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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
4章ですよ モーリン神殿? いえ、建てなくてもいいですが。
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29話 能力確認からのご当地ゆるキャラ

4章開始です。 

どうもこんにちは、ゆるキャラです。


 現在、私は少々特殊な外見になっております。

 ……まあ、『小学生に見える高校生』からスタートして、『動く木』を経由した後に、『小学生に見える高校生の外見をした動く木』になった私が、今さら少々特殊な外見になったと言っても誰も驚かないかも知れませんけど。


 で、今の私の外見はどんな感じかと言いますと、全長2メートルちょっとの木の幹の真ん中から顔を出して、横から手を出してる状態です。

 着ぐるみと言うか、小学校の学芸会で木の役をやる人と言うか…… まあ、そんな感じです。 ぶっちゃけご当地ゆるキャラですねー。


 今の外見なら、モーリンよりもモリリンと言う名前の方が似合いそうですね。

 このまま村のマスコットキャラクターになってみましょうかね? 意外と天職な気もします。 ……おっと、将来の就職の話も大切ですが、今は私がこんな状態になっている理由の説明が先でしょうね。


 私が使えるようになった特殊能力を、人間っぽい姿になってから変わり無く使えるか試してなかったので、色々確認しようかと思ったんですよ。 どの能力を使うと、どれくらい消耗するかという検証も必要でしたし。 で、それでですね……




ーーーーー 1時間ほど前 




 ふむふむ。 F P S (不思議パワーサーチ)は、特に性能に変化は無さげですねー? では次は視界を動かしましょうか。 まあ、動かすのはいつもやってるんですけども、距離がどこまで届くかは試してませんでしたので。

 では、上へ参りまーす。 ……ふむふむ、普通に高い位置まで飛ばせますねー。


 「s8oF2pモーリン!?」

 「ちょっと!? どうしたの!?」


 おや? 二人の焦る声が聞こえました。 どうかしましたか?


 私が上空から地上を見下ろすと、ちんちくりんな人影が倒れていました。

 どこかで見た事がある人ですね~? と思ったら、あっ、これ私ですね。

 これ以上ちくわちゃんとぺルルちゃんを心配させたくはないので、とりあえずそこで寝ているちんちくりんに意識を戻して起き上がりました。


 なるほど。 考えてみれば当たり前ですが、木の姿なら問題ありませんけど、人間の骨格だと意識が無くなると倒れちゃいますよね。


 ですけど、この能力は、感覚としては幽体離脱っぽいとはいえ、本当に魂が抜けてるわけでは無いと思うので、頑張れば体に少しだけ意識を残しておくとか、そういう微調整もできると思うんですけど……

 でも、失敗する度に倒れてたら二人を心配させてしまうので、遠くに視界を遠くに飛ばすのは控えておきましょうか。


 んー、ですけど、この能力で視界を飛ばせるのは、自分の身長分の距離くらいまでだと思っていたんですけど、今、普通にもっと行きましたよね? 恐らく5メートルくらいは行きましたよ。


 この姿になっても、木の時の身長まで行けるんですかね? それとも能力自体がパワーアップしましたか? まあ、どちらにしても遠くに視界を飛ばすと体の方が倒れてしまうというのは、使いにくい能力になっちゃった気もします。

 それでも、目線を動かさずに360度、好きな方向が見れるだけでも便利ですが。


 で、消耗具合は……っと。

 うん。 ほとんど疲れてません。 では、つぎは別の能力を試しましょうか。




 次は花や実を創ってみましたが……うむむ、これは、使えることは使えるんですけど、ビジュアル的にどうなんでしょうか?


 頭に花が咲きました。 これは、まあ、上手く咲かせれば花冠みたいな感じになって、悪くは無いです。 ですが、髪の毛の中に実が成るのはどうなんでしょうか?

 いえ、そもそも、人の形をしたものに実が成る時点で、気持ちの良いものにはならないですよね。 とりあえずサクランボを創ってみたんですが、果物が好きなぺルルちゃんも、ちょっと微妙な顔をしてます。


 ちくわちゃんにあげたら普通に喜んで食べてましたけど。


 うーん、今回は、少し疲労がありますね。 まだ倒れるほどじゃありませんが。

 木の時は、村の皆さんの分を作っても、それほど疲れなかった事を考えると、やっぱり私の燃費が悪くなってるのは確定ですね。 

 しかし、コンパクトサイズになって燃費が悪化って、もし私が自動車なら、欠陥品にも程がありますね……。


 いつも通り切り株に腰掛けて休憩している私に、ぺルルちゃんが言いました。


 「やっぱり人の姿になると、魔力の消耗が大きくなったみたいね。 木の姿と人の姿を使い分けできたらいいんだけど、そう都合良くは行かないし……」


 使い分け……ですか。 そう言えば、試してませんでしたね? ちょっとやってみましょうか。 おっと、その前に服を脱がないと、木への変身が成功した場合、服が破れちゃいますね。 ちくわちゃんから借りた服を破るわけには行きません。


