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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
番外編&後日談ですよ まだやりたい事がありますから。
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後日談 2話 アンテナ設置からのダルマさんが転んだ

時系列としては、前話までの稲穂ちゃんの話の少し前の話です。

どうもこんにちは、ちびモーリン・フューチャリング・キノコです。


 なにがフューチャリング・キノコかと言いますと……頭にキノコが生えたんですよ。

 いやー、頭にキノコって生えるものなんですねー、驚きました。

 ……あ、別に不潔にしてた訳ではありませんよ? ちゃんと水浴びはしていますし、そもそもこの体は皮脂汚れとか垢とかは出ないのであまり汚れませんし。


 ではこのキノコは何なのか? と言うとですねー……。




 ーーーー 1時間ほど前。



 今日は天気が良いですねー。 光合成日和(びより)です。

 んー、まだちくわちゃんは寝ているようですし、植物らしく本当に光合成をしちゃいましょうかね。


 二酸化炭素を吸いまーす! そして酸素を吐きまーす。

 はい、吸って~、吐いて~、吸って~、吐いて~……あれ、今、吐いたのは酸素と二酸化炭素のどちらでしたっけ?


 んー、まあ何となくやってただけですし、どっちでもいいですかねー。

 ……おや? 今、空で何かがピカッと光りましたね? あれは~……


 「リン、来たわよー! 久しぶりね!」


 おお! ぺルルちゃんです! お久しぶりですねー! 近々出世すると決まったので、そのための勉強が忙しいって話で、最近あんまり会えていなかったんですよねー。



 ぺルルちゃんは、ぴゅーっと飛んでくると、ガバチョ! っと私に抱きつきました。

 

 ぺルルちゃんはちくわちゃんと比べるとスキンシップに積極的なタイプでは無かったはずなのですけど、私がちっちゃくなってからはスキンシップが増えましたね。

 んー、やはり、同じくらいの身長の方が抱きつきやすいのかもしれませんねー。 まあ私もスキンシップは嫌いではありませんからウェルカムですけどねー。

 ということで、ソイヤー!


 私もぺルルちゃんを抱き締め返します。

 せっかくなので、そのまま横にクルクルと回転してみました。 


 「きゃーっ!」


 ぺルルちゃんは悲鳴のような声を上げていますが、顔は笑っているので嫌がっては無さそうです。

 うん、確かに同じくらいの身長だとスキンシップはしやすいですね。 以前の身長差だとお互いに抱き締め合うことはできませんでしたし。

 ……ですが、ぺルルちゃんとスキンシップしやすくなった代わりに、ちくわちゃんとは身長差ができてしまって、ちくわちゃんを抱っこできなくなっちゃったのが寂しいですねー。



  「ちょ……、ちょっと。 そろそろ止まってくれる? なんだか目が回ってきたわ……」


 おっと、回り過ぎましたね、ストップ、ストップ。

  


 

 

 「モグモグ……。 久しぶりに会えたんだし、本当はこのまま一緒に遊んだりしたいんだけど、今日はオベロン様からお使いを頼まれて来たのよ。……モグモグ」


 そう言ってポーチからお守り袋のような物を取り出すぺルルちゃん。

 ちなみにモグモグしてるのは私があげた髪の毛……というか、葉っぱです。

 目が回っちゃったようでしたので、スッキリすればいいかな~、っと思って葉っぱをミント味にしてプレゼントしてみました。


 体がちっちゃくなってからは、果物は作れなくなっちゃったんですけど、今でも葉っぱの味や成分を変えるくらいはできるんですよ。

 

 葉っぱを2~3枚食べ終えたぺルルちゃんは、さっきのお守り袋みたいなものを私に手渡してくれました。

 

 「オベロン様が言うには、地球ではリンの存在した事実が薄れてきているから、完全にリンがいなかったことになる前に、リンと地球を繋ぎ直す必要があるみたい。

 そのためにコレが必要なんですって」



 なんと! あー……日本で私の存在が薄れちゃってましたかー……。

 やはり姿を見なくなると忘れられてしまうのは若手芸人の運命なんですかねー?

