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3球目 アオイとの一球勝負①


「なぜですかっ!?」


断ったはずなのに全然諦めようとしない。というかなぜ俺なんだ?Why?


「いや、まず教えてほしいのだが。なぜ俺なんだ?」

「野球が好きで監督をやりたそうにしていたので!あと直感です!!」


結局直感かよ!という突っ込みは言葉に出さずに心の中にしまっておく。

監督をやるかどうかはともかく、とりあえず聞くことはいくつかある。


「君は野球部のマネージャーになりたいってことでよいのかな?」

「いや、私は選手になりたいです!!」


ということはたまに聞くことがある、「女子野球部」の監督ということなのだろう。

しかし、心愛高校に女子野球部というのが存在していたというのは聞いたことがない。


「めずらしいな。女子野球部か。何人いるんだ?」

「一人です!」

「は?一人?」


どうりで聞いたことないわけだ。一人の女子野球部などそもそも話題になることがないはずだ。

そもそも部員が一人しか部活が、野球「部」なのか?


「部員が一人だけの女子野球部の監督になぜならないと行けないのか。」

「これから部員は集めます!」

「これからって・・・。」


無理だ。もう何がやりたいのかもわからない。

適当に断って帰るとしよう。


「すまんな。そんな暇はないんだ。じゃあな。」

「待ってください!頼れる人がいないんです。」

「学校の部活動なら学校の先生に頼れば良いじゃないか。」

「野球部の顧問になりたい先生が誰もいないんです・・・。」


確かになぜか「男子」野球部が活動してない。部員がいなくなって廃部になってしまったのか。

その流れなのかどうかはわからないが、顧問の先生は別の学校に行ってしまったのだろう。

確かに今日は前野球部の顧問を見ていない。


「じゃあ諦めろ。わざわざ野球部を作らなくても野球以外の部活動に入ればいいだろう。」

「野球が良いです!野球を見ていたら、自分でやってみたくなりました!」


見ていたらやりたくなる気持ちはわかる。ただ野球部を作ってまでやりたいと思うものなのか。

しかも、「女子」野球部というちょっと特殊な部活を。


話していてもこれ以上埒が明かないと思ったので、「絶対に」負けない勝負をして断ることにしよう。


「わかった。君がそこまで監督になってほしいというのなら勝負をしよう。」

「勝負ですか?私が勝ったら私が監督になってくれるということで良いですか?」

「いいだろう。もちろん野球に関係ある勝負ということで、バッターとピッチャーに分かれて一球勝負しよう。」


こうして一球勝負が実現することになった。どこまで上手いのかはわからないが負けることはないだろう。

ただなぜかアオイが自信満々というのが気になる。もしかしてかなり上手いのでは。


話し合った結果、俺がピッチャー、アオイがバッターとして一球勝負をすることになった。

時間も遅くなってきているので準備運動も軽めに済ませて、すぐ始めることにした。

面倒なことは早く終わらせるに限る。


「いくぞー。」

「どうぞ!」


監督になるかどうかという一球勝負とは思えないほど軽い感じで始まった。

投げようと思ったその時、違和感に気づいた。


「・・・待て。バットの握り方おかしいぞ。」

「へ?」

「お前まさか・・・・・」


バットの握り方だけでわかってしまった。

アオイは野球を知っているだけの、超初心者ということに。

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