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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
2章ですよ 嬉し恥ずかし同棲生活です。
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10話 妖精ガール登場からのHAHAHA!!

新レギュラー登場です。

どうもこんにちは、木です。


 今の時刻は午前、えーと……何時かはわかりませんけど、早朝です。

 ちくわちゃんも動いている気配がないので、寝ているのでしょう。


 さて、今日は少し妖精さんについて語りましょうか。


 私の転生の切っ掛けになった妖精さんは2人ですね。

 パジャマ姿で踊っていた、トンボの羽が生えた幼稚園児くらいの妖精さんと、貴族っぽい服を着て、蝶の羽が生えた二十歳くらいのイケメン妖精さんの2人です。


 他には、羽は生えていませんけどコロポックルも妖精さんの仲間ですね。

 キノコの家でヘイヘイホーって言ってる7人組の小人も妖精さんの親戚でしょう。

 あれ? ヘイヘイホー……でしたっけ? 何か混ざってます? まあいいです。

 他にも妖怪と言われているものの中にも、妖精さんの親戚っぽい方々がいますし、妖精さんというのは、以外と種類が多いですよね。


 でも、妖精さんと言われて最初にパッと頭に浮かびそうなイメージと言えば、蝶の羽が生えていて、ドレス姿で元気で好奇心が強そうな十代前半くらいの可愛い女の子……と言うのがオーソドックスなイメージでしょうかね? え? なんで急に妖精さんの話を始めたか、ですか?


 それは今現在、そのオーソドックスタイプの妖精さんが目の前にいるからです。


 「もう! 貴方が日本出身なのは知っているのよ? せっかく日本語で話しかけてるんだから返事くらいしなさいよ!」


 うん、久しぶりに日本語が聞けたのは嬉しいですし、お話しをしたい気はあるんですけど…… ほら、私は木ですから声が出せないんですってば。


 「なに? もしかして寝てるの? おーい! 起っきろー!」


 私をぺちぺちと叩く妖精さん。 だから、声が出せないんですってば…… あ、そう言えば、イケメン妖精さんはテレパシー的な能力で会話できましたよね?

 この子はできないんですかね? ちょっと意識して語りかけてみましょう。


 せっかくなので、普段の私よりもフレンドリーな感じで挨拶しましょうか。



 はぁ~い♪ そこの妖精ガール? 声をかけてくれてサンキューでーす☆

 でもでも~、大事な事を忘れてないかーい? 私ってば、こう見えても木なのだー!

 ほら、木って喋れないじゃなーい? それを忘れちゃ…… 駄・目・だ・ゾ☆ 



 ……こんな感じでどうでしょうか?


 妖精さんは地面に落下して、頭を抱えて悶えていました。 おや? いったい何が?


 改めてもう一度……   はぁ~い♪ そこの……


 「やめてぇ! ちょっと! 念話を止めて! お願い!」


 ……理由は不明ですけど、マジな感じで苦しんでるので止めましょう。


 少しして、起き上がった妖精さんは、パタパタと私の正面に飛んで来て言いました。


 「まず、貴方に最初に言っておく事があるわ」


 そう言って、ビシッ! と私を指さす妖精さん。


 「貴方の心の声…… 大きすぎるわ。 物理的に衝撃を感じるくらいのボリュームよ? 地球人にわかりやすく例えると、音楽プレイヤーの最大音量よりずっと大きいくらいよ。 しかもヘッドフォンで聴かされると想像して?」


 な、なるほど、それは隣人からクレームどころか、全力で生卵を投げつけられるレベルの騒音ですね。 でも、声が大きいと言われたのは初めてですね。

 そもそも前世でもあんまり喋ってませんでしたし。


 「多分、色々と疑問があると思うから1つずつ教えるわ。 まず、私はぺルルよ。 大妖精ディアモン様の命令で、貴方をサポートしに来たわ」


 ぺルルちゃんですか。 それで、ディアえもんって誰でしたっけ? 大妖精…… あ、イケメン妖精さんの事ですか。

 一度名前を聞いたのに忘れてましたね。 ディアえもん、でしたか。

 いい名前ですね。  うん、覚えましたよ。


 「聴く側でも調整できる人はいるんだけど、私はできないから悪いけどそっちで念話の音量調節を覚えてくれるかな? 会話できないと不便だしさ」


 うむむ、念話とやらもよくわかってないのに音量調節と言われましても……


 「あ~、元・地球人なら、そもそも念話について詳しくないかな? 大まかに説明するね」


 そう言ってビシッ! と私を指さすぺルルちゃん。 お気に入りのポーズなのでしょうか?


 「本来念話は精神系の魔法なんだけど、妖精はその魔法抜きでも使えるくらいに念話が得意なの、だから貴方が念話を使えなくても、心で語りかけてくれれば私の方から受信するわ」


 なるほど、語りかければ受信する……という事は、逆に言えば今みたいに特定の誰かに向けていない心の声は受信できないんですね。


 「で、念話っていうのは、言葉に込める気持ちの強さが音量の大きさに比例するし、雑念が多いほどノイズが混じるんだけど……」


 ぺルルちゃんは、そこで言葉を切って、ジロッと私を睨みます。


 「貴方の場合、音量もノイズもすごかったわ。 なに? 1つ1つの言葉に強い気持ちを込めてるのに、全体的に雑念だらけって事かしら? ……どういう精神構造よ?」


 はい。 当店では言葉、1つ1つに真心を込めております。 雑念が多い?

