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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
5章ですよ わ……私がお母さんですか!? お姉ちゃんではダメですか?
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50話 畑の子供たちからのニョロニョロ髪の毛

どうもこんにちは、モーリンです。


 今日は、ちくわちゃんと一緒に畑に向かっています。

 セレブお嬢さんは、ワイルド商人さんを含めた商人チームと、書類を眺めながらお話していたので、お仕事かなー?、っと思って誘いませんでした。


 ぺルルちゃんは、ディアえもんから借りた秘密道具の使い方をチェックするそうで、ついて来ませんでした。

 なので、今日はちくわちゃんと2人きりですね。


 なんだかデート気分になったので、手を繋いでみました。 ちくわちゃんも嫌がっていない…… というか、凄く嬉しそうです。 ……こういうのも、良いですね。

 私とちくわちゃんは、そのまま手を繋いだまま、畑まで歩きました。


 あっ、何で畑に向かっているかと言いますと、ほら、今は冬だという話なのですが雪は降っていません。 それに周りの草木を見ても、枯れてるものもありますが、まだ葉っぱが青々してるものも多いんですよ。 で、冬でも植物に元気があるくらいの気候なら、畑の作物はどんな感じになってるのかなー、っと思って見に来たんですよ。



 確か、畑はこっちの方に…… おおっ! 少し見ない内にまたでっかくなりましたねー、この畑。

 人口が急に増えたから食べ物が心配だったんですが、生産量もちゃんと増やしているみたいです。 まあ、私のような素人が心配するような事は、とっくに対処してありますか。


 さて、それでは作物を見てみましょうか。


 あっ、ありますあります! 1つは、カリフラワーっぽいやつです。

 んー、言われてみれば、カリフラワーって冬の野菜だったかもしれませんねー?

 日本では大抵の野菜が年中売っているので、あまり旬の時期を考えた事ありませんが。


 で、もう1つの作物は…… えーっと、見てもわかりませんが、葉っぱ系の野菜ですね。 漬物か青汁に入っていそうなやつです。


 正直な話、この手の野菜は、あんまり見分けが付かないんですよね。

 私的には、小松菜と野沢菜とほうれん草が並んでいる姿は、もはや分身の術です。

 そう言うわけで、なんの野菜かは不明なんですが、とりあえず冬でも育つ野菜みたいです。


 で、その野菜たちの世話や収穫をしているのは、小さな子供たちなんですよ。 下は6歳から上は10歳くらいの少年少女たちです。


 日本人の感覚が残っているので、お手伝いならまだしもメインとして子供が畑で力仕事をするのを見て一瞬驚きましたが、地球でも子供が働いている国はたくさんありますし、ましてやこの世界の技術は近代化以前の水準ですから、子供も働くのが普通なのかもしれません。

 もちろん無理やり働かされるのは論外ですが、ここの子供たちは笑顔で働いているので、仕事の環境は悪くないのでしょう。


 まあ、この村の皆さんが、子供に無理な仕事を押し付けるような、ひどい事をするはずもないですよね。


 ところで、この子供たちは見たことの無い子ばかりですねー?

 ワイルド商人さん辺りが、どこかでスカウトして来た子たちですかね? パッと見ただけで20人以上いそうです。 小さな子供がこの人数で畑仕事をしていると、小学校の課外授業か何かみたいです。


 だとしたら引率の先生が居そうですですよねー、なんて考えていたら、視界の隅っこに大人の人影が見えました。 ……おや? 本当に引率の先生ですか?



 子供たちに手を引かれて歩いて来たのは…… 若頭さんです!?

 え? 冒険者さんから土建屋さんになって、今度は引率の先生ですか!?

 色んなお仕事をしてますねー。 しかも、子供たちになつかれているみたいですし。 意外と立派に引率の先生をこなしているようです。


 ちくわちゃんが殴りかからないか心配しましたが、流石に子供たちが笑顔ではしゃいでいる中に乱入して殴りかかるようなバイオレンスな行動は取りませんでした。


 というか、自分の宿敵が子供と遊んでいる姿を見て、毒気を抜かれた感じでしょうか? なんとも言えない複雑そうな表情で若頭さんを見ています。


 若頭さんの方も、ちくわちゃんを見て、『あちゃー』って顔をしています。

 イメージとしては、会社では厳しい鬼上司で通っている人が、休日に笑顔で家族サービスしている所を会社の部下に見られた時って感じでしょうかね?

 なんか、お互いに気まずそうですねー。


 そんな2人の様子を見ていた私ですが、横から視線を感じた気がしたので、そちらを確認してみました。 ……おや? 子供たちが私の方を見てますね?

 どうもこんにちは、モーリンです。

 私は挨拶代わりにワサワサと羽ばたきました。


 何人かは、驚いてビクッとしましたが、笑顔でワサワサ羽ばたき返してくれる子もいました。 うん、なんだか嬉しいです。 あと、驚いた子はごめんなさい。


 物怖じしない何人かが私に話しかけてくれました。

 残念ながら私は言葉がわかりませんが、それでも話しかけてくれるのは嬉しいものですね。



 そのあとは、なんとなく成り行きで農作業を手伝いました。

 植物である私が野菜の収穫を手伝っているというのも、なにか微妙な感じですが、やってみると綺麗に収穫するコツが本能的にわかるうえに屈んで作業しても腰を痛めない丈夫な体なので、思った以上に活躍できました。


 これは、芸人と農家の二足のわらじという私の将来設計が本気で現実味を帯びて来たかも知れませんね?



 作業が終わっても、まだお昼前だったので、私はしばらく子供たちと遊んであげることにします。 はーい、皆さん! お姉ちゃんと遊びましょうねー!


 私がキレッキレのモンキーダンスをして見せていると、1人のイタズラっ子が私の髪を引っ張りました。

 んー、男の子って、なんで女の子の髪を引っ張りたがるんでしょうねー?

 ……よろしい、ならばイタズラにはイタズラで返してあげましょう。


 私は、その男の子が髪を引っ張った分だけニョロッと髪を伸ばしました。

 男の子は驚いた顔をした後で、ムキになって更にグイグイ髪を引っ張ります。

 私も、グイグイ引っ張られる度にニョロニョロ伸ばします。

 ふっふっふっ、少年よ! いつまで気力が持ちますか!?



 その時、若頭さんがイタズラ少年にゴツンとゲンコツ落として止めました。


 私は、コレはコレで楽しんでいたので、ゲンコツまでしなくてもいいと思いましたが、考えたら私以外の女の子の髪を引っ張ったらダメなので、悪いことは悪いと教えておくのは正しいのかも知れませんね。

 そう考えたら若頭さんって、以外にしっかりと保護者をやっていますね。


 若頭さんがイタズラ少年に何かを言うと、少年は私に、深く頭を下げました。

 おお、謝るべき時にはしっかりと謝るとは、素直ですね。 うん、感心感心。


 私は、少年の頭をなでなでしました。 また、遊びましょうねー。



 さて、そろそろご飯の時間です。

 多分、セレブお嬢さんやぺルルちゃんも、そろそろ用事は一区切りしてるでしょうし、ちくわハウスに帰りましょうか。


 ……しかし、このニョロニョロ伸ばした髪をどうしましょう……?

 ちょっと伸ばし過ぎましたかね? 上手く元に戻ってくれないんですよね~。


 うーん、伸ばした部分が大王イカの足みたいになってるじゃなイカ。

 ……まあ、コレをどうするかは、帰りながら考えるでゲソ。




 ……結局この髪をどうするか、決まらないままちくわハウスに到着しちゃいました。


 いや、元に戻らない以上、切っちゃうしかないんですけど、ただ切っちゃうのも勿体ないので、この髪で何かを創ろうかと思って悩んでいたんです。


 成分をイジって、お薬でも創りましょうかねー?

 それとも形や強度をイジる方向で行きましょうか?

 考えていると、セレブお嬢さんが戻ってきました。 商人チームとの会議は終わったみたいですね。 おや? ワイルド商人さんが一緒にいますねー? 会議で決まった内容を2人で煮詰めてる感じでしょうか。


 あっ、ワイルド商人さんを見て、この伸びた髪の使い道を思いつきました。

 ワイルド商人さんには日頃からお世話になってますし、この前、街まで行った時にも色々と気にかけてもらいました。 前々からお礼はしたいと思っていましたし、この髪でお礼の品を創りましょう。


 ……自分の髪の毛を男性にプレゼントするというのは、少々ヤンデレストーカーっぽい気もしますが、まあ、実際は髪ではなくて葉っぱなのでセーフでしょう。



 私はワイルド商人さんのすぐ近くに行きます。 彼は私の髪を見て、『おおぅ!?』って感じのリアクションをしました。 うん。 まあ、そうなりますよね。


 私は長くなった髪を動かして、ワイルド商人さんの右腕に巻き付けます。

 んー、片腕だけではバランス悪いですね。 髪をもう一ヶ所ニョロニョロ伸ばして、左腕にも巻き付けます。

 ……謎の触手にニョロニョロと絡め取られるワイルドなチョイ悪オヤジ……

 うん、少し見た目がアレなので、早めに終わらせましょう。


 私は、巻き付けた髪を頑丈に強化してから切り離しました。

 こんな感じでOKですかね?


 ほら、格闘家が腕に巻く包帯があるじゃないですか。 えっと、バンテージ……でしたっけ? あれをイメージしました。

 ワイルド商人さんは素手で戦うタイプの商人さんですから、手を守るものがあったほうがいいと思ったんですよ。


 ……自分でも『素手で戦うタイプの商人さん』というワードには首を傾げますが、受け取った本人がオモチャをもらった少年みたいにキラキラした目をして喜んでいるみたいですから良いですよね。

 こんな物1つで、今までお世話になった分を返せたとは思いませんが、喜んでもらえて何よりです。


 うん。 喜んでもらえて何より…… なんですけど、少し喜び過ぎじゃないですかね?


 ちくわちゃんやセレブお嬢さんに見せびらかすようにして、ハイテンションで何かを喋っていますし、ついにはその場でシャドーボクシングを始めちゃいました。


 子供のようにはしゃぐチョイ悪オヤジというのは、どうだろう? と思ったんですが…… んー、なんだか見ているうちに、ちょっと可愛く見えて来ましたねー?


 また今度、もう少し凝った物をプレゼントしてみましょうか。

 プレゼントというのは、あげる側も幸せな気分になれるのが良いですよねー。



 私は、そのまましばらくの間、満面の笑みでシャドーボクシングをするワイルド商人さんを、ほっこりした気分で眺めていました。

バンテージは、殴ったときの拳の保護や、手首を固定して負担を軽減する物ですが、モーリンは純粋に攻撃を防ぐ、籠手のような装備品だと思っています。

そして、そのつもりで創ったので、本当に装備品として実戦で使えるような強度になってます。


次の投稿も2日後の予定です。

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