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聖女ってなんだろう  作者: ran.Dee
第4章
23/39

王家の茶会

千年宮に居を移して2ヶ月、聖女業務も軌道にのって家庭教師の授業も始まり、ここでの生活に慣れてきた頃、王様よりお茶会への招待状が届いた。

ほぼ同じところに住んでるのに招待状て…

一般常識と頭で理解しても慣れないものは慣れない。

これにまたお返事を書くとかちょっと…

カテキョのおかげで文字はスラスラ書けるようにはなったが定型の手紙文の違和感にまだむず痒い思いをする。

ミレイユ王女の治療に対するお礼と視察から帰還した王太子との顔合わせをしたいらしい。


(ってか、いたのか王太子。)


「そりゃ後継くらい作ってるかー王様だもの」なんて、みつおな気分で王妃宮にてすっかり寛ぐ聖女マユ。

「偉くなったな自分、あ、生まれた時から偉いんだった。テヘペロ」とか、ちょっとダメ聖女になりかかっていたり。


---


抜けるような青空のもと、王宮内の庭園に案内されると瀟洒な四阿にお茶の用意がされていて、そこに王族各位が待っていた。


金髪青目一家。

国王夫妻は精悍なイケオジに強めの美人。

儚げな線の細い美少女が元ヒキコモリのミレイユちゃんだ。

厨二の悪夢的な王女宮では腕を生やして早々に退散したが、王妃宮に移ってきてからはたまにお話しするようになった。

護衛の女性騎士カミーユの元主人ということで彼女とクロエも含めて女子会みたいなこともやった。

ほぼカミーユの婚約者との惚気話を聞く会であったが。


そしてお初の王太子は…カッコいいっちゃいい。全然タイプじゃないけど。

すっげームッキムキ。イケメンなのにバッキバキ。


「聖女殿、お初にお目にかかる。ジラール王国王太子のマクシムだ。よろしく頼む。」


カテキョに習った挨拶をかます。

トレードマークの輝く白いローブに合わせて宗教家の両手を胸の前で合わせて軽く一礼するやつだ。ナームー


「創造神より遣わされた神の子、聖女マユです。よろしくお願いします。」


あとの面々はもうお馴染みさんなので略式に挨拶を済ませて席につく。


「聖女殿、改めて礼を言う。我が娘、ミレイユを助けてくれてありがとう。」

「聖女様、ありがとうございます。」x2

「お気持ちはありがたく。

でも元々は王様が私を召喚したのですから親子の強い絆が救ったということになるでしょう。

私はそういうことだと信じています。」

「聖女殿は会うたびに神々しさが増すな。」


王様が苦笑し、場が和む。


「ミレイユとはもう打ち解けた仲だと聞いている。

マクシムにも気兼ねなく接してくれ。」

「ええよろこんで。しかし王太子殿下はお忙しいのでは?」


王太子が応える。


「私はまだあまり公務は任せてもらえていないのだ。

学生の本分は勉強だと言われるので休暇にしか魔獣討伐に行けない。」

「魔獣討伐が王太子殿下のご公務ですの?」

「ああ大事なことだ。」


王様が思わず口を挟む。


「お前はそればっかりだな。討伐以外にもやることは沢山あるのだ。

魔獣討伐が好きなだけだろう。」

「まあ!お強いのですね。」


王様の苦言に初対面の聖女が同調するわけにもかず、無理矢理前向きに話を戻したら王太子の顔が真っ赤になっていた。


「き、筋肉には自信があるが、強さの証明になるかどうかは分からん…」

「…筋肉ですか。確かにご立派ですね。」


(これ、褒めたんでいいよね?…)


会話が迷走し始めたところで王様から助け舟が。


「そういえば聖女殿はバイエ伯爵の狼藉を一瞬で抑えたそうだな。

報告では何があったのか分からないと。

何をされたのか伺っても?」

「ええ、魔法を使いました。」

「それはどのような?」

「コケ脅しのようなものですが、不届き者にはそれなりに効果があるようです。

害はありませんが心が折れるでしょう。受けてみますか?」

「うむ。やってくれ。」

「では。」


マユはz+1000魔法を王様にかけた。

対象の位置情報のz軸に1000をプラスし、3秒後に元の位置情報に戻すのを自動化した魔法だ。

王様は魔法をかけられた瞬間に1000m上空からの自由落下を3秒間味わうこととなった。


「うわっ!こ、これは効くな。

害はないと予め聞かされていなければ絶望していただろう。」


青褪めた顔で話す王様。


「私にもかけてもらえないだろうか?」

「王太子殿下も?いいでしょう。では。」


「ギヤアアアアァァ!」

「大丈夫ですか?」

「…」


青を通り越した真っ白な顔で震えていたので魔法で血流を整えてやる。


「こんな魔法聞いたこともないぞ!」

「聖女殿の魔法は特殊なのだ。我々からするとな。

創造神様に言わせると逆らしいのだが。」


王様が要領よく簡潔に説明してくれた。


「何が起こるか説明しておけばよかったですね。失礼しました。」

「いや、空に投げ出されるのは得難い経験であった。

恐ろしいものでもあったがな。

ただただ落ちていく状況に筋肉だけでは太刀打ち出来まい。

王太子も勉強になったな。」

「確かにその通りです。この恐怖は忘れません。今後の戒めとします。

聖女殿、ありがとう。」


(おうふ。さすが脳筋。)


「お役に立てたようであれば何よりですわ。

良き王になられますことを願っております。」

「肝に銘じます。」


その後は和やかに談笑して王家のお茶会は終了した。

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