとうございました。荷物をまとめてすぐに出て行きます。」と笑顔でメンバー達に告げると、パーティーメンバー達は意外そうな顔をして「なんだよお前、土下座してでも置いてくださいとか言うかと思ったけどやっぱり根性ねえなぁー」とか「分かってんならさっさと出て行きなさいよ」とか言われた。
私は自分の部屋に行って、無限収納の付与をした貯めたお金で買ったワイバーン革の袋に細々としたものを入れ、大きめの荷物を背負ってパーティーホームを後にした。通りを歩きながら私は、「さてさて、王都にいたらまたメンバーと鉢合わせるかもしれないし、個人の口座にあるお金を持って違う街にでも引っ越ししますか。」自分の中でそう決めた後、今までお世話になった方々に挨拶に行こう、と
足早に目的地に向かった。
ここまで読んでくれた貴方に心からの感謝と祝福のあらん事を勝手に祈っておきます。なんか不幸があってもこの祈りは関係ないです。八つ当たりしないでください、それは傷つくので、マジ精神的にキツイやつです。