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1球目 アオイとの出会い

昨日。


某システム会社に働く俺はごくごく普通の生活を送っていた。


俺の名前はミナト。

趣味、スポーツ観戦。


兎にも角にも、普通というのがしっくりくる平凡な人間だ。

一般の高校を出て、近くにあった大学に通い近くのシステム会社に就職して今に至る。


スポーツで特に好きなのが、野球だ。

中学、高校、大学と野球はずっと嗜んでいた。

野球。ベースボール。基本9人1チームで行うスポーツで、詳しいルールは知らなくても

一度は見たこともある人がほとんどだろう。


ルールも他のスポーツに比べたら難しい方だと言われることが多い。

ただ、攻撃、守りがはっきりと分かれていて、

ホームラン、ファインプレーなどは誰しもが盛り上がれる場面だろう。


この日もプロ野球観戦にとある球場に来ていた。いつも通り一人で。寂しい人間である。

最近ではインターネットやテレビで見る人も多いのだろうが、俺は実際に見に行くほうが好きだ。


そんな中、のんびりとビールを片手に観戦していたら隣の少女がやけに騒がしい。

立ち上がったり座ったりとにかく忙しそうだ。


この少女こそアオイだった。

ここでなぜか話しかけてしまったのが全ての始まりだった。


「なあ。騒がしいけどよく来るのか?」

「はい?初めてです!というかお兄さんはなぜ冷静なんですか?こんなに面白い試合なのに!」


周りの歓声にも負けない、すごく元気な声でこう応えられてしまった。


「スコアは10-0。明らかに面白くないとは思うが。」

「点数は関係ないです!面白いんです!」


野球観戦していてよく思うことがある。


「俺が監督だったら・・・」


思ったことを、聞こえるか聞こえないかぐらいの声でつぶやいていた。


「監督・・・?」


アオイは聞き逃していなかった。

聞こえたことに俺は気づかなかった。


特にこの後会話も続かず試合も終わった。

周りは帰宅する人で長蛇の列になっていた。

この列に並ぶのがいつも辛いので最後まで残る。どうせ予定もないし。


隣のアオイもまだ残っていた。

あの時から何か言いたそうにこっちを見ているが知らないふりをした。なぜか嫌な予感がしたからだ。


少し時間が経ち、長い列が大体収まったのを見計らって立ち上がった。

ここで隣のアオイも立ち上がりこちらに向かってこう言った


「野球チームの監督に興味がお有りですかっ!?」


いきなり何を言い出すかと思ったらとんでもないことを言い始めた。


「いや。ない。」


監督だったら。

と思うときはあるがそれは一時的なもので本当になりたいわけではない。

確実にめんどくさいし。


「うそですうそです!絶対ありますよ!」

「・・・もし仮に有ったとしたら?」

「仮ではないです!さっき聞きました!」


口に出してしまっていたのか。ただの呟きなのだが。


「私の学校には女子野球部というのが出来まして・・・」


このあと何が続くか大体わかってしまった。

嫌な予感が的中しそうだ。


「あー。このあと急ぎの予定があったわ。また今度話を聞くな!」


そそくさとその場を立ち去った。


まあ、ないんだけどな。

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