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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
終章ですよ 今日が終わってしまうなら、明日を始めれば良いと思いませんか?
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64話 悪の怪人からのコーヒーゼリーマン

どうもこんにちは、モーリンです。


 ただいま私とちくわちゃんは以前も使ったあの馬車で戦場に向かっています。

 で、セレブお嬢さんはすぐ隣を馬で並走していますよ。 弓矢を背負って馬に乗る姿が、スゴく凛々しいですねー。


 あっ、妖精や精霊のように魔力が命に直結している生物にとって、魔力を吸うタイプの相手は天敵だというので、ぺルルちゃんは参戦していません。

 その理屈だと精霊である私にとっても危ないといえば危ないのですが、私は最悪、吸われても吸い返す事もできますが、ぺルルちゃんには対抗手段がないですからね、なのでお留守番をしているようにお願いしたんです。

 本人も、自分が役に立てないのは理解していると言って受け入れてくれました。


 ……悲しそうな表情で、でしたけどね。

 はぁ…… 戦いは嫌ですねー、こんな事にならなければ戦う力があるとか無いとか関係なく楽しく一緒にいられるんですけど…… 

 ですがフラスケちゃんを助けるには私が戦場に行かなくてはいけませんし、うにゃうにゃ言っても仕方ないですね。 頑張って終わらせて、お気楽な日常に戻るとしましょうか。



 私が決意を新たにしたところで馬車の速度が緩やかになりました。


 ……もしかして先頭グループが敵にぶつかりましたか?

 この辺りはもう怪しい気配が、もわ~ん……っと漂ってますから、すでに戦いのエリアには入っていそうです。

 きっともう少し進めば敵の姿が…… おや? 馬車が止まってしまいました?

 ……あっ! もしかして私を最前線に出さないつもりですか!?


 ありえますね。 この馬車の御者はワイルド商人さんです。 この人は何かと私を大切にしてくれる方なので、危ない事はさせたくないのかもしれません。

 気持ちはすごく嬉しいのですが、自惚れではなく、多分私が最大戦力ですから安全圏にいるわけにはいきませんよ! ということでモーリン、行っきまーす!



 私はちくわちゃんを抱っこして馬車を飛び出して前へ前へと走ります。

 ……私が1人で出撃しても多分ちくわちゃんは世界の果てまで追ってQな気がするので、最初から連れて行くことにします。

 その点ワイルド商人さんとセレブお嬢さんは、多分無理に私を追いかけて団体行動を乱したりはしなそうなので安心して置いてきました。


 しばらく走ると、少し先でマッスルさんが、いつか見たコーヒーゼリーのお化けと戦っているのが見えました。 見たところマッスルさんが有利に戦っていますね…… というか、このコーヒーゼリー、前に戦った奴より動きが遅い気がしますね? サイズも少し小さい気がしますし、これなら思ったより楽にいけます?


 そう思った私がさらにその先を見ると…… ほわっ!?

 メッチャ数がいます!? 質を下げて数で勝負という事ですか!? 前言撤回です! 全然楽にいけません! これはこれでキツイと思います!


 とりあえず抱っこしていたちくわちゃんを下ろしてから、私は周りを確認します。

 マッスルさんは…… うん。 それほど苦戦してる感じではないので援護しなくても大丈夫ですね。

 そばにはセクシーさんもいますが、彼女も前に出ないで遠くから魔法を使って戦っているのでそんなに危険はないと思います。

 どうやら皆さん、少数相手なら問題なさそうですね。


 これなら、誰かの援護をするより、この先のコーヒーゼリーがメッチャいるところで暴れて数を減らした方が結果的に皆さんの危険を減らせそうですね。

 では…… GOです!


 私は全速力でコーヒーゼリーの群れに突っ込んで手当たり次第に撥ね飛ばします。

 どうせ私のリーチで殴ったり蹴ったりしても深く刺さらないので、それなら体当たりで撥ね飛ばすほうが早いと思いました。 それに、敵をぶっ飛ばしてさえおけば…… ほら。


 私のぶっ飛ばしたコーヒーゼリーに、ちくわちゃんがトドメを刺して回っています。

 ……って、ちくわちゃん、杖に光を(まと)わせて剣みたいにして相手を斬り裂いてます!? そんな正義のヒーローっぽい技を使えたんですか? カッコいいですねー。

 ……っ! 危ないです!


 トドメを刺して回る事に気を取られていたちくわちゃんを、背後からコーヒーゼリーが触手で狙っています! ちくわちゃんはギリギリ避けてライトちくわサーベルの反撃で倒していましたが…… 危ない所でした~。 攻撃が完全に胸にかすっていましたよ。

 ちくわちゃんの胸が大きかったら当たっていたかもしれません。

 ちくわちゃんの胸が小さくて良かったですねー。 ナイス貧乳!


 しかし、やっぱりトドメをちくわちゃんだけに任せるのも良くないですね。

 私も何か必殺技でも……と思ったのですが、私が使える手段でこのコーヒーゼリーに対して最も効果的な攻撃といえば、やはり吸収してしまうことなんですけど……

 でも私はこのあとフラスケちゃんを包む魔力を吸収して浄化しなくてはいけないので、今つまみ食いしてお腹いっぱいになってしまうと困るんですよねー。


 吸収して消費して吸収して消費してを繰り返せばいいと思うかも知れませんが、こういう悪い魔力は吸収する時と浄化をする時に負担があるので永遠に出来るわけではありません。


 ほら、食べ物に例えると、仮に食べた瞬間に消化&消費できたとしても、胃や腸が動いている事には変わり無いので、永遠に食べ続けていたら胃腸が過労でギブアップしますよね?