 え? すでに自分でもどこまでが雑念なのか判別できていませんがなにか?


 「音量を小さくするには、簡潔な言葉で淡々と語るようにすると良いわ」


 簡潔に淡々と……ですか、ちょっとやってみますか。


 ワタシ・ココロ・ハナス・シテル・ぺルル・キキトル・スル・デキル・OK?


 「うっ! その話し方は絶対に間違っている! ……なのに、ちゃんと音量調節できているのが腹立つわ!」


 コレデ・カイワ・フベン・ナッシング・ジジョウ・ハナス・スル・ヨロシ。


「……なんか微妙に腹立つけど、わかったわよ。 えーと……」



 ぺルルちゃんの来た経緯はこうでした。


 ディアえもんが秘密道具で私の様子を確認。 短期間で育っててびっくり。

           ↓

 何かあったか聞き出さないと。(理由A)


 私がヤシの実を投げて魔物を倒しててびっくり。

           ↓

 好き勝手させると何するかわからん! 見張りをつけよう。(理由B)

 と言う2つの理由からぺルルちゃんが派遣されて来たようです。

 それだけ聞くと一方的にディアえもん側の事情ですけど、ちゃんと私のサポートもしてくれるので、私の得にもなるそうですよ。


 どうしても嫌なら追い返しても文句は言わないそうですけど、私はぺルルちゃんを受け入れようと思います。

 もちろんディアえもんは大人の事情で動いていて、純粋な善意で助けてくれる訳じゃないのは理解してますけど、ぺルルちゃんが可愛いからOKです。

 可愛い子と友達になるチャンスは多いほうがいいですよね?


 ……あ、誤解しないでくださいね? 私は可愛い子は大好きですけど、恋愛対象として見るなら異性の方がいいですからね?


 さて、ぺルルちゃんに歓迎の意思を伝えましょう。


 カワイイ・ダイスキ・ぺルル・カワイイ・オレサマ・オマエ・マルカジリ。

 ヒトツニナル・ウレシイ・ ……イタダキマス!


 「ひっ!?」


 あれれ? なんかメッチャ怖がってます? 言葉選びを間違えましたかね?

 食べちゃいたいほど可愛いぺルルちゃんと一緒にいれたら嬉しいので、喜んで受け入れます…… って感じで言いたかったんですけど。


 その後なんとか誤解は解けて、これからよろしくお願いしますね、って話になりました。 まあ、スムーズに話せないので実際は、

 コンゴトモ・ヨロシク。 って感じの挨拶になりましたけどね。


 あ、ぺルルちゃんとお話しているうちに、ちくわちゃんも目を覚ましたようです。

 窓を開けて、私の方に笑顔で手を振ってくれました。


 私が枝を振り返すと、ぴょんぴょん跳ねて喜んでくれます。 うん、可愛い。


 ……あっ! そう言えばぺルルちゃんに間に入って通訳してもらえば、ちくわちゃんと会話ができるじゃないですか! ちょっとぺルルちゃんにお願いしてみましょう。


 アノコ・チクワ・アノコ・ハナス・ツウヤク・ぺルル・タノム・OK?


 「なんであの子をちくわと呼ぶかは理解できないけど、私に通訳をしろって言ってるのは伝わったわ。 でも、悪いけどそれはムリね」


 マジスカ? ツウヤク・ムリ・is・ナンデヤネン。


 「……私は妖精語と日本語しか話せないのよ。 この世界の言葉は解らないわ。 言葉を知らないまま念話しても、伝わった言葉が理解できないから意味ないわよ」



 うん……別にぺルルちゃんは悪くありません。

 だから彼女を責めるつもりもありません。


 ……ですが、なかなかのガッカリ感ですねー。 前世で例えると、


 言葉の通じない外国を1人で旅行していると、日本大使館が、親切にガイドを派遣してくれました。

 でも、そのガイドも現地の言葉が喋れませんでした。  HAHAHA!!

 みたいなオチですからね。


 責任があるとすれば、派遣したディアえもんの責任でしょうけど、言葉が解らない人の手助けに、言葉が解らない人を派遣するというのはキツ目のギャグだと個人的には思えば許せる範囲です。

 むしろ結構オイシイです。


 私の中でディアえもんの好感度が少し上がりました。


 というわけで、意外とお茶目なディアえもんの計らいで、愉快な仲間が増えました。 うんうん、良いですね、賑やかなのは大好きです。


   ♪ 友達百人でっきるっかな?♪


 ちくわハウスから駆け出して、そのまま私に飛びつくちくわちゃんと、

 『今度は貴方の今までの事も話してよ』 と言って、私をビシッ! と指さすぺルルちゃんを見ながら、私は頭の中で機嫌良く、幼稚園で習ったうろ覚えの歌を歌っていました。

当然ディアモンはギャグとしてぺルルを派遣したわけでありません。

この世界と日本の両方の言葉が話せて、それでいて身軽に動ける立場の妖精がいなかったので、とりあえず日本語だけでも話せて、それなりにしっかり者なぺルルが選ばれました。 

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