 いなかったことになる前に繋ぎ直す……というのは、つまりゴールデンの仕事が無くなった芸人が完全に視聴者から忘れられる前に、ローカルの旅番組とか地方営業とかで頑張ります! ……みたいな感じですかね?


 ぺルル・ワタシ・ガンバル・メザセ・ゴールデン・レギュラーシュツエン!



 「は? レギュラー出演? ……リン、アンタまた微妙に変な解釈をしてない?

 ……まあ、リンが変なのはいつもの事だからそれはいいわ。

 とにかく、その袋にキノコの胞子が入っているから、どこか栄養豊富な土の上にふりかけてから、それに魔力を与えてくれれば育つわ。

 そのキノコが、ここと地球と繋ぐアンテナになるはずよ」



 ふむふむ、栄養豊富な土ですか……ちくわハウス周辺の土は良い土が多いので問題なさそうですね。

 それでは……腕を高く上げて、オシャレな料理人が塩をふるみたいにやってみましょうか。 たしか、あれってムラ無く全体に広がるとかそういう意味があるんでしたよね?

 それでは高い位置からパラパラ~……からの魔力注入~!


 「ちょっ! ちょっとリン! なんでそんな高い位置からふりかけてるのよ! めちゃめちゃ自分の頭にかかってるわよ!? 一回ストップよ!」


 ……え? ストップと言われても、もう魔力注入しちゃったんですが……まずかったですかね?

 胞子をふりかけた辺りを見てみると……あー、生えてませんねー。 ……もしかして失敗しちゃいましたか? ごめんなさい、今の無しって事になりませんか?



 「リン!? たっ……大変よ! キノコが生えてるわ!」


 おや? ぺルルちゃんが大騒ぎしてますね。

 キノコが生えてるならOKじゃないんですか? んー、でもキノコなんて生えてますかねー? 私には見えないんですが……

 ハッ! まさかバカには見えないキノコですか!? でしたら、残念ながら私には見えなくても仕方ないかもしれません……。


 「地面じゃないわよ、自分の頭を見てみなさい。 はぁ……やっぱり頭に胞子がかかってたんじゃないのよ! あー、もう! あんな変なふりかけ方をするから……」


 はて? 自分ですか? どれどれ、視点を動かして自分を見てみましょうか。

 うん、いつもの無表情……ほわぁ!? 頭のてっぺんにカラフルなキノコが!?


 ここと地球を繋ぐアンテナになる……とかいう話でしたが、本当にパラボラアンテナみたいになっちゃいましたねー。 なにかビビっと受信できそうです。

 ……衛星放送とか見れますかね?


 ぺルル・キノコ・アンテナ・ニアウ? ニアワナイ? ドッチヤネン。



 「いや、似合うか似合わないかで言えば、凄く似合うわよ。 アホの子っぽさに更に磨きがかった感じでバカ可愛いけど、そういう問題じゃないでしょ?

 体は大丈夫? 危険な物では無いはずだけど…… 気分が悪くなったりしてない?」


 んー、体調はいつもと変わらないですねー。

 ですが、これってもしかして私から養分を吸っていたりしますか? だとしたらマズイですかね? 背とか胸とか、これ以上縮んだら流石に笑えない気がします。

 まあ私はもともと無表情なので外見的には笑ってないんですが。


 ……あっ、ですが心の中ではいつもニコニコですよ?



 「……見た感じ、平気そう……かしら? うーん、無表情だし、いつもおかしな行動をしてるから分かりにくいけど、とりあえず今は具合悪く無いのよね? ならちょっとオベロン様に聞いてくるから待っててね。

 ディアモン様でも分かると思うけど、オベロン様はそれをくれた本人だから確実に分かるでしょうし」


 そう言ってぺルルちゃんはピカッと光って転移してしまいました。

 あの……『いつもおかしな行動をしてる』という言葉が気になったんですが、どの行動の事でしょうか? ちょっとそこ詳しく!



 私が自分が過去にした『おかしな行動』とやらの心当たりを思い返していると、パタパタという足音が聞こえて来ました。

 あ、ちくわちゃんが起きたようですね。 おはようございます。


 笑顔で駆け寄って来たちくわちゃんですが、近くで私を見て、愕然としたような表情でピタリと動きを止めました。 おや?