 そんな感じです。


 私の魔力的胃腸には、フラスケちゃんを助ける時に頑張ってもらはなくてはいけないので、ここはまだ温存ですね。

 悪い魔力の食べ過ぎに効く胃腸薬なんて持ってませんしね。


 そんな事を考えながら、あちょー! っとコーヒーゼリーを蹴り飛ばします。

 ……おや? 腰の所で何か揺れた感触がありますね? 私、何か持っていましたっけ?


 自分の姿をチラリと確認すると、酔拳使いのお爺さんがヒョウタンをぶら下げているような感じで、私の腰の左右に1本ずつ、計2本のビンが揺れていました。


 ……あっ。 胃腸薬は持っていないと言いましたが、魔力的にファイト1発できるドリンクならありましたね。 馬車の中でワイルド商人さんにもらったんですよ、これ。

 これでの魔力補給なら悪い魔力を吸収するより負担は少ない…… とは思います。

 んー、2本持ってますし、1本使う事を前提に、少し魔力を消費してもいいかもしれませんねー?

 このままパンチ、キック、体当たりだけで戦っていてたらそのうち数で押し潰されそうですし、なにかもっと威力の高い攻撃手段を使わなくては。


 という事で……んー、そいやっ!

 気合いと共に私の指が伸びて尖りました。 人間の指というより木の枝っぽいシルエットです。 あ、やっぱりできましたね。 むしろ私は本来は木なのですから、人間っぽい手をしてるほうが不自然なのかもしれません。 


 私は、手の指を揃えて伸ばした状態で、側にいたコーヒーゼリーに突きを放ちました。

 ……指が相手の表面を突き破って内部まで届く感触が、鮮明に伝わって来ます。 ひぃっ! これは人間には絶対使っちゃダメですね~。 いえ、人間意外の動物にも使いたくないです。

 ……これは、この戦いの後は封印ですね。 ですが、今だけは使わせてもらうとしましょうか。


 さらに髪の毛も、うにょにょーんと伸ばします。

 これで準備OKです。 あとはこれで思い通りに動けるかですが…… まあそれはやってみてのお楽しみですね。 それでは…… GOです!


 私は、今まで出したことの無い、本当の全速力で走りました。

 踏み込んだ足の下で小さなクレーターが出来て、私の体は弾丸のようにかっ飛びました。 おほーっ! 速い速い!

 格闘ゲームなら ←タメ→パンチボタン(右向き時)とかで出そうな動きですねー。


 私は遠くにいたコーヒーゼリーとの距離を一気に詰めて、右手で突きを放ちます。

 すると右手がめり込むだけでは終わらずに、勢い余ってそのまま体ごと突っ込んで貫通しました。 おお……全身に妙な感触が。 

 それでも体の勢いは止まらずに、そのまま前へと進みそうになっていますが、そこで私は伸ばした髪の毛を地面にズドンと差し込んで、無理やりブレーキをかけます。 よし、イケます!


 指を伸ばして尖らせることで足りないリーチと攻撃力をカバー。

 自分でもスペックもて余し気味のわがままバディは髪の毛をブレーキにすることでカバー。

 これで戦闘力は問題ありません!


 問題があるとすれば、触手のような髪の毛をうにょうにょさせながら高速で飛び回って、長い指で相手を突き刺して戦うという姿が、完全に悪の怪人だという点くらいでしょうか?

 

 私はちくわちゃんの姿をチラリと見ました。

 そこには光の剣を華麗に振り回す美少女がいました。 まさに戦うヒロインという感じです。 んー……ずいぶんと私とは違いますねー。

 まあいいです。 悪の怪人は悪の怪人なりに頑張りましょう。 がおー!


 


 そのまま私とちくわちゃんで戦い続け、順調にコーヒーゼリーを減らしていきました。

 うん、良い感じのペースじゃないですか?

 ……そう思っていたんですが、どこからともなくコーヒーゼリーが湧いて出て、あれよあれよという間に最初と同じくらいの数に戻ってしまいました。


 ありゃー…… また最初からやり直しですかー。

 んー、キリがないです。 これなら強い相手と1回戦うほうが気が楽ですよね。


 そんな事を考えたのがフラグだったのでしょうか?

 コーヒーゼリーたちが集まってくっつき始めて、こうやっている間にもどんどん大きくなっていきます。

 ……いやー、別に強い相手と戦いたいと言ったわけではないのですが……


 気付くとすでにコーヒーゼリーは見上げるような大きさになっていました。 ……いえ、大きいだけじゃなくて、なんだか形も変わってませんか?

 人間のように手足が生えて、コーヒーゼリーマンに進化した感じです。



 うーん……こういうのって、漫画やゲームでは人型になったらパワーアップするのがお約束ですよね。 これからが本番……という所ですか。


 私は、腰のビンをキュポンと開けて、中身をクイッと半分ほど飲みます。

 疲労回復、ファイト0.5発! これで仕切り直しです。


 残り半分をちくわちゃんに渡します。

 ちくわちゃんも0.5発分のファイトをチャージして仕切り直し……とはいきませんか。 ちくわちゃんの場合は体の疲労もありますから、魔力だけ回復すれば元気という訳にはいきませんしね。


 さあ、第2ラウンドですね!

 ちくわちゃんが疲れてしまう前に終わりにしましょうか。 


現在、風邪気味です。

次回の投稿は3日後の予定ですが、風邪が悪化したら1~2日遅れるかもしれません。

多分大丈夫だとは思うんですが、もし3日後に投稿がなかったら風邪で寝てると思ってください。

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