第1回 感想戦
迎賓館にてソファに落ち着いたマユは今日一日を振り返る。
(召喚されたといっても創造神が造ってそのまま陣に置かれたってことよね。
詐欺くさい…まあ神さまのやることに誰も文句は言わないだろうけど。
私の記憶では15才だけど0歳児か。
この世界についての知識はないから間違いではないけど複雑ね。
なんにしても教育は必要だからこれはお願いしよう。
問題は聖女として何をやるかね…
好きにしていいってことだけど「聖女」として規定されたならそのように振る舞うべきだわ。
とりあえず言葉使いを変えてみたけどリアクションは悪くなかったわね。
輝く白いローブも効果があったはず。見た目は大事よね。
このローブも私と同じ創造物だからこの世界の干渉を受けないはず。
このスタイルでいこう。
で、聖女といえば癒しのイメージだから、その方向で出来ることを探すと…
それで神さまの話から人の子に魔法をバンバン見せていけばよさそう。)
---
ジラール国王は執務室で宰相クロード・バイエと大司教エドモン・レヴィとともに聖女の扱いについて相談していた。
宰相も国王と同じ金髪に青い瞳だ。
この世界の人は色素が薄いので聖女の黒髪黒目は非常に目立つ。
「エドモンの目からみて、あの聖女はどうだった?」
「間違いなく神の子にあらせられますな。」
「そうか?初めは異界の娘にしか見えなかったが。」
「ご本人様もそういう認識でしたな。
しかし、消失し再臨された時の装い、態度、なにより御言葉の数々は神の使者様のもので間違いようもない。」
「神の子自体がよく分からんのだが。」
「神の子とはですな、創造神様が直接お造りになられた人のことですじゃ。
我々には人の父母が必ずおるが神の子にはおりませぬ。
つまり、聖女様は始祖様の妹君にあらせられる。」
「なるほど、始祖様の妹君か。そいつは尊い。王族なんぞ比較にならんな。
大司教が公の場で認めたからにはそのように扱うべきだろう。
召喚した責任もある。丁重にもてなすことに変わりはない。
明日にも再度確認すべきこともあるだろう。エドモン、すまないが纏めておいてくれ。」
「御意に。」
始祖様とは人の祖、創造神が言っていた男女の創造物である。
2千年間ひたすら子作りに励んでいた神の子の初期ロット。
人の子からは創造神と同じくらい信仰されているが創造神は彼らが嫌いだった。
いつ見ても励んでるだけだったから…
「クロード、お前は政治的にみてどう考える?」
「国賓としてもてなすというのは良き判断かと。
異界の聖女の実態は神の子。なかなかに難しい存在ですな。
召喚前には巫女のようなものと考えておりましたが。
国王陛下の側妃のご提案もそれに沿ったものと愚考しますが。」
「うむ。あれは不味かった。無かったことにしておこう。
記録からは削除しておくように。」
「御意に。
して、とりあえず内向きには聖女様の好きにしてもらうのでいいのですが、
すぐにでも外交に絡むことになるかと。」
「それよ。
お披露目ではないが各国に紹介する場を設けねばなるまい。
相談の上、ある程度の礼儀作法は学んでもらうか。
ああ、それと聖女殿の身の回りに影を置け。
行動、言動を記録させるのだ。」
「御意に。」