 あっ、なるほど! 『ダルマさんが転んだ』ですね? 懐かしいですねー。

 では、お付き合いしましょうか。 後ろを向いて、ダ~ルマさんが~こ~ろん……


 「モーリンgU7xる#@1yEー!!」


 だー!? 突然ちくわちゃんが私を抱え上げてそのまま走りだしました!

 こ……この世界の『ダルマが転んだ』はアグレッシブですねー!?


 そして魔法で水を出すと、その水で私をじゃぶじゃぶと洗……ガバゴボゲベ……

 あの、ちくわちゃん? 違いますよ? このキノコは別に不潔にしてて生えた訳ではありません。

 それに、仮に不潔にしてて生えたんだとしても、キノコが生えてから水洗いしてもあまり意味が無いと思いますよ?


 あっ、キノコを引っ張らないでください! 取れちゃいますよ? キノコじゃなくて私の頭がスポンと取れちゃいますってば。

 私はアンパンのヒーローをリスペクトしていますが、頭が簡単に取れちゃうところまで真似しようとは思っていませんし、私には新しい頭を配達してくれるパン屋さんの知り合いもいないので、できればあまり引っ張らないでくれると助かるんですが……。



 洗っても引っ張ってもキノコが取れない事で、ちくわちゃんもこれが普通のキノコじゃない事に気づいたようで、何かを訊ねるように私の顔を覗き込みました。

 ……まあ訊ねられても答えようが無いので、とりあえず悪影響は無いですよー、私は元気ですよー、というアピールのつもりでワサワサしてみましょう。

 ワッサワサ。


 私のいつも通りのワサワサぶりを見てちくわちゃんも安心したのか、そのあとはキノコを引っ張ったりはしませんでした。

 ……たまに、指先でちょこんとつっついてきたりしますけど。


 で、その後に顔を出したセレブお嬢さんも最初はビックリしていましたが、ちくわちゃんが何かを言ったら、心配そうな顔をしながらも一応は落ち着いてくれました。


 ……っと、まあこの辺りで冒頭に戻ります。





 キノコが生えてからしばらく時間が経ちましたが、特に具合が悪くなったりはしていません。 どうやら体に悪影響は無さそうですね。

 んー、ですがやはり頭の上に生えているのは少し邪魔くさいですねー? ぺルルちゃんが対処方法を調べて帰ってきてくれると嬉しいのですが……。


 そんな事を考えていると、空にピカッと光るものが…… おお! ぺルルちゃんです!

 ぺルルちゃんの事を考えている時に帰ってくるとはタイムリーなお帰りですねー。



 「ただいま! オベロン様に聞いてきたわよ! リンの頭にキノコが生えた瞬間を見てたみたいで、大笑いしていたわよ」


 ふむふむ、大笑いですかー。 ちょっと邪魔くさく感じ始めてましたが、コレで笑いが取れたなら結果オーライです。

 被り物系のネタをやったと思えば成功と言えますかね?


 「とりあえずその状態でもアンテナとしての効果は出てるらしいから、その点は問題ないらしいし、体に害も無いから安心して。

 このままもうしばらくの間リンの魔力を地球に送って、役目を果たせば勝手に取れるらしいわ」


 ああ、取れるんですね、安心しました。

 私はキノコは嫌いではありませんが、だからといって24時間フルタイムで頭から生やしていたいと思うほどキノコを強く愛しているわけではありません。

 それになにより、ちくわちゃんやセレブお嬢さんをこれ以上心配させるのは避けたいので、取れるならそのほうが良いですね。


 それで、いつ頃取れるんでしょうかね? ちょっと訊いてみましょうか。

 流石に24時間はかからないと思いますが。


 ぺルル・イツマデ・キノコ・ハエトルネン?

 


 「うっ……そ、その事だけど…… 地球に影響が出ないように少しずつ慎重に魔力を送っているから、少~し時間がかかるみたいでね?」


 ……おや? ぺルルちゃんが気の毒そうな目で私を見つめていますねー?



 「……48時間かかるわ」



 なんと!? まさかのフルタイム超え来ましたー!?

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