密室からの脱出
その瞬間、部屋のドアが閉まってしまった。開かない。
ドアだけでなく、窓も開かなかった。ガラスは叩いてもびくともしない。
「無駄ですよ。この部屋は密室になったのです。私と勝負してあなたが勝ったら、開放して差し上げましょう。」
そう、目の前の女は言い放った。
「勝負だって?」
「ええ。何でもいいわよ。」
「し、しりとり、とかでもか?」
「しりとりね。いいわ。あなたからどうぞ。」
いいんかい? でも助かる。はっきり言って、腕力には自信が無い。相手は女だが、俺の体力の無さは尋常ではないのだ。
「じゃあ、しりとりの、りから。林檎。」
「胡麻。」
「ま、孫。」
「碁石。」
(召喚……。)
「ルーレット。」
「トノサマガエル。」
「ルビー、いから始まる言葉ね。」
「イエアメガエル。」
「ルバーブ。」
「ブラジルツノガエル。」
「ルービックキューブ。」
「ブルーノイシアタマガエル。」
「る、瑠璃。」
「リュウキュウアカガエル。」
「ちょっ、るよね。る~。ルビコン川。」
「ワライガエル。」
「そんなのいるの? いるんだ。……る~。ルーター、あから始まる言葉よ。」
「アフリカツメガエル。」
「またカエル? る~。ルーツ。」
「ツチガエル。」
「ったく。留守番電話。」
「ワサビ。」
「ビロード。」
「ドア。」
「アリア。」
「アイゾメヤドクガエル。」
「カエルに戻ったぁ~! る~。ルクセンブルク。」
「クランウェルツノガエル。」
「ルイボスティー。い、だからね。」
「イシカワガエル。」
「ルアー。」
「アイフィンガーガエル。」
「ルサルカ。ルサルカっていうのはスラヴ神話に出てくる水の精ね。」
「カジカガエル。」
「……。ルームサービス。」
「スズガエル。」
「ルゴール液。」
「キオビヤドクガエル。」
「る、る、ルミナリエ。」
「エゾアカガエル。」
「留守電メッセージ。いいよね。留守番電話とは違う言葉でしょ?」
「ジュウジメドクアマガエル。」
「あ、あっさりと……。る、る、ルイジアナ。」
「ナンベイウシガエル。」
「るいえん~は駄目だから、る、ルポライター。あのつく言葉。」
「アズマヒキガエル。」
「ま、負けるものですか! ルミノール反応。」
「ウシガエル。」
「また、あっさりと……。る、ルワンダ。」
「ダルマガエル。」
「ルテニウム。」
「ムシクイオオクサガエル。」
「る~、ルーティン。ぎゃあ。負けた……。」
すると、部屋のドアが開いた。
こうして俺は、無事に、帰ることができた。
ありがとう、グー○ル! いや、グー○ル大先生!
【変更あり】2021/12/5
分かりにくそうなので、少し変更を加えました。
それでも、分かりにくいかもしれない。