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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
1章ですよ 誕生して成長して、団体さんが引っ越して来ました。
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2話 ぺったんこからのサプライズ成長期

どうもこんにちは、木です

 ……圧縮されて木から紙に転生するかも知れませんが、今の所まだ木です。


 現在、折れ曲がってぺったんこの私の上には騎士さん、騎士さんの上には馬さん、馬さんの上にはワンちゃんがトッピングされていて、新手のメガ盛りメニューみたいになってます。

 ……盛り付けがワイルド過ぎてインスタ映えはしませんねー。


 この体は想像よりもずっと丈夫みたいですが、それでも上からぺったんこ状態はかなりキツイです。

 前世もある意味ではぺったんこでしたが、ここまで薄っぺらくなるのは初体験ですね。

 うっ……なんか自分から絞り汁が出てる実感があります……これは不味くないですか?


 このままポッキリ逝くのはゴメンなので早めになんとかしたいんですけど、抜け出そうにも自分で動けない植物の体なので抜け出す手段もありません。

 どうしよう? って悩んでる間にも、体の芯が……ミシミシ……言ってる感じが……します。


 はっ!? そうです! ここは魔法のあるファンタジー世界です、今この瞬間に不思議パワーに目覚めて助かるとか、そういうミラクルも起きるかも!

 ……というか起きて下さい!


 魔法でもオーラでも邪眼に宿る闇の術式でもいいので、出てきて下さいぃぃ!!


 もし、人間の体だったら、鼻血とかアレとかソレとか色んなモノが吹き出しちゃう程に気合いを入れると、体の奥が熱くなり、その直後に全身が光りはじめました。


 おおぅ? こっ……この光は何なのでしょうか?

 カッ!! ていう感じの光じゃなくて、きゅいぃぃんっ!! って感じの光だと言えば、子供から大人まで誰にでも伝わりますよね? そんな感じの光り方です。


 こ……これはまさかポッキリ逝く前の最後の輝き?

 いえいえ、そんな縁起でも無いものではない! ……と良いなぁ~。


 私から溢れた光はどんどん大きくなって、辺りを照らして行きます。

 そして遂には明る過ぎて逆に何も見えないくらいになっちゃいました。


 何が起きているのかわかりませんけど、1つだけハッキリしている事があります。


 今、私は、過去最高に輝いています。



 ------



 そして、日が沈み、また日が登り……

 新しい朝が来た、希望の朝だ。


 どうもこんにちは、木です。


 昨日の話……つまり、ぺったんこで気合いを入れて熱くなって、きゅいぃぃんって感じに過去最高に輝いた、その後の話をしましょう。

 ふと気づくと私は大きくなっていて、お腹いっぱいで気分も爽快でした。

 で、私に乗っかった騎士さん、馬さん、ワンちゃんが消えているワケですが……。

 状況を考えると、連想される答えは1つ。


 ……これ、私が養分にしちゃったっポイですね。 ……ゴチになりました。


 突然訪れたサプライズ成長期の結果、今の私は成人男性が登っても大丈夫そうな外見になりました。

 私の体が見た目より頑丈だって事を考えたら、実際には私の上でマッチョの集団が一斉にスクワットをするくらいまでは平気かも知れませんね。

 ……それをやられて精神的に平気かどうかは別の話ですけど。


 あと、実は大きさ以上に気になっている事があります。 成長してから力がモリモリと湧いて来てるんですが、それがまた人間の時に感じた事が無いほどに絶好調!!

 素敵なコンディションに無敵のハイテンション!! って感じなんです。

 今なら自力で歩けそうです! やってみましょう! ムリでした! ……しょぼん……。

(無敵のハイテンション終了のお知らせ)


 う~ん、自立歩行は失敗しましたけど、体に力を入れた時にちょっとだけ動けそうな雰囲気があったんですよね。……なんとか枝だけでも動かせませんかね?


 もっと、こう…気をお腹の奥で練るように……  ……私のお腹ってどこですか?


 ……うん、まあいいです。 なんか適当にノリでやってみましょう。

 枝を人間の腕に見立てるイメージで…… ちぇすとー!


 カサッと音がして、枝が揺れました!


 風が吹いたかな? ってくらいしか揺れませんでしたが、練習初日としてはこれでも十分ですね。

 これから練習していけば上達できそうな手応えはありました。

 今後も枝を振る練習は続けるとして、今は他の事も試してみましょう。


 う~ん……動く他に、早めに出来るようになりたいことは……


 やっぱり声を出すこと……ですかね?

 今はボッチですが、将来的に人間に出会った特にお喋りしたいですし、歌でも歌えれば暇潰しにもなります。

 暇が苦にならない精神になりましたけど、娯楽が有るならそのほうが楽しいですしね。


 さて、それでは声を出す練習です! ……と気合いを入れたんですけど……

 これがまた困った事に、全然出来る気がしません。


 枝を振った時は、枝を人間の腕に見立ててイメージしたんですけど……

 声を出すのに必要な器官は?

 特別に人間の体の仕組みに詳しくない私でも、すぐにパッと思いつくのは、口とか肺とか……あと声帯あたりですよね?

 ですけど、木のどの辺りをどの器官に見立てればいいのかイメージ出来ません……。

 幹のどこかに穴でも開いていれば口のイメージは出来そうですが、今の私は傷ひとつ無い美肌です。 まあ、木の皮を肌と呼ぶかは微妙ですけど。


 うん、苦戦しそうなので声は保留ですね、当面は枝を動かす練習をやりましょう。 あとは……多分この体で出来る事もまだまだありそうなので、色々とチャレンジするのも良いですね。


 まあ時間だけはあるので、ムリ無くマイペースに出来る事を増やしていきましょう。

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