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ワシ、異世界で秘密結社の総帥やっとります 〜もうワシ、こんな世界嫌じゃぁ〜

作者: ムイ

...空には暗雲がかかり、太陽が見えることもない。


大地を見ればやせ細り、ひび割れいかにも不吉な荒野が広がっている。


空いっぱいに広がる暗雲と、体にねっとりと纏わりつくような嫌悪感がここガウミール平原であり、その中に一つだけ、圧倒的な存在感を放つ建物がある。


そう、人々が悪魔城レオパレスと噂する、否大陸一の商会であるガウミール商会、その本店なのだッ!!


そしてこれは、その建物の中の応接間での話である。


「おい、さっさと歩けッ」


「くっ、離せ、自分で歩ける...」


全長2、いや、3メートルはあろうかという大男に引きずられてやせ細った青年が部屋に入ってくる。


部屋の中央まで進んだところでお男が青年の頭を抑えつけ、強制的に床にひれ伏せる。


あとから、3人の男が入ってきた。


一人は老人で、残る二人は大男だ。


部屋に入ってきた三人のうち、老人だけが青年の前に座り、残りの二人は少し後ろで立っている。


部屋は混沌とした空気に包まれていた。


青年は老人を射殺さんばかりに睨みつけ、その視線を受けている老人は心ここにあらずといった表情でサラリと流している。


そんな老人の心境もまた異様だった。


『ワシ、死んだ』

「総帥、いかが致しましょうか?」

「うぬ、そうじゃな...」


老人は、喋りながらも自分の過去の記憶に思いを馳せていた。


そもそもの話、この老人、転生者である。


転生してきたのは17年前、前世は天寿を全うし、思いを残すことなく死を迎えたそんな老人である。


そんな老人が異世界転生を果たすとはどんな数奇だあろうか。それもただの転生ではない、老人がまだ青年だった頃に妹に進められて遊んだ乙女ゲーの世界の悪役令嬢....を溺愛するラスボス系老人に転生していたのだ!!


溜まったもんじゃないと老人は思った。


そのまま、ゲーム道理に進めばどの道、孫娘が断罪されたり処刑されたり、死んでしまう未来が見えていたからだ。


孫娘である悪役令嬢こと、クリスティーナ・バーベルトンは凄い悪役令嬢だった。というのも、凄く頭が悪いのに、凄く厄介という、珍獣に近い悪役だったのだ。今思えば、断罪パートやその他シナリオを円滑に進めるためだったのだとは思うが、それはもうすごかった。


頭が悪いのが原因で落第しそうになったかと思えば、主人公から課題を奪い取り提出したり、主人公を階段から突き落とそうとしたりしてくるのだ。...もっとも、全部失敗に終わるのだが、

奪った課題を、名前を変えずに提出したり、"突き落としていいのは、突き落とされる覚悟のある人だけですわ!!"とか言いながら、主人公に落とさせて泣きじゃくったりと..である。


そして老人は計画を立てた。


先人たちに習い、孫娘をヒロインと敵対しないように善意の英才教育を施し、生存ルートを探す計画だ。


つまるところ、孫娘更生計画である。


孫娘が生まれてすぐ、老人は計画を行動に移した。本を与え、愛情を注ぎ込んだ。更には、家庭教師をつけようものならどんな影響があるかわかったものではないがために、老人自ら勉学もマナーも体術まで教える徹底ぶりである。


そして7年後、孫娘が7歳になった。


老人(ラスボス)の英才教育の甲斐あってか頭は良くなった。



そう、頭 "は" ...というのも、当たり前だが中身が変わったのは老人だけなので、悪役令嬢っぽさは変わらなかったのだ。それだけではない、老人の爺心によって始まった体術の授業、これが少女の価値観へ与えた影響は大きかったのだろう。孫娘は筋肉至上主義者になってしまった。

...蛇足だが、令嬢に筋肉はあまりないのである。...更に蛇足だが、この家族に影響された商会内の執事や商人の間で、空前の筋トレブームが始まったのも孫娘の価値観が曲がった要因の一つだろう。


老人は焦った。


老人は〇〇至上主義者と名前のついた悪役令嬢が生き残れるとは考えにくかったからだ。財力至上主義者が、筋力至上主義に変わっただけで、悪役令嬢であることに変わりは無いのだから。


老人は育成計画を変更することにた。自愛系令嬢路線から勘違い系令嬢路線に切り替えることにしたのだ。


老人はヒロインっぽいと老人が思うような行動を孫娘にさせることにした。


手始めに、孫娘には道徳の重要性や社会貢献の大切さを伝え、その実践として孤児を保護することを伝え、孫娘を連れてスラム街や下町を散歩し孤児の子供を保護するように仕向けた。


老人は間違いなく孫が嫌がると思っていた。


しかしながら、孫は嫌がるどころか大いに喜び、終いには早く行こうと急かしてくるほどだった。


老人は違和感を覚えながらも積極的な孫娘の姿勢に感動していた。


当日、裏路地を通り、スラム街を歩き、夕暮れになるまで探し回ったのだが誰一人として出会わない。


流石に、そううまくはいかんか。そう思い老人が帰ろうとしたところ、孫娘が待ったをかけてきた。


「お祖父様、気づきませんこと。」


「なんじゃ」


「悲しげな筋繊維の音が聞こえてきますの...」


「 」


(ワシ、ボケたかのぉ)


自分の常識外の言葉を受けて混乱した老人は同行してきた執事の反応を見てみることにした。


が、だめ。


執事たちは皆上腕二頭筋に力を込めながら、悲しげにうなずいていた。


.....


....総.....帥.


総帥ッ!!


っは、


「総帥ッ、」


「何じゃっ!!」


「お嬢様を婚約破棄した、この不届きものを処刑する許可をどうか...」


「ならぬ!!」


危ない、危ない、現実逃避しとる場合じゃなかったわい。


そう、我が孫娘は婚約破棄されたんじゃった...しかし、勝っちゃったんじゃよなぁ。


あの日連れてきた、孤児たちがああも成長するとは...


話の流れとしてはこうじゃ


マッスルの素質のある孤児を見つけ

孤児を鍛え

盗賊を筋肉で撃破し

筋肉教が始まり

色々あって、筋肉、筋肉言われ鬱憤の溜まっていた王子が婚約破棄して、断罪しようとしてきたんじゃよなぁ。

王子と王国軍をを筋肉で撃退し、王子をここまでさらってきたんじゃよなぁ。


どうして....どうして、北○の拳に出てきそうな大男に進化するんじゃよ、みんな...


あと、わしは筋繊維の息吹とか知らんよぉ...


孫娘の悪役令嬢化を防ぐはずが、覇王ルートに行ってしまった件について...


転生しても、思うようにいかんのぉ


あれ、涙が...


もうワシ、こんな異世界嫌じゃぁ

読んでいただき有難うございました。だめだめで、申し訳ない。面白い文章書く練習しつつ出直してきます。

それでは、またいつかよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり筋肉は全てを解決しますね…。 世紀末のような異世界で老人(in青年)が今後も強く生きていくことを祈ります。
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