 最近、ちくわハウス周辺が観光スポットになっているのか、外のお客さんが多いですし、ここで脱ぐのはやめましょう。 うむむ……。 あ、川の一画に女性が水浴びするのに使っている場所があります。 あそこなら、暗黙の了解として男性は来ないはずです。 あそこに行きましょう。



 川に到着して服を脱ぎ始めると、ちくわちゃんが手伝ってくれました。

 別に服を脱いだり着たりに不便は無いんですけど、なぜかちくわちゃんは、いつも私の着替えを手伝ってくれるんですよねー。


 ちくわちゃんは他人のお手伝いをするのが好きなんでしょうか? やはり世話好きで優しい性格なんですね。 ……おや? ぺルルちゃん、なにか言いたそうな顔をしてますね? え、何でもないですか? まあ、それなら良いんですが。


 さて、これで服が破れる心配もありませんし、木に戻れるか試してみましょう。


 マジカル☆ コミカル☆ トロピカル!

 ラスカル☆ オスカル☆ キットミツカル!

 へんし~ん! ナウでヤングな樹木さんにな~れ♪   ……ソイヤ!


 ノリで適当に呪文を唱えながら、変身していく私の体。

 ……当然、あんな呪文で変身魔法が発動するわけでもないので、自力で体を少しずつ変形させて行きます。

 ……ちくわちゃんは涙目ですし、ぺルルちゃんは真顔でドン引きしてます。


 いや~、これは二人に見せたのは間違いだったかも知れませんねー……。


 人の姿から、うにょうにょとリアルタイムで木に変わって行くのは、中々にショッキングな映像です。 やってみて自分でもちょっと引きました。

 なんか、100%中の100%まで筋肉を操るあの人のお兄さんを思い出させる変身シーンですね~……って!?

 ほわあっ!? ちょっとストップです! なんか今、頭の中で私の本能が、

『嬢ちゃん、これ以上やったら引き返せないぜ?』って呟きましたよ!?


 私の、こういうイヤ~な予感はアタリます!

 具体的に言うと、2日間常温で放置した生ガキくらいアタリます!


 ……ここでやめましょう。 多分、完全に木になったら、もう人の姿に戻れないっぽいです。




 ……と言うことで途中でストップした結果が、この、ご当地ゆるキャラ的な姿です。


 ですが、この姿は意外に便利かも知れませんね?

 木の時ほどではありませんけど、疲労が回復している感覚がありますし、ちょっとですけど根っこも広がってるので、視界を遠くに飛ばしても体が倒れない程度に安定感があります。 手も、人間の手なので、物を持ったりもできますし。

 今の外見なら果物をぶら下げていてもコミカルな印象が先に来て、あまり不気味には見えないと思います。


 何より、涙目だったちくわちゃんがほっこりした笑顔で抱きついて来てくれるのがいいですね。 今の外見は、ちくわちゃんの好みに合ったようです。

 ぺルルちゃんはどう思ってるでしょうか?


 ぺルル・ニアウ?・ワタシ・イケテル?


 「イケてるかどうかは置いといて、似合うかどうかって言うなら、凄く似合うわ。 ……でも、その姿が似合うって言われて嬉しいかしら?」


 実は結構嬉しいです。


 ……んー、でも、便利と思ったこの姿も、根っこが土の中まで広がってるので歩けないという所は木の時と同じですね。 この場所で暮らすつもりは無いので、一度人の姿に戻って移動しましょう。


 あ、そう言えば、ここって一応脱衣場みたいは扱いなんですよね。 なら尚更の事、早めに違う場所に移動した方がいいですね。 脱衣場にゆるキャラがいるって言うのも意味不明ですし、知らずに水浴びに来た人を驚かせてしまいそうです。


 その時、カランと何かを落としたような音が聞こえたので、そちらを確認してみると、村の女の子が、目を丸くしていました。 落とした物は……手桶(ておけ)ですね。 水浴びに来たんですか?


 あ~……言ってる側から、水浴びに来た人を驚かせちゃいましたね。

 うむむ…… フリのつもりではなかったんですけど。 すみません。

 私は急いで人の姿に戻って、そそくさと退散しました。



 うん。 最後に女の子を驚かせてしまったのは申し訳なかったですけど、私は新しい変身形態を手に入れた事にちょっと満足気な気分でした。


 やっぱり変身はロマンですよねー。

前回の後書きで、毎日投稿を止めるかもしれないと書きましたが、とりあえず明日は投稿します。

それ以降は、自分の執筆のペースと相談して考えます。

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