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正継さんだって愚痴りたい  作者: Making Connection


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「人に話すという事」

1600年の夏場になっているだろう。僕の目の前には正継さんが座っている。何度も対面しているが偉い人物であるにもかかわらず、それを感じさせない所がある人である。

「戦が近づいているという事もあって慌ただしくなっていてすみません。」

正継さんは落ち着いた様子で話しているが城内は確かに行きかう人でごった返していた。

「お忙しい所にお邪魔してすみません。今回も呼んで頂きありがとうございます。」

「私も今回はお呼びするうえで、戦の最中にならないかと不安ではありましたが大丈夫だったようで嬉しいです。今までのお礼もかねてご挨拶もさせて頂きたいと思っていましたからね。」

「こちらこそ普通ではできない体験をさせて頂いてありがたく思っています。」

社交辞令ではなく本音の言葉だった。なぜ僕が相手に選ばれたのかなどはわからないが本当に普通に生きていたらできない経験をしている。いろいろな事を考えさせてもらう機会を与えてもらって本当に嬉しく思っている。

「最初にお会いした時にも言いましたが、私の立場ではなかなか人に本音を話す事ができないという事もあって一人でため込んでしまう事も多かったです。なので、こうして大谷さんが私の話を聞きに来てもらえることが本当に嬉しかったです。

他の武将がどのような感じなのかはわからないですが、私は自分の息子たちにすら本音を話す事が出来ない人間です。別の二人が信用できないとかそんな話ではなく、ただ三成には息子のおかげで出世した親父という立場からこれ以上弱い所を見せたくないと思ってしまった部分があり、正澄には少しでもかっこいい親父に見て欲しかったので強がっていたのだと思います。

私は本当に器の小さい人間だったのかなと思ってしまう部分があります。

まあ、結局のところはそういう事も見抜かれていたから大谷さんという存在を連れてきてくれたのだと思います。本当によくできた息子たちです。」

「僕の時代でも言いたい事を簡単に話す事ができる相手というのを持っている人は少ないです。

匿名である事を良い事に他者を傷つけてしまう人が多く、隠れてやっている事だから誰かに直接注意される事もない状況に甘えて行き過ぎた言葉で人を追い詰めてしまう人もいます。

きっと人と人が直接話して自分の考えや伝えたい事を不器用なりに一回で伝えきれないとしても何度も話し合って伝えていく努力をしていくことが必要なんじゃないかと思うときがあります。

誰もがみんな人には言えない本音があるし、言えない事を我慢できずにはけ口となる場所を求めてしまうんだと思います。自分が小さいんじゃなくて、みんながみんな自分の事で精一杯になる器しかもっていないんじゃないでしょうか。だから、誰かが苦しんでいてもすぐには助ける事もできないし自分が傷つくをの恐れてあと一歩踏み出せないで人との距離が遠くなってしまうのかもしれません。」

「人に話を聞いてもらえるというのは、当たり前のように感じる事ですが本当は何にも代えがたい幸せななのかもしれませんね。」

僕と正継さんは話ができるという事が幸せな事だと確認しあった。

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