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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
1章ですよ 誕生して成長して、団体さんが引っ越して来ました。
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1話 平穏なスタートからの全米ナンバーワン

本編スタートです。

どうもこんにちは、木です。


 記念すべき転生初日です。 目覚めると綺麗な丘に生えてました。

 周りに人が住んでいる気配は無く、それでいて秘境と言うほど草ボーボーでもない感じで、個人的には好みな景色ですね、ここが新しい私の故郷ですか~。

 うん、なかなか気に入りました。


 しかし不思議なものですね~、今の私は木ですから目玉は無いんですが、何故か周りが見えてます。

 ほら、よくゲームでカメラアングルをグリグリと動かせるモードとかありますよね? あんな感じで辺りを見回せます。

 なんかちょっと面白かったのであっちへグリグリこっちへグリグリと見回していると……


 おや? 見下ろし視点に切り替わって、1本の細い木が見えました。

 ……多分これが私ですよね? 自分を上から見るって不思議な気分です。

 う~ん、それにしても我ながら細くて弱々しい貧弱ボディですね。

 木と言うより1本の枝みたいです。 まあ、生まれたばかりなので細いのは仕方ありませんけど、何かあったらポキッと逝きそうなのは怖いですね。

 でもって、そんな弱々しい私のそばで山羊さんが草をモシャモシャしてるんですが、これは私までモシャモシャするつもりじゃないですよね?

 ……う、こっち見た。


 結局このあと何回か山羊さんにモシャモシャされちゃいましたが平気でした。

 どうやら私は見た目より頑丈だったみたいですね。

 山羊さんも私が食べものじゃないと気づいたのか、

 『オマエなんやねん、ホンマ感じ悪いわ~』

 ……みたいな感じの顔をしながら去っていきました。


 転生2日目です。

 特にこれと言った事の無い1日でしたが、たまに地球で見た事の無い鳥や動物を見かけました。

 珍しくてちょっとワクワクしますね、でも、まだファンタジー世界に来た実感は薄いです。 (自分が木になっているのはファンタジーですけど、それは置いておきます)


 転生3日目です。

 朝から今日は雨が降っていますが、それで1つ発見がありました。 木の体で雨に当たるのは気持ちが良いという事です。

 ……違いますよ? ウッフンな感じで気持ち良いんじゃなくて、疲れた後に入るお風呂的な気持ち良さですからね?


 あ、発見と言えばあと1つありました。 今の私は暇が苦にならないみたいです。

 動けない、喋れない、眠れない、の三拍子ですから人間の時だったら耐えられなかったでしょうけど、今はただボーっとしている時間も結構心地良いです。

 そう言えばイケメン妖精さんが、転生後の体に魂が適応するから精神に負担は無いって言ってましたね、なるほど、実感できました。


 転生4日目です。

 天気が良いですねー。 お日様とそよ風が気持ち良くて素敵な日ですけど、今日もあまりファンタジーな感じはしませんね。

 何も無い日も悪くないんですけど、そろそろ派手なファンタジーイベントが見てみたいですね~、なんて思ってみたり。

 ……後で思えば、これがフラグでした。



 ------


 「グルルルゥ……!!」

 「……!!……」

 え~っと…… 転生5日目です。 ……突然ですが、選手の入場です。


 赤コーナー、でっかいワンちゃんです。


 首が3つあって火を吹くファンキーな子です。 ……ゲームとかマンガとかで地獄の番犬をしている有名なあの子に似ているのは気のせいでしょうか?


 青コーナー、ホラーな騎士さんです。

 立派な鎧を着て馬に乗る姿はとても格好いいんですが、騎士さんも馬さんも首から上がありません。 ……とても斬新なペアルックですね~。

 この騎士さんもゲームとかで有名なあの人じゃありませんか?


 こんなファンタジー界のVIP 二組が共演してストリートファイトをしてるんですが……貴方たち、こんな穏やかな丘に居ていい方々じゃないですよね?

 なんと言うか……魔王城みたいな場所にいた方が似合うと思いますよ?


 今もファンタジー感満載で迫力満点な戦闘シーンは続いています。 手に汗握る大迫力で全米ナンバーワンも狙える大スペクタクル!!

 で……ですが、なにも私のそばで戦わなくても良いでしょう!?


 ちょっとワンちゃん! 大サービスとばかりに火を吹きまくるのは止めてください!! 私の表面が程好く炙られてパリッと香ばしくなってきましたよ!?

 まさに直火焙煎!!


 騎士さんも剣を振る時は周囲の安全確認をお願いします! さっきから剣がっ!  剣が! てっ……ああー!? 私の葉っぱが!? ハゲる! ハゲちゃいますってば!


 幸いこの体は熱さや痛みに強いみたいで、耐えられないほどの苦痛では無いんですが、流石に丸焼きや真っ二つになったらアウトでしょう。


 ストップです! 戦いでは何も解決しない……事もありませんが、リスクとリターンを考えると効率が悪いから、まずは出来るだけ他の手段を模索するべきである! って、

 駄菓子屋のトメ婆ちゃん(97歳)も言ってましたよ?

 などと少々パニック気味になっているうちに、ワンちゃんのパンチ、略してワンパンチが直撃して、騎士さんのお腹に穴が開きました。


 衝撃映像につき閲覧注意!? って思いましたが、騎士さんの傷口からは黒いモヤモヤが出ているだけで、ホルモン的な物がコンニチワって事態は避けられたようで一安心。

 っと思ったら…… ブベらっ!?


 吹っ飛んできた騎士さんの体が私の上にパイルダーオン!!


 重いっ……ですが、フニャッと曲がるくらい細い若木で逆に良かったかもしれません。

 半端に太く育った木なら激突した瞬間にポッキリ逝ってたと思いますね~、なんて考えている所に……ハベらっ!?


 さらに馬さんがパイルダーオン!!


 なんと!? 隙を生じぬ二段構えでしたか!?

 ふぬぬ……あのワンちゃん、狙って私の所に相手を飛ばしてませんか?


 戦いに勝ったワンちゃんは勝利の雄叫びを…… あれ? なんだかちょっと弱々しい雄叫びですね?

 どうやら互角の戦いだったようですね、勝ったワンちゃんもボロボロみたいです。

 ワンちゃんはフラフラした足取りで騎士さんの体の方に向かって行きます。


 ん? 騎士さんの体は私の上にあるワケで、騎士さんの方に向かうということは当然……

 わぁ! 近いっ……ワンちゃん近いです!


 鼻息が掛かるほど私の近くに来たワンちゃんは、「グルゥ……」と一声だけ発すると、力尽きて倒れました。

 ……私の上に。  ……むぎゅうぅ……。

少しストックに余裕ができたので、あと何日かは毎日投稿を続けられそうです。

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