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宝玉はまた輝く  作者: 日月星
堕ちた一等星、もう一度輝きを取り戻すために希望(そら)に手を伸ばす
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9話 そこはゲームでいいのでは?/そのうち著作権で訴えられるぞ

家に帰り食事や色々済ませた私がゲームを始めたのは夜九時ごろのこと。ログインした私はセーブするために借りていた宿の一室から外の様子をうかがう。


ログアウト前と比べて街にはプレイヤーが増えていた。さすがに二日目ともなるとここまで来る人は多いか。


だがまだ次の街までたどり着いている人はおらずアナウンスもかかっていない。


妙だな。廃人クラスならとっくに次の街までたどり着いているものだと思っていたのだが。何かしらの特殊なギミックでもあるのか?


まあそこのところはリキッドさんにでも聞けばいいか。どうせあの人のことだからログインでもしていることだろう。


さてさて場所は……と、思いながらフレンドの位置情報を確認する。すると意外にも昨日仲良くなったカミノコ君達を含めた全員がこの街の中にいた。


なんだ、まだこの街の中にいるのか。あの人のことだからてっきり次の街へとチャレンジしているのかと思ったが。取り敢えず連絡を取って合流するか。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「やあやあ待っていたよカエクス君」


集合場所に指定されたカフェにやって来るとリキットさんがいつもの胡散臭い笑みを浮かべ、自分の居場所を知らせるように手を上げて声をかけてきた。


「今回は君が来るまで次の街への攻略を待っていてあげたんだよ。心の広い私の配慮にガン泣きして感謝してくれてもいいんだよ」


「よく言うぜ。挑んだはいいものの攻略の仕方がわからなかったくせに」


でしょうね。この人のことだから人を待つよりも自分一人でも攻略しようとするでしょう。


「ちょっとサリバンさん、本当のことは言わないでくださいよ」


「まあいつものことですね。……クロードさん、今回は何が問題だったのですか?」


「うーん強いて言えば三つほどかな?」


こういうことはまったくと言ってもいいほど当てにならないリキッドさんを放っておいて机に体を預けてダラけているクロードさんに問いかける。


問われたクロードさんは顔を上げ、私の方に視線を向けて右の指をを三本あげる。


「一つは許可証。次の街に行くためには許可証が必要になってくるんだ。まあそれはギルドで依頼を行えばなんとかなるけど」


「問題なのは他二つと?」


「そう。結論から言わせてもらうとアイテムボックスと移動手段が必要かな」


「と、言いますと?」


「まずはアイテムボックスの方の説明。……カエクス君は知ってると思うけどこのゲームは現実世界の六倍のスピードで進むんだよ」


「はい。現実の一時間はこの世界でいう六時間。つまりは現実世界の四時間でだいたい一日が過ぎるということですよね?」


「そう。で、時間帯によって色々と変化がある、朝と夜で出てくる魔物が変わるなんかでね。でも、僕達自体はあんまり変わりはないんだよ……僕達はね」


今の言葉で私はピンと来る。が、昨日今日でゲームを始めたばかりのカミノコ君達はなんのことかわかっていないようだ。全員疑問な表情を浮かべている。


「つまり食べ物の保存が利かない」


「それって普通のことじゃねー」


「オレックスさん、ゲームではそれが普通ではない時の方が多いのですよ。そして大抵はストレージやアイテムボックスとかに入れておけば時間の経過を気にしなくて済みます」


「その通り。で、今回は食べ物の保存が利かない。つまりは腐って食べることが出来なくなる。いや、正確には食べることが出来るけど異常状態になってしまうかな?」


「ハイハイ! それが何か問題なんですか!」


「いい質問だねミミちゃん。このゲームには空腹ゲージがある。それがゼロになるとダメージを負っていき最終的には死に至る」


「保存食を作る……っていう手もあるけど、それをやるんだったらアイテムボックスを作った方が早いかな。入れておけばある程度の時間経過は抑えられる。少なくとも次の街に向かうくらいはね」


「ちなみにもうレシピは手に入れてる。あとは材料を揃えて作るだけだよ」


さすが廃人。


「けど、材料のひとつに手に入れ方がわからないものがあるから今すぐ作れない」


使えねーな廃人。


「……カエクス君の言いたいことは今は置いておこう。で、一番の問題で重要なのが三個目だよ」


「移動手段……ですか?」


「そう。なんと次の街までの距離は歩いてだいたい一週間」


「一週間は……まあ遠いですね」


「カエクス君、多分君、勘違いしてるから言っとくよ。一週間っていうのは現実世界での話。この世界で換算すると約一ヶ月以上くらいはかかるんだよ」


「一ヶ月!」


おいおい馬鹿だろ、製作側いったい何を考えているんだ。次の街まで一週間かかるゲームなんて聞いたこともないぞ。


「何故そこまでかかるのですか?」


「単純に距離の問題。このゲームって寸法サイズが現実と一緒だからそれくらい距離がかかるんだよ」


そこはゲームでいいでしょう。ほら、何か特殊な方法でパパッと移動出来れば。


「だから移動手段が問題になってくるのか」


「そう。これが馬車とかになるともっと短くなる。そしてなんと言っても安全にセーブとかが出来る」


確かに。そこが重要だ。このゲームは連続プレイが八時間くらいで、そこを過ぎれば強制的にログアウトさせられる。戦闘中などを除いてな。


だからこそセーブというのは大切でそれも安全であることは必須条件だ。


「けど、情報によるともっと早い移動手段があるみたい。私達はそれを狙いつつもいち早く通行証を手に入れ、アイテムボックスを作って次の街へと向かうとするよ」


「「オー」」


最後に廃人が良いところ掻っ攫って他のメンバーが満場一致で了承する。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




方向性は決まり各々がしなければならないことを取り掛かる。私の場合はギルドでランクを上げ料理のレパートリーを増やすことだ。


そう思った私は冒険者ギルドにやって来ていた。ここでは戦闘系の依頼の他にも納品系やお手伝い系のクエストも多く発注されている。


どうせギルドランクを上げるのであれば特技を活かしつつ未だ知らない料理のレシピを増やしたいものだ。


さてさて何かいいものはないかな……と思いながら掲示板の依頼書を覗き込む。


討伐系の依頼はなんか気が乗らないしお手伝い系は……地雷じみたやつもありそうだな。


どうやら今回のシリーズはゲームらしからぬこともありそうだ。移動の距離とか空腹とか耐久値とか。


そう考えるとこのナイフもそろそろ修理しなくては。いや、初期装備だしいっそ買い替えてもいいかもしれない。もしくはリキッドさんに作ってもらうとか。


……やめとこ、あの人の装飾のセンスはあまりよろしくない。少なくとも私には合わない。


「これなんて良さそうだな」


数多ある依頼書の中から一つ、私は気になる物を手に取る。


内容は料理を手伝ってくださいという何の不思議も思わない内容。ただ私が興味を引いたのはその依頼者の名前。


アマリリス・グレーセス。千年前いたとされる伝説の料理人と同名の名前。


まあこういうゲームなら過去の偉人の名前は使われるのは常套句だがそれにしてもこの人の名前を使うなんて……よほど自信があるのか? まあいい。ちょっと面白そうだから受けてみようか